アズミ・ハルコは行方不明 [DVD]

監督 : 松居大悟 
出演 : 蒼井優  高畑充希  太賀  加瀬亮 
  • TCエンタテインメント
2.53
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感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4562474185912

感想・レビュー・書評

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  • 独身で恋人もいない27歳の安曇春子(蒼井優)は、地方都市の実家で両親と祖母と一緒に暮らしている。
    老齢の祖母を介護する母のストレスが充満する実家は決して居心地のいいものではなく、会社に行けば社長(国広富之)と専務に「女は若いうちに結婚するべきだ」とセクハラ三昧の言葉を浴びせられる日々。
    そんななか、春子はふと自分の年齢を実感する。まだ27歳ではなく、もう27歳。若くはないということに……。
    20歳の愛菜(高畑充希)はとある地方都市の成人式の会場で、大学進学のため名古屋に行った中学時代の同級生・ユキオ(太賀)と再会。
    大学を中退し地元に帰ってきたユキオとなんとなく会って遊んだり、なんとなくセックスする間柄になっていく。
    ある日、ユキオの誕生日プレゼントを買いにレンタルビデオ店に行った二人は、そこでアルバイトをしていた同級生の学(葉山奨之)と再会する……。
    仕事の帰り道、運転する春子の車の目の前を制服姿の女子高生たちが駆け抜けていく。
    興味を覚えた春子は後を追って公園へ行くと、そこには暴行されて倒れている男の姿があった。
    その男は、少し前に再会したばかりの同級生の曽我(石崎ひゅーい)であった。
    曽我を送り届けたその夜、二人は互いの虚しさを埋め合うように身体を重ね、付き合うという言葉はないまま、食事をしたり、買い物に行ったりする仲になっていく。
    久しぶりに心浮き立つ春子とは裏腹に、しばらくして曽我からの連絡が途絶えてしまう。
    そんな折、コンビニでアルバイトをする噂好きの同級生から、春子は衝撃の事実を聞かされるのだった……。
    ユキオと学はグラフィティアーティストのドキュメンタリー映画を観て、映画に登場する覆面アーティストのバンクシーに憧れ、グラフィティアートを始める。
    チーム名は、アメリカに実在する有名な落書きからとって“キルロイ”と決定。
    キルロイは“28歳・安曇春子の行方を探す張り紙”をモチーフに、春子の顔とMISSINGという文字を合わせグラフィティアートにして街中に拡散していく。
    一方、自分そっちのけで楽しむユキオと学に愛菜は怒り心頭。
    二人に強引に割って入り、アズミ・ハルコのグラフィティアートを一緒に広めていくのだった。
    ちょうどその頃、無差別に男たちを襲う謎の女子高生集団による暴行事件が巷を騒がせていた。
    インターネット上ではその事件と、アズミ・ハルコのグラフィティアートの関連が噂され……。
    山内マリコの同名小説を映画化。
    全編に渡って田舎の、そして女性は学生でいる時も社会人になっても男に欲望の捌け口になったりこき使われたりされるという閉塞感、そして閉塞感を破るために足掻く世代の違う女性の青春群像が、アズミハルコや愛奈や男性を襲撃する女子高生軍団のストーリーが交錯しながら描かれていて、アズミハルコの別れようとする彼氏にすがりつくカッコ悪さややさぐれた煙草の吹かし方やアラサーのアズミハルコにモラハラ発言を連発したり女子を粗雑に扱う男性キャラクターのクズっぷりや男性に媚びないアズミハルコの同僚の吉澤や男性を襲撃する女子高生軍団の凛々しさがリアルで、女子版「ファイトクラブ」「トレインスポッティング」的な社会やいつの間にか信じ込んでいた「男性をつかまえないと幸せになれない」という思い込みや女子であることの閉塞感をぶち壊し「あんたは行きたい所に行けるんだよ」と背中を押す傑作青春映画です。
    主題歌のチャットモンチーも、甘酸っぱくスカっとする女子の応援歌で、ステキです。
    アズミハルコの疲れ果てているやさぐれた感じやこじらせた感じを演じきる蒼井優、とと姉ちゃんと真逆な寂しがりやで明るい愛奈を演じた高畑充希のがむしゃらなパワーと熱演が、印象的でした。

  • 『アズミ・ハルコは行方不明』。イギリス映画『バニー・レークは行方不明』みたいなミステリ映画かと思いきや、全然違いましたね笑。蒼井優ちゃんと高畑充希ちゃん、チョロの息子の太賀くんと、『まれ』に出てた葉山奨之くんなどが出演。

    この映画、すごく面白くてゲラゲラ笑いながら観たんだけど、世間では評価が低いみたいで……なぜだかよくわからない。理由を考えてみた。

    理由その1.時系列シャッフルについていけずよくわからない

    理由その2.『イグジットスルーザギフトショップ』を観ていない

    理由その3.ラストのJK軍団のシーンが気に食わない(これは主に俺w)

    その1について
    →時系列シャッフルがなければ、ミステリではなく普通の青春映画。順番に再生するモードがDVDについてたのってノーランの『フォロウィング』だったか『メメント』だったか……。そのへんを観てる人は慣れてると思う。

    その2について
    →『イグジットスルーザギフトショップ』を観ていない、これは観ろしw。いやこれ観てなくても話は伝わると思うけど……。タイトルの意味は『(美術館の)物販をスルーして外へ出ろ』。
    『イグジットスルー…』は、バンクシーの映画だけどバンクシーがメインではなく、最終的にMr.ブレインウォッシュがメイン。ウォーホルやバンクシーっぽいアートを作るただのオッサンの作品に、見る目がない世間は「これはすごいアート作品だ」って騙されていく……という内容。
    なので、太賀くんと葉山くんはバンクシーではなくMr.ブレインウォッシュ側の人間なんですよね。途中で、掲示板に張り出された地方紙?のシーンがあるけど、一時停止して文章を読むとめちゃくちゃ面白い。

    その3について
    →ラストのJK軍団が気に入らないのは主に俺で、映画を観るシーンから外に出て行くシーンがダサいしつまらん。ちゃんとバトるラス立ちがあった方が面白かったと思うけど……。
    映画の内容がガンアクションバイオレンスなのが嫌。それまでJK軍団は金属バットやプロレス技など肉弾戦で戦ってきたのに、なんで急に飛び道具?『女必殺拳』とか『カリフォルニアドールズ』みたいな映画を観ろよ……ここに引っかかってる人は少ないのかなー、私にとってはすごく重要なんだけど。
    JK軍団は、ラストのところで結局ものすごくファンタジーな、スーパーナチュラルな存在になってしまった。それまでの暴力行為はファンタジーで消えてしまったw。私は「映画の中で描かれる犯罪行為」についてけっこう考えてしまう。『湯を沸かすほどの熱い愛』が嫌いなのはそのため。
    フェミニズム的なものを描いたとしても、犯罪者は逮捕されるかなんかしないと嫌ですね。レイプリベンジものって、レイプ犯は最後にぶっ殺されますしね。殺されないのは『時計じかけのオレンジ』のアレックス君とかぐらいだよ。


    地方都市の青春映画としては、『サイタマノラッパー』や『もらとりあむタマ子』などを連想した。蒼井優ちゃんは『百万円と苦虫女』があったので、いつまで自分探ししとるんやとw。でもこの映画はちょっと違ってて、20代後半の蒼井優と、20代前半の高畑充希のふたりが出るのがミソ。かつて自分探しをしていた蒼井優の『百万円と苦虫女』が重なる。

    自分探しというのは、「いくら探してもそもそも自分など最初から無い」「掘っても掘っても虚無である」と気づくことだと思う。この映画は若者の自意識の話でもあるので、そこが良い。

    高畑充希ちゃんと蒼井優ちゃんの演技……というよりも「話し方」がすごく好き。『舟を編む』の黒木華ちゃんといい、単に私がこういう演技が好きなだけかもしれない。太賀くん、『あん』でも光っていたけどこの作品でも良い。いますごく活躍されている。

    最後に……
    これはフェミニズム映画。だけど私が最初にそう書かなかったのは「フェミニズム」だと決めつけたくないから。この映画の監督は松居大悟さんで男性。脚本は女性。良い女性監督がもっといないかなと探してるけど、なかなか見つからない。こういう映画、女性監督で作ったものを観たい。
    原作は山内マリコさん。先日観た『やわらかい生活』の絲山秋子さんもだけど、原作を読みたくなりました。
    そして、山内マリコさんの『ここは退屈迎えに来て』、映画版の監督はなんと廣木隆一!知らなかったのでびっくりしました。

  • 日々ダメージに晒される女子たちへの応援メッセージなんだと思う。
    行方不明になって消えて、また生きればいい。
    ただ、「こんなにダメージ受けてるんですよ女子は」の説明パートが長すぎて、応援パートで打ち消せる分を超えた量のダメージを受けてしまい、結果ややマイナスな気持ちになった…。

    誇張されてはいたけど女が男にこういう扱いを受けているのは事実。
    けど行方不明になるまでしなきゃいけないなんて、それもネガティブな解決方法で悲しくなる。

    少女ギャング団やギャルの表現は今の時代映画化するには時代錯誤すぎたので話に水を差してたと思う。
    田舎でもさすがにあんなギャルはいません。


    蒼井優の良さはガンガン出ていて彼女の力で成り立っていると言っても過言ではないしファンは観るべき。
    高畑充希・加瀬亮・菊池亜希子もいいかんじ。
    俳優陣が良い演技してるだけに惜しい…

  • 見事なまでの山内マリコ感。
    原作読んでないけど、たぶん、違和感ないんじゃないだろうか、

  • なかなか意味不明。
    見れなくはなかったので、ギリ星3です。
    ネタバレサイト見ないと本当にわかんいですが。

  • 女はこうあるべきみたいな固定観念ベタベタ塗りつけてくる職場のシーンでムカムカしたけど、その後のちょっとした仕返しが好き。
    でも正直作品のことはイマイチ。
    毎回何かしら食べてる加瀬亮が見れてラッキー、なくらい。

  • よくわからなかった。

  • 女の子って最高、な映画 女子高生が手で作った銃で撃つシーンはグッとくる

  • 女子高生がキャッキャしているとこ好き

  • 「行方不明」というのは、自分を見失っているというところでしょうか。
    登場人物が皆、空虚感を抱えているように見えました。
    しかし、明確に「自分探し」をしている感じもなく、
    最後まで、「行方」は見つからないままです。
    一種、「自分」というものを探すロードムービ的というか。
    それらは淡々としていて、ワクワクやドキドキやありません。
    寡黙な蒼井優と、多弁な高畑充希の演技が好対照でした。
    しかしながら、明確なストーリーもなく、
    「虚」の空気感を楽しむ映画としてはいいのかもしれませんが、
    私にはあまり魅力があるとはいえない映画でした。

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著者プロフィール

1985年生まれ、福岡県出身。劇団ゴジゲン主宰。12年、『アフロ田中』で長編映画初監督。テレビ東京『バイプレイヤーズ』シリーズを手掛けるほか、監督作に『自分の事ばかりで情けなくなるよ』(2013年)、『私たちのハァハァ』(2015年)、『アズミ・ハルコは行方不明』(2016年)、『アイスと雨音』(2018年)、『くれなずめ』(2021年)他。『ちょっと思い出しただけ』(2022年)は第34回東京国際映画祭コンペティション部門で、観客賞とスペシャル・メンションをW受賞。著書に『またね家族』。

「2022年 『ノベライズ ちょっと思い出しただけ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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