星の王子さま (新潮文庫) [Kindle]

  • 新潮社 (2006年4月1日発売)
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みんなの感想まとめ

この作品は、大人になることの切なさや無邪気さを描き、読者に深い感慨を与えます。効率や生産性が重視される現代社会の中で、忘れがちな大切なものや愛の本質を再認識させてくれる内容で、シンプルながらも鋭い批評...

感想・レビュー・書評

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  • (読んだのは文庫ですが、電子書籍しか出てこなかった…)

    内藤濯翻訳で読みましたが、せっかくなので他の翻訳も読んでみよう。
    この河野万里子訳はなぜか本棚にあった。子供が課題図書とかで買ったのかな?

    内容は内藤濯翻訳の方に。
    https://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/4003751310

    谷川かおる翻訳
    https://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/4591093409
    こちらの河野万里子翻訳と、谷川かおる翻訳は、印象と、翻訳の言葉の違いのメモです。


    まえがきより抜粋
    内藤濯
    <わたしは、この本をあるおとなの人にささげたが、でも、それにはちゃんとした言いわけがある。(…中略…)そのおとなの人は、むかし、いちどは子どもだったのだから、わたしは、その子どもに、この本をささげたいと思う。おとなは、だれも、はじめは子どもだった。(しかし、そのことを忘れずにいるおとなは、いくらもいない。)>

    河野万里子
    <この本を、こうしてひとりのおとなにささげたことを、子どものみなさんは許してほしい。なにしろ大事なわけがある。(…中略…)この本は、昔子どもだったころのその人に、ささげるということにしたい。おとなだって、はじめはみんな子どもだったのだから。(でもそれを忘れずにいる人は、ほとんどいない。)>

    谷川かおる
    <ぼくは、この本をひとりのおとなに捧げる。ぼくには、そうするだけのちゃんとした理由があるんだ。(…中略…)ぼくは、かつて子どもだったころのこのひとに、この本を捧げようと思う。おとなはみんな、はじめ子どもだったんだ。(それを忘れずにいる大人は、いくらもいないけれど)。>

    内藤濯:
     対象年齢が小学6年生から中学生向け
     ですます調
     外国語を知らない日本人向けっぽい
     児童に直接お話している印象
     王子さまは大人びている印象
    河野万里子:
     大人が読んでも普通の小説っぽい
     である調
     大人が日記を記している印象
    谷川かおる:
     である調
     口調は柔らかい

    • なおなおさん
      翻訳の違いが面白いです。
      初めはパーっと、次にじっくり読んでみました。
      私には海野さんの翻訳が分かりやすい、読みやすいなと感じました。どうな...
      翻訳の違いが面白いです。
      初めはパーっと、次にじっくり読んでみました。
      私には海野さんの翻訳が分かりやすい、読みやすいなと感じました。どうなんだろ…。
      2025/08/14
    • 淳水堂さん
      こんにちは(^o^)

      日本だけでも何種類も翻訳が出てますもんね。
      海野さんは、大人も読む普通の小説(児童書にこだわらない)って感じで...
      こんにちは(^o^)

      日本だけでも何種類も翻訳が出てますもんね。
      海野さんは、大人も読む普通の小説(児童書にこだわらない)って感じでしたよね。
      サン=テグジュペリ好きなんです(^^)
      2025/08/16
    • なおなおさん
      淳水堂さん、お好きなんですね!
      私、「星の王子さま」は読みましたが、よく分かっておらず…。いつかまた読み直してみます。
      フランス発のバンド・...
      淳水堂さん、お好きなんですね!
      私、「星の王子さま」は読みましたが、よく分かっておらず…。いつかまた読み直してみます。
      フランス発のバンド・デシネ版は、絵が可愛く(好みが分かれそうですが)、絵のお陰で何となく理解できましたε-(´∀`*)ホッ
      2025/08/18
  • みんなが名前を知っている星の王子様。いつかは読んでみたいと思っていたこと、大切な人に勧められたことが重なり読むに至った。
    何度でも読み返さなければならないと思える本だった。今の世の中では効率・生産性・統治…目に見えるものを推し量ることでその優劣を判断する。ここに生きているとその価値基準がいつの間にか体に染み付いてしまう。染み付いていると自覚していても、逃れることができない。そんな不自由な大人に対する無邪気な哲学。シンプルだからこそ、その批評性は鋭く、大人に刺さる。
    「大切なものとは、愛とは、」深く考えさせられるというよりもスッと引き戻してくれる。私たちは身体を縛る複雑な網の目の中を今後も掻き分けて進まなければならない。その内目的がわからなくなるかもしれない。この本はその目的にいつだって立ち返らせてくれるそんな気がしている。
    著書の中で出てきた言葉をまとめようと思ったが、ほとんど引用になってしまう。それほどまでに、人の根っこにあることを書いてあるんだと思う。
    まさしくバイブル。

  • 王子さまが短い間に過ごした時。自分も物語の世界に引きずり込まれるような感覚で…不思議な感じの本でした。王子さまがいなくなってしまい、寂しさが。王子さまがまたこの地に来てくれることを願う。

  • 大人になることに切なさを感じる本。定期的に読み返しては、なんか心が洗われる。
    読後に家族サービスしたくなる。

  • 星の王子様ミュージアムに行く前の予習として読む。

    小学生の時に読んだ時は、意味がわからないまま「?不思議な少年だなぁ~」という感想しかなかったけど、大人になってからじっくり読むと全然違った。
    この本が売れるのは、大人が子供に読んでほしいと思っちゃうからなんだろうなーと思う。

    薔薇と出会い、喧嘩をして、星を出てから出会う人達と話をして、少年は自分と薔薇との関係を改めて考える。
    星の王子様と出会った飛行機乗りは、彼と砂漠で出会い、交流をしたことで絆を作った。

    少年が地球にやって来る前に出会った星の住人は大人を象徴している。
    国民がいないのに命令ばかりする王様
    自分を称賛する言葉ばかりを欲しがる人
    酒を飲む自分を恥じながら飲む酔っぱらい
    自分が沢山持つことに注力して使わない実業家
    一昔前の仕事を忠実に守り続ける点灯夫
    自分の目で確かめない地理学者

    7番目に地球にやってくるが、そこは砂漠で人間がいなかったそこで出会った飛行機乗り。
    彼と出会う前に地球の生き物と話をして、王子様は星の薔薇との関係は、どんなに美しくても沢山あっても、他の薔薇とは代替出来ないものだと気づく。

    狐が王子様に、出会う=絆を作ることだと教える。大事なことは目に見えないものだと。
    そしてそのために時間を費やしたことで良くも悪くも絆は強くなる。

    出会う人、誰のために時間を費やすのかは自分で決められなかったり、決められたりする。
    会ってない人に対して夢想するのはやめた。
    自分がどう相手と向き合いたいか、その為に誠実でありたいし、自分の感情に正直になること(口に出す出さないは別として、感じた気持ちをこんなこと思っちゃダメだ!とか殺さない)で、人と関わっていきたい。

  • よく分からなかったので⭐︎2つ。私も点灯してます。
    もともと大切なものはないかもしれないよ。なんて言ったらおとなかしら。迷惑をかけてくる人の中に大切なものがあるなんて信じたくない。信じられるような人になれるとも思えない。
    読んでて疲れちゃった。癒されるはずだったのに。

  • 絵描きを諦めた飛行士「僕」が、宇宙のどこかの星からやってきた小さな王子さまと出会い、別れまでを描いた物語。

    最初に読んだのは高校生の時だと思う。
    有名だし、言葉の紡ぎ方は綺麗だけど
    そんなに面白いか...?と疑問に感じた印象。

    それから5年後、社会人になり再読すると
    心が締め付けられるような味わいを感じた。
    ・新しい友達ができた時 大人は数字ばかり聞く
    ・《僕の好きな花がどこかにある》と思うだけで幸せになれるんだ。

    でも、終わりはまだそんなにもしっくりとこなかった。子供の心を大切に生きていきたい。

  • 子供の頃に読んだらもっと違っただろうが、つまらない大人となってしまった今読んでみるとあまり刺さらなくて淋しかった。主人公の僕が、星の王子さまとどう接するか考えあぐねているシーンに、社会に出るにはなんとしても子供心を失わざるを得なかった大人の苦悩と子供心を理解しようという葛藤が表れている気がして悲しくなった。せめて昔の自分に星の王子さまの様な綺麗な心が存在していた事を忘れずに生きていこうと思う。

  • 星をめぐる王子と主人公との不思議な出会いを綴った物語。絵本のキャラクターのように語る王子に対して、主人公が難しい言葉を多く使うので、決して児童向けというわけではないことにまず驚きました。それでも絵本のように抽象的だけど、人生で大切なものがなんなのかを思い出させてくる一冊

    『いちばんたいせつなことは、目に見えない』

  • どういうストーリーだったかな、と思い再読。

    狐の言葉を借りると、関わりを持って飼い慣らして、そのもの・人が特別になっていくのだな。
    確かにこれは目に見えないことだ。

    死んだら星になる、という迷信とも繋がって、改めて邦題タイトルいいなと思った。

  • 「心で見ないと物事はよく見えない。
    肝心なことは目には見えない。」
    という有名な言葉が書かれている本

    この言葉をいうキツネは王子さまに
    「ぼくを飼いならしてくれ」と言う。
    飼いならせば、お互いがこの世で唯一の存在になる、と。

    「飼いならす」という言葉が気になって
    いくつかの訳を比べると

    (小島俊明訳、中央公論社、2005)
    きみがぼくを飼いならせば、ぼくたちはお互いに相手が必要になる。きみはぼくにとって、この世で唯一の存在になるだろう。ぼくもきみにとって、この世で唯一の存在になるだろう・・・

    (内藤濯訳、岩波書店、2000、新版)
    あんたが、おれを飼いならすと、おれたちは、もう、お互いに、離れちゃいられなくなるよ。あんたは、おれにとって、この世でたった一人の人になるし、おれは、あんたにとって、かけがえのないものになるんだよ・・・

    (倉橋由美子訳、宝島社、2005)
    おれがあんたと仲良しになると、おれたちは互いに相手が必要になる。あんたはおれにとってこの世にたった一人の男の子になるし、おれはあんたにとってこの世にたった一匹の狐になる・・・

    (池澤夏樹訳、集英社、2005)
    きみがおれを飼い慣らしたら、おれときみは互いになくてはならない仲になる。きみはおれにとって世界でたった一人の人になるんだ。おれもきみにとって世界でたった1匹の・・・

    原典のフランス語は「飼いならす」という意味らしいので、やはり「飼いならす」という訳が多かった。

    また、「飼いならす、ってどういう意味?」については
    (小島俊明訳、中央公論社、2005)
    『絆を創る』って意味だよ

    (内藤濯訳、岩波書店、2000、新版)
    〈仲良くなる〉っていうことさ

    (倉橋由美子訳、宝島社、2005)
    『関係をつくる』ってことさ

    (池澤夏樹訳、集英社、2005)
    それは、絆を作る、ってことさ・・・

    それぞれ、微妙にニュアンスが違っていて、面白い

    そして、どんな訳であっても、
    『星の王子さま』は本当にステキな
    「深い井戸を隠し持っているような」本です。

  • 子供の時の感性を大切にするようにと説かれた気がする。ただ、まだ学生なので何年か後に社会に揉まれているときに読むとまた違って見えるのかも。

  • 小学生のころ図書館で借りて読んだことがある。
    素っ頓狂なこと言ってくる星の王子様に、天然すぎるこの男...辛いかもしれない...と思いながら最後まで読んだ。しかも意味が全然わからない...(多分翻訳も大昔のだった。言い回しも現代の感じではなかったかも、もっと詩的だったような...)

    いま!!ざっと20年くらい経ち(年齢がバレるよ)
    この比較的新翻訳で読んだら、大人向けすぎてびっくり!私も育ちきったおかげで(?)当時はただ腹立つ我儘なバラも、今は高飛車な女性でも星の王子様が結構好きってわかるし、星の王子様もバラが大事だったってわかるし、大人はつまらないことに固執して人生が楽しそうじゃないし、パイロットは作者であり、子供らしさを失いたくないけど大人でいる一人の男であるし、居なくなってしまう人を悲しむだけじゃなくて、思い出していいんだよって教えてくれる優しい優しいお話で....泣いた...

    不思議で、でも優しくて暖かくて少し寂しいお話でした。児童文学は.....嘘だろ

  • ## 感想
    - audibleで聴いた。
    - 星を見上げるのが好きになる物語。ラストは少し悲しい。
    - 子どもにも読み聞かせたい。

  • 子供のお話という感じの純粋さがとてもよかった 成長はしたものの子供として自分の星で王子をしていくのかなぁと思った

  • かつて子供だったすべての大人へ捧げる問題提起と覚醒。

    [サン=テグジュペリの生と死]

    アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリは、天翔ける者であった。
    彼は飛行士として生き、飛行士として死んだ。
    1900年、フランスの貴族の家系に生まれながら、彼の青春は決して優雅なものではなかった。
    父の死、家の没落、それらは彼に現実の冷厳さを刻みつける。
    しかし、空——その無辺の青こそ、彼にとっての自由であり、救済であった。
    郵便飛行士として、あるいは作家として、彼は幾度となく空と地上の狭間を行き来した。
    1935年、サハラ砂漠で遭難した彼は、死の淵を覗き込む。
    灼熱と孤独の狭間で見たもの、それは後の『星の王子さま』に結晶する。
    やがて戦争が彼を呼び寄せる。
    亡命し、ニューヨークで執筆を続けながらも、彼の魂は空を求めてやまなかった。
    1944年、最後の偵察飛行へと向かい、そのまま帰らぬ人となる。

    [創作の背景]
    この物語が書かれたのは、戦火のさなか、祖国フランスが蹂躙され、世界が混迷の極みにあった時期である。
    サン=テグジュペリは、戦争に翻弄される人々の姿を見つめ、あるいは彼らの喪失を嘆きつつ、幼き王子の口を借りて一つの真理を紡ぎ出した。
    それは、人が容易に見失う**「大切なもの」の存在**である。
    遍歴する王子が目にする大人たちの姿は、愚昧と滑稽の極みである。
    **権力にしがみつく者、名声に酔いしれる者、無意味な数を数え続ける者——いずれも「役割」という牢獄に囚われ、自らを見失っている。**
    これはまさしく、文明の名のもとに**無機的な機械と化した現代人の姿**ではないか。
    だが、王子はなおも信じる。
    「飼いならす」という言葉の意味を、「絆」とは何かを。
    「僕はきみのために、きみは僕のために、唯一無二の存在になるのだ」とキツネは語る。
    それは、サン=テグジュペリ自身の叫びでもあった。
    **戦争が何を奪うのか——それは、人と人との間に結ばれるはずの、見えざる糸なのである。**
    そして王子は帰る。
    去ることによって、残される者にその意味を問うために。
    飛行士は王子を喪い、しかし彼を喪わぬ。
    夜空の星が、永遠に瞬くかぎり。
    ——この物語は、幻想ではない。
    これは、サン=テグジュペリが**命を賭して問いかけた人間の真実**である。

    [大人こそ読むべき物語]
    「大切なものは目に見えない」——この言葉を、果たしてどれほどの大人が真に理解しているだろうか。
    『星の王子さま』は、単なる児童文学ではない。
    それは、人生の本質を問う寓話であり、むしろ成熟した大人にこそ必要な書物である。

    ■役割に縛られた大人の滑稽さ
    作中、王子は旅の中でさまざまな大人たちに出会う。
    権威を振りかざす王、称賛を求める虚栄心の塊、酒に溺れる弱者、数を数えることで富を増やした気になる実業家——彼らは皆、己の役割に囚われ、ただ惰性のままに生きている。
    だが、その姿は決して絵空事ではない。
    現代社会に生きる我々もまた、**会社の肩書き、社会的地位、経済的成功といった「見えるもの」に支配され、肝心なものを見失ってはいないだろうか。**
    王子の旅は、単なる夢想ではない。
    それは、現実において「何かを喪失した」大人たちに向けた問いである。「あなたは何のために生きているのか?」と。

    ■愛とは何か——バラとキツネの教え
    王子が育てたたった一輪のバラ。
    そのバラはわがままで気まぐれで、王子を困らせることばかりだった。
    しかし、旅を続けた王子は、無数のバラが咲き乱れる地球で気づくのだ。
    「あのバラだけが特別なのは、僕が世話をしたからだ」と。
    この気づきは、大人にとってこそ重要である。
    仕事、家族、友情——すべての関係は、時間をかけて育んでこそ価値を持つ。
    キツネが言うように「飼いならす(馴染む)」ことなくして、真の絆は生まれない。
    しかし、大人はしばしば効率を求め、すぐに結果を欲しがる。
    **人間関係を「コスパ」で測り、愛を「損得勘定」で判断する。**
    その果てに残るのは、**空虚なつながりと孤独**だけだ。

    ■王子の帰還——喪失の先にあるもの
    最後に王子は、自らの星へと帰る。
    だが、その方法はあまりにも残酷である——毒蛇の牙にかかり、肉体を捨てて、魂だけが帰るのだ。
    この場面を「死」と解釈するか、それとも「解脱」と捉えるかは読者次第である。
    しかし、重要なのは「去る者」と「残される者」の関係だ。
    飛行士は王子を喪い、しかし同時に彼を喪わない。
    なぜなら、王子は星となり、彼が遺した言葉が生き続けるからだ。
    「夜空を見上げるたびに、僕の笑い声が聞こえるよ」と王子は言う。
    それは、**大切な人を失った者への慰め**であり、**別れが終わりではないことの証明**である。

    ■大人とは、かつて子供だった者である
    「大人は誰も、最初は子供だった。しかしそのことを覚えている者はほとんどいない。」
    これは本書の冒頭にある言葉だ。社会に出ると、人はいつしか子供のころの純粋さを手放し、合理性や現実主義の名のもとに「見えるもの」ばかりを追い求めるようになる。しかし、『星の王子さま』は問いかける。「それで、本当に幸せか?」と。
    大人になるとは、単に年を重ねることではない。何を大切にし、何を見失わないか。その覚悟が問われているのだ。
    **この物語を読むべきなのは、もはや子供ではない。心が曇った大人たちである。**

    **『星の王子さま』が映し出す現代の問題**
    『星の王子さま』は単なる童話ではない。
    それは、大人たちの生き方を鋭く問う寓話であり、現代社会の病理を映し出す鏡である。
    かつては哲学的な命題として捉えられていた本書のテーマも、今ではより具体的な形で私たちの世界に影を落としている。
    では、王子の旅の中に、現代社会のどのような問題が見出せるのか。

    ■資本主義社会における「数字」の支配
    王子が旅の途中で出会う実業家は、ひたすら星の数を数え、それを「所有」していると思い込んでいる。
    「それで何の役に立つの?」と王子は問いかけるが、実業家は「お金持ちになれる」と答えるだけだ。
    この姿は、現代の企業経営者や投資家の姿と重なる。
    企業は**売上、利益、株価といった「数字」**によって価値を測られ、個人でさえ**フォロワー数や収入**によって評価される。
    「数が多いほど良い」「成長しなければ意味がない」という価値観が、社会全体を支配している。
    しかし、それらの数字が、人間の幸福や生きる意味と直結しているわけではない。
    王子の問いかけは、**数字のみに縛られる生き方への警鐘**なのだ。

    ■ソーシャルメディア時代の承認欲求と虚栄心
    王子が出会う「うぬぼれ男」は、人々に賞賛されることだけを求め、「自分をほめたたえろ」と繰り返す。
    この姿は、まるで**ソーシャルメディア時代の「いいね」や「フォロワー数」に依存する現代人**のようではないか。
    ソーシャルメディアでは、私たちは常に「見られる存在」となり、他者からの評価によって自己価値を決めがちである。
    人々は**「自分をどう見せるか」に執着**し、本来の自分とは関係のない**「虚構の自分」**を作り上げる。
    しかし、それは本当に幸せな生き方だろうか?
    王子はそんな大人たちに対し、「なぜ他人の目ばかりを気にして生きるの?」と問いかけている。

    ■効率至上主義と人間関係の希薄化
    王子とキツネの関係は、本書の中でも最も象徴的なエピソードである。
    キツネは「君が僕を飼いならすなら、僕たちは特別な関係になる」と語る。
    つまり、**絆は時間をかけて築くものであり、簡単には得られない**ということだ。
    しかし、現代社会では「時間をかける」ことが軽視される。
    仕事は効率化され、会話は短縮され、人間関係でさえ「コスパ」が求められる。
    ソーシャルメディアで簡単に「友達」になれる時代において、私たちは「本当の絆」を築くことを忘れかけてはいないか。
    キツネの言葉は、**時間をかけて関係を深めることの大切さ**を改めて思い出させてくれる。

    ■環境破壊と「バオバブの木」
    王子の星に生えてくるバオバブの木は、放っておくと星を覆い尽くしてしまう厄介な存在だ。
    王子はそれを毎日取り除かなければならないが、怠ると星そのものが破壊されてしまう。
    このバオバブの木は、現代の環境問題の象徴としても読める。
    森林破壊、気候変動、プラスチック汚染——どれも放置すれば**地球そのものが脅かされる問題**である。
    しかし、私たちは王子のように日々「手入れ」をしているだろうか?
    **環境問題を先送り**にし、「自分一人くらい」と目をつぶってはいないか?

    ■疎外された「本来の自分」との対話
    王子が出会う大人たちは皆、それぞれの役割に囚われ、「本当の自分」を忘れてしまっている。
    これは現代の労働社会にも当てはまる。
    会社員は仕事に忙殺され、社会の歯車となることを求められる。
    その中で、**本来の自分を見失い、「何のために生きているのか」が分からなくなる。**
    王子が旅を続けるのは、自分の星を離れたことで「自分とは何か」を問い直すためでもある。
    **大人になればなるほど、「本当の自分」に出会う機会は少なくなる。**
    しかし、それこそが最も重要なことなのではないか。

    [『星の王子さま』が突きつけるもの]
    「大切なものは目に見えない」
    この言葉の重みは、時代が進むほどに増している。
    物質的豊かさが追求され、目に見える「成果」や「評価」が求められる現代において、見えないものの価値を理解することはますます難しくなっている。
    しかし、それを忘れたとき、人は本当の意味で大切なものを失うのだ。
    『星の王子さま』は、**大人たちの生き方そのものを問い直す物語**である。
    仕事、名声、数字、効率——そうしたものの中で、「かつて子供だった自分」はどこへ行ったのか。
    王子の旅は、現代を生きるすべての大人たちに対し、「あなたは何のために生きていますか?」という鋭い問いを突きつけている。
    その問いに答えられる大人は、果たしてどれほどいるだろうか?
    人の生は、驚くほどに短い。
    にもかかわらず、我々は生きるほどに、得るものよりも遥かに多くを失ってゆく。
    だからこそ、**「大切なものは目に見えない」**と、折に触れてつぶやき続けねばならぬのではあるまいか。

  • 「つまらない大人」という王子様の言葉で少しハッとした。小さい時、「体の一部を1回だけ変えるならどうしたい?」という質問に「羽をつけたい」と答えていたが、今は鼻を高くしたいとかそうゆう事を答えるだろう。こんなつまらない大人になってるんだと思うと少し子供心を羨ましいと思う笑
    ちょっと散歩にでもでかけて鳥をみてこようかな

  • 何度でも読み返したい作品。心に響くフレーズがたくさんある。
    キツネとのお話が好き。
    たくさんのバラを見た王子さまが思ったことは「自分がこの世に一輪しかないと思っていたバラがたくさんあることを知ったらバラが傷つくだろうな」ということと「この世に一輪だけの特別な花を持っていると思っていたのに、ただのありふれたバラだった」ということ。
    その後キツネに出会い、話をする。
    君は今はたくさんの男の子の中の1人、僕はたくさんのキツネの中の1匹にすぎない。ただここに絆が生まれたら世界でたったひとつの特別な存在になるんだ。って。
    君のバラをかけがえのないものにしたのは、君がバラに費やした時間だったんだ…絆を結んだものには、永遠に責任を持つんだ。

    バラの表面に価値があるのではなく、バラにかけた時間に価値がある。その価値は目には見えないものだ。バラが愛する人ってだけではなく、自分が今までしてきたものなんでも。それが本当に大切なことなんだっていうこと。自分が愛するものに責任を持つってことは自分に責任を持つということ。

    たくさんのバラを見た王子さまが、バラが傷つくだろうなとまず思ったことが私は愛だなと思った。

  • 久々に再読。何となく読みたくなって年末年始の帰省のお供にした。自分が大人になったこともあり、以前とはまた違った感覚だった。訳者の解説も良かった。

  •  名前は聞いたことがあるが中身は知らなかったから読んでみた。第一印象は自己啓発っぽいと思った。
     王子が旅をし大人たちに出会い、そんなコトして意味があるのとツッコんでいくのはスゴイ自己啓発っぽいし、旅の中で大切なものは何かと気づいていくの自己啓発っぽい。富とか地位とか大切なものはそうじゃないよみたいなところに自己啓発を感じちゃうな
     あと王子が別れた薔薇のやけに詳細なねっとり具合は別れた元カノの話でも書いてる?と思った。
     子どものときに読めたらよかったね。今の自分じゃ素直に読めない

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著者プロフィール

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ。1900年6月29日、フランスのリヨン生まれ。
幼少の頃より飛行士に憧れてその職につく。飛行士と兼業して、飛行士の体験をもとに『南方郵便機』、『夜間飛行』などを発表。
第二次世界大戦中、亡命先のニューヨークにて『星の王子さま』を執筆し、1943年に出版。同年軍に復帰し、翌1944年7月31日地中海コルシカ島から偵察飛行に飛び立ったまま、消息を絶つ。
その行方は永らく不明とされていたが、1998年地中海のマルセイユ沖にあるリュウ島近くの海域でサン=テグジュペリのブレスレットが発見される。飛行機の残骸も確認されて2003年に引き上げられ、サン=テグジュペリの搭乗機であると最終確認された。

サン=テグジュペリの作品

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