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感想・レビュー・書評
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辻調理師学校グループ創設者、辻静雄をモデルとした小説です。
脚色のある架空の物語ということになっていますが、ノンフィクションに近い内容に思えます。
料理における本物の追求、辻静雄の真摯で一貫した姿勢が美しい。
フランス料理一筋で突き進む彼は様々な出来事にぶつかりますが、特に印象的だったのは日本料理を外国人に説明できなかった恥の部分です。
灯台下暗し、近過ぎて重要な物事を見落とすことは誰にでもあります。
困難に対して上手に生き抜く、明日を切り開くための元気が出る一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この人がいなければ今の日本は無いシリーズ。
辻静雄氏がいなければ、今の日本の飲食業界はどうなっていたのだろうかと考えてしまうほどの影響力。
フランス語が話せて、教養があって、お金があって、何と言っても本場で憶えてきた味を伝える場所がある人がどれだけいただろうか?
本文中に「宣教師になった気分」とフランス料理の三ツ星シェフが日本に来て指導してくれるのだが、未開の地へ布教しに行くかのようだった。
それほど本物のフランス料理を作れる料理人が少なかったのだ。
世界的な評価の実際のところは分からないが、日本にもミシュランの星がつく店が出来たし、木村拓哉がシェフをやってフランスで店を持ってたというドラマが作られるくらいまで、フランス料理が浸透したのは辻静雄氏が辻料理学校で料理人を、育成したからだろう。 -
辻静雄さんの伝記的小説
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4年ぶりくらいに読んだ
辻静雄の伝記小説
淡々とした語口なのに、圧倒される逸話ばかり -
辻調理師学校の辻静雄をモデルとしたフィクション小説。架空の挿話を綿密な取材で下支えしている。学校が定着するかも分からない中で何かを掴もうとアメリカやフランスへ赴くさまは意外にも最近の異世界転移ものにも似た風情さえあり、平易な文章も相まって読者に非常な近親感を与える。とても面白かった。
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辻静雄、フランス料理、仕事とは
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辻調理師学校創立者の辻静雄をモデルにした小説。“物語は架空のもの”だと最後にあるが、綿密な取材をもとに書かれた作品のようだ。作中に登場する料理のほとんどが縁のないものであるにも関わらず、なんとなく味や見た目が想像できるのは海老沢氏の筆力のおかげだろうか。辻氏ももちろん名前は知っていたが、具体的な経歴(新聞記者から転身したことや、料理にはまったくの素人であったことなど)は知らなかったので興味深く読んだ。
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面白かった。とーっても興味深かった。
辻調理師学校っていう学校があるのは知っていたが、こんなに心のこもった素晴らしい創設者がいたなんて全然知らなかった。辻さんは何も知らないところから始めて、フランス料理を日本に広める(と言っては一言で済ませすぎだが)ために、実際にフランスに行き、アメリカに行き、その他も各国で交友関係を築き、日本では学校を立ち上げて魅力的な学校を作り上げて、すごい功績だと思う。自然相手じゃないけど、探検家だ。
それにしても(日本人以外は)親切であたたかい人ばかりが出てくる。でもきっと、そうではなかったパターンもあったのではないかと思う。ただし、そうではないパターンが話題にならないほど、海外で受けた親切が大きかったのかなと思う。いい巡り会いがあって、とても前向きな気持ちで読めた本だった。
そして、今まで全く興味のなかったフランス料理、興味が湧いたので食べに行こうと思う。ワインも飲めないけど少しでも飲んでみようかと思った。夫に本を勧めたら、夫もハマって、ベシャメルソースを自分で作ったりして料理をしてくれた。おお、これが1時間も混ぜていたベシャメルソースか。と。
いやー、私にはまだまだ世の中知らないことがいっぱいだな、と感じることができたいい本だった。面白かった! -
ここ最近でも1番だわ... 勇気もらえる