実践 行動経済学 [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 人間(ヒューマン)は二つの認知システムを持っている。
    対してエコノは常に熟慮の上行動する。
    (※エコノ(ホモ・エコノミクス「経済人」)

    行動経済学以前は人はエコノのようにふるまうと仮定して
    理論を構築していた。
    しかし、ヒューマンはエコノのように振舞わないため、
    実際の経済と理論の経済が乖離してしまう。

    経済学はよりよい社会の実現のために利用されるべきだが、
    前提がエコノであるために机上の空論になってしまうことが多い。

    そこで、認知科学、心理学といった学問の考え方を導入し、
    経済の理論をより現実に近づけようという試みが行動経済学という学問。

    この本では、行動経済学の考え方をベースに世の中の様々な仕組みについて、
    あるべき姿を提案している。

    初めの部分では、私たちヒューマンの持つ認知の自動システムについて
    具体例を用いながら解説している。
    これを読むと、私たちは如何に非合理的に判断することが多いかがわかる。
    興味がある場合はさらに認知科学に関する本を読むとよい。

    後半ではこれらの陥りやすい判断に対して、どのような社会的な仕組みがあればよいかを
    例示しながら解説している。
    少し冗長なところはあるが、自分の身の回りにある社会の仕組みにあてはめながら
    読み進めると面白いと思う。

  • ナッジや行動経済学を理解したい人は必ず読むべき本

  • 行動経済学の説明と、それをどう実社会に活かすかという本。人は従来の経済学が想定するほど、合理的には振る舞わない。だからこそ自由な選択を残しつつ、より良いとされる選択をとりやすくしてあげるリバタリアン・パターナリズムに意味がある。原著のタイトルが「Nudge」であることからも分かる通り、「ナッジ」という行動経済学用語は本書が起源である(「ナッジ」という言葉そのものは以前からあったが)。そのため書かれている内容は、行動経済学の本を何冊か読んでいると知っていることばかりだった。

    構成としては最初に行動経済学の基本を説明する。人には認知的限界と様々なバイアスがあり、必ずしも合理的な行動をとるのではない、と。その後に応用編としてどのように人々をナッジするのか、既存の問題に対する解決策としてアイデアや事例を数多く紹介する。そして最後にリバタリアンパターナリズムに対する批判や誤解に対する反論を述べる。

    本書を読むと「全てが釘に見える」ではないが、様々な場面でナッジを使えないかと考えるようになる。どんな選択の提示方法でも相手が人間である限り、何かしらのナッジをしてしまうことになる。例えば選択するのに頭を使う必要がある場合、人はデフォルトか「選ばない」を選びやすい、というように。逆に言えば、あらゆる選択を行う場面では、ナッジが機能するということである。仕事においても日常生活においても、ナッジを取り入れることで、より良い判断ができるようになるだろう。

  • 行動経済学や行動科学、心理学に関する本はたくさん読んできましたが、本書でいう『実践』とは制度設計・形状設計など我々が私生活で何気なく関わっている領域の話になります。よって、タイトル以上に行動経済学の応用に関する内容であり、翻訳の仕方なのか、行動経済学における認知バイアスの細かな解説は端折られています。予備知識がないと、読んでいてもいまいち何の話をしているのか分かりづらいですね。

    それを割り引いても訳者の言い回しがとても長ったらしく、自分の専門外の政策の領域になると日本語を頭の中で再翻訳しないと話についていけませんでした。

    それでも、本書で語られている事例とそれに対する考察は、本職での展開などに応用できそうです。

  • 3.4

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著者プロフィール

米シカゴ大学経営大学院教授。1945年米ニュージャージー州生まれ。74 年米ロチェスター大学で経済学の博士号取得(Ph.D)。米コーネル大学、米マサチューセッツ工科大学(MIT)経営大学院などを経て95年から現職。行動経済学の研究で、2017 年にノーベル経済学賞を受賞した。著書に『行動経済学の逆襲』(遠藤真美訳、早川書房)、『セイラー教授の行動経済学入門』(篠原勝訳、ダイヤモンド社)などがある。

「2022年 『NUDGE 実践 行動経済学 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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