よるのふくらみ(新潮文庫) [Kindle]

  • 新潮社 (2016年10月1日発売)
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感想・レビュー・書評

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  • 古びた商店街と共に育った兄、圭祐と弟の裕太、そして裕太と同い年の2つ下の幼なじみのみひろ。
    何でもスマートにこなす、皆の憧れの圭ちゃんに恋するみひろ。
    思った事をすぐ口にするが甘え上手で、皆から可愛がられる裕太はそんなみひろの気持ちに気付きつつ兄より先に告白するチャンスを狙う。
    学生時代のそんな淡いエピソードもあり、気がつけば大人になったみひろは圭祐と結婚を控え一緒に暮らしていた。
    それぞれの目線からみる出来事が時系列と共に繋がっていく。
    章が変わるごとに、その人物に感情移入してしまい誰も憎めなくなった。
    確かになぁ、その言い分わかるなぁ。
    好きな相手だけど他人と暮らす、生活していくうちにわかる価値観の違い。
    子供を作ることと、性欲の為のセックスが結びつかないこと。
    やりたいのはセックスじゃなくて、あなたとのセックスだってこと。
    美味しいご飯を食べながら、目の前のこの人とこんな日常で良いではないかと思いつつ頭のすみにいつもある違和感。

    口には出さないがこんなふうに思いながらも、皆なにかしら折り合いをつけて毎日を過ごしているのではないか。

    もうこんなふうに、気持ちを揺さぶられるような恋愛をする事がない私だが、腹黒な一面もある恋愛観がリアルで久しぶりに感情がぐちゃぐちゃになった。


  • 4角関係?ドロドロなはずなのにサラッと読めた。
    みんな素直に生きてこーよー

  • 伝えられないことが、ほんとうに言いたいこと、
    なのかも知れない。

    そうした中で
    「誰にも遠慮はいらないの。なんでも言葉にして伝えないと。
    どんな小さなことでも。幸せが逃げてしまうよ」
    という、美しいあの人の言葉が強く力を放つ。

    無意識に、意識的に、人はぶつかり、
    ぶつかることを避けたりしながら
    すれ違っていく。

    大切なものを手にすることは難しい。

    逃げるようなしながらも、逃げずに
    向き合う登場人物の言動に引き込まれ、
    グイグイと読み進んだ。

    さまざまな見たくないもの、言いたくないことを
    抱えながら結びついてゆく登場人物の
    あたたかい行く末を見つめた。

  • 図書館で借りて読んだ。

    面白かった。3人の主人公が、順繰りにそれぞれ2章ずつ語る、計6章からなる物語。同じ商店街で育った兄弟と、弟と同い年の女。くっついて離れてドロドロしている話なのだが、文体のせいか、登場人物のキャラクターが憎めないためか、すんなり読める。それぞれの目線で見えなかったことが見えてくる。みんなそれぞれ幸せになりたいだけなんだよな。でもボタンの掛け違いというか、タイミングというか、うまくいかなかったりする。本当に人の人生はそういうものだ。

  • 窪美澄作品の振り返り

    たぶん、前に読んだなあと思いながら再読
    どこか廃れはじめた商店街で育った
    少女と兄弟をめぐるお話、
    どう考えても兄の方が、旦那としては
    お得に思うのだけど、
    そこは現実ともある意味、同じで、
    そうは上手くいかないというところがミソ

    普通のお話だったら、
    裕太はいっそみひろを諦めつつ、里沙さんと
    くっつくだろうと予測するが、
    そうはいかないのが、逆にリアリティがあった。
    やっぱり人間、そんなに単純ではないのだ。

    みんな親のこと、過去から引きずってきた思いや
    口には出せない現実みたいなものを
    ごちゃごちゃと整理もできないままに
    抱えながら生きている。
    いまよりも、ちょっとだけ、
    自分の息の吸いやすい場所を
    手探りで探しているような、そんな物語だ。

    最後に裕太とみひろがハッピーエンドとなること、
    結婚という形をとること、
    子供ができること、すごく良かった。
    そして、お兄ちゃん、ラストに教会で
    ミミこと京子と再会するところ、
    すごく良かったなあ。
    2人にも絶対に幸せになってほしい。

  • 読んだ時、単純ながらも大人の小説だと思いました。
    私の中ではとても印象深い一冊でした。

    ”性”というものに対して、登場人物を介して様々な立場から描かれていて、
    自身も大人になってきたからこそ対等に受け止められるなと思いました。
    同時に『ふがいない僕は空を見た』も読了しましたが、そちらよりも個人的には
    馴染みの深い恋愛小説に近く、最後は
    「あぁ、それぞれが自分の本当の気持ちに気づけて、前に進むことができてよかったな」と思いホッとした気持ちで読み終えることが出来ました。

  • どうにもならない事、諦められない事、誰にでも心当たりがある感情かも。そこに折り合いをつけながら生きていくのが大人でしょうか。

  • 恋と愛と、性欲はそれぞれが結びついていて、また独立している。生臭い話を綺麗にまとめあげたことに感嘆する

  • いろんなテーマをはらんでいて、なかなかに深い気もする作品ではあるが、なんというかちょっと劇画風というかドラマ向きというか、鼻白むというか。。。まあ若い人が読めばまた違うんだろうけど。

  • エロい恋愛小説。
    恋愛小説であることは間違いない。兄、弟、弟の同級生の女性。もう30前後の大人が繰り広げる男女のそれぞれの思い。
    女性が本能のまま、欲情に駆られセックスする描写。男女間のこの行為は日常的なことなのかもしれないが、それを官能小説のごとく女性目線でストレートに表現しているのはちょっとビックリ。
    男と女、心と体、それぞれが思うようにいかないものなんでしょう。
    だからこそこういう小説が成立するのであって、おもしろい。

    タイトルの「よるのふくらみ」ってどういう意味?トンボの幼虫であるヤゴを飼育する場面が出てくる。ヤゴが羽化する状況を表しているようだが、「よるのいとなみ」と読み間違えそうだ。(^-^*)

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著者プロフィール

1965年東京生まれ。2009年『ミクマリ』で、「女による女のためのR-18文学賞大賞」を受賞。11年、受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』が、「本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10」第1位、「本屋大賞」第2位に選ばれる。12年『晴天の迷いクジラ』で「山田風太郎賞」を受賞。19年『トリニティ』で「織田作之助賞」、22年『夜に星を放つ』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『アニバーサリー』『よるのふくらみ』『水やりはいつも深夜だけど』『やめるときも、すこやかなるときも』『じっと手を見る』『夜空に浮かぶ欠けた月たち』『私は女になりたい』『ははのれんあい』『朔が満ちる』等がある。

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