持続可能な資本主義 [Kindle]

著者 :
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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感想・レビュー・書評

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  • 資本主義の限界に対して、新しい資本主義(社会の課題を解決しながら、持続的な経営を目指す)を目指す企業を支援する投資運用会社を立ち上げた方のお話。

    鎌倉投信買おうと思う。

    企業が社会課題に取り組み始めることで、企業とNPOの役割がどんどん近付いてくるというのは印象的。

  • 面白い、読みやすい。感動。アベマの解説が分かりやすくて読んでみた。

    学び 気づき
    お金は手段、目的ではない
    金融は血液 目的を理解してうまく回す
    知らないいい会社他にもある

    To do
    鎌倉投信hpチェック
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  • Audible にて。
    「パーパスモデル」の中でこの本の「八方よし」という考え方が紹介されていて興味を持ったので。

    永遠に資本主義を継続させたいのであれば、限りある資源を枯渇させないように八方よしの考え方が必要とのこと。

    一般的な投資家らしくない、数字にできない要素や利益にならないものをコストとみない考え方が新鮮。
    良いと思った企業を徹底的に信頼し、継続的な投資を行っているところも素晴らしい。

  • 現金・預金や不動産のような「見える資産」ではなく、社風や社員のモチベーションなどの「見えざる資産」を基準に投資をしている鎌倉投信の社長が書いた本。

    ・日本の企業は、90年代以降グローバル・スタンダードに過剰適応した結果、「見えざる資産」を打ち捨ててしまった。
    ・時代に合わせて日本的経営を進化させた「いい会社」が増えれば、持続可能な資本主義を実現できるのではないか。

    ・著者はBGI証券時代、無限にお金を増殖させていたが、「ゴールのないマラソン」に体が悲鳴を上げ退職を決めた。その後リーマン・ショックが起こり、金融業界の信用は地に落ちた。

    ・「リターン=お金」と考えるかぎりゴールは無限になり、どこまでも効率的に稼ぐ方法を探さなければならなくなる。
    ・その後生まれた鎌倉投信のリターンの定義は「リターン=資産の形成×社会の形成×心の形成=幸せ」。

    ・今の経済はフローを高めるためにストックを削り、社会を毀損している。「ストック重視の資本主義」へ移行しなければならない。

    ・「いい会社」は数値化できない。「ホスピタリティを標準化するとただのサービスになってしまう。
    ・定量化できないからこそ、現場に出向き、自分の目で見て、「数字に置き換えられないもの」を感じ取る。

    ・投資家と投資先の企業が出会う「場」も、鎌倉投信は作っている。
    ・鎌倉投信の投資先にはまだ利益が出ていない会社もあるが、全てが「これからの社会に必要とされる会社」。

    ・かつて、日本の商売は「三方良し」だった。経済が複雑化した今では「八方良し」に拡張させる必要がある。

  • 人に環境にやさしい会社づくりの仕組みを解く本。八方よしという考え方をもとにそれを実践している会社や団体を例に挙げながら説明されているので、非常に説得力がある。

  • 鎌倉投信は聞いたことがあったので、読んでみた。
    理想が並んでいるが果たして・・・うーん。

  • 二宮尊徳の「三方良し」を投資家目線で現代の日本企業をジャッジしてファンドビジネスするなら「八方良し」を目指す形となった、という内容。

    実際に「鎌倉投信」を運営しているのでその信頼度はリアルタイムに結果に出るのでそちらでその都度確認するとして、そのジャッジの方法が「見えざる資産(社風、企業文化、社員力、社員のモチベーション、経営者の資質、社内外に気づかれた信頼、理念に対する共感など)」を「主観」によって独断で決めているというところ。

    あと、フローの増加(短期売上)を四半期で追求する企業が増えるほどに社会基盤の破壊行為が横行し、究極的には戦争ビジネスに行き着くという考えに共感する。
    破壊と再生のプロセスはストックで見ればプラマイゼロであっても、フローでは再生された分だけ増加する。しかもゼロからであれば伸び率の初速がハンパないわけだ。
    そこで著者はこの短期志向へ向かいがちな資本主義に「長期的な最適化(社会基盤を毀損しない)」を念頭に置く「時間軸」を重視するよう主張している。
    この辺りの主張は経済学者の宇沢弘文さんの「社会的共通資本」を連想した。SDGsが叫ばれる昨今、この問題意識はとても重要だ。

    <八方良し>
    ①社員良し
    ②取引先・債権者良し
    ③株主良し
    ④顧客良し
    ⑤地域良し
    ⑥社会良し
    ⑦国良し
    ⑧経営者良し

  • 面白い。

    資本主義における欠点、とくに金融のフローが評価される点、その欲が尽きないというところから、
    本書では鎌倉投信の取り組みも踏まえて、新たなチャレンジを提案している。

    成長しない=マイナスであったり、成長が止まる=0%であったり、色々と考えはあるが、おそらく経済成長が続くは幻想だと僕は考えているので、とても共感できると感じた。

    とはいえ、別にヒッピーや自給自足がいいとかそういうことではないので、このあたりの成長に対する解像度をもっと描いていったり考えていくといいとも感じた。そういった新しい動きでもいいし、考え方を伝えたり、感じられるだけでも良書だと思う。

    当然これらの「いい会社」云々が社会的影響力を強めていくとか、新日本型ものもというのがすぐできるわけではないと思う。けれど、長期的視点とはじわじわゆっくりであってそこを焦っては損じるというところも強く共感する。

  • 鎌倉投信の結い2101は過去40年間7000以上の訪問調査や助言を行っている坂本光司氏の考えを影響を受けておりますが、この本でもその考えが端々にまで行きわたっているなと思いました。
    個人的には日本に昔からある三方よしという考え方を現代風に進化させて八方よし(「社員」「取引先・債権者」「株主」「顧客」「地域」「社会」「国」「経営者」)というのがピンときましたね。
    本で取り上げられてる代表的な企業の中には「地域」に根付いた企業が結構あった印象でした。これから企業間の競争が激しくなる状況下では、生き残り戦略として「地域」「社会」って重要になるんじゃないかと思いました。

  • 【要約】
    鎌倉投信は、目先の利益追求を優先せず、「いい会社」に投資する投資信託であり、日本一の運用実績を誇る。資本主義には地球資源や格差という限界があり、これを乗り越えるためには無理な拡大をする効率至上主義ではなく、「八方よし」を是とし、会社の持つ「見えざる資産」を尊重する新日本的経営モデルへの転換が必要である。

    【所感】
    「父が娘に語る経済の話」の後に読んだこともあり、「資本主義が息切れしている」という筆者の主張に強く共感できた。
    見えない資産を大事にする方が長期的にはプラスが大きいということは、作中で紹介されている会社のエピソードで語られる、生き生きと働く社員の姿、地域から愛される会社の姿から良くわかる。
    「人口が減っているのに経済成長しないといけないのか」という考え方はまさに目から鱗。もちろん、高齢化に従って肥大化する社会保障をどうするか、という問題には対処しないといけないのだろうけど。
    現在日系企業を脅かしているのはグローバリゼーションの侵略であるが、日本は日本語という自然障壁に守られていることを生かし、日本ならではの「人を大切にする」経営を粘り強く続けていくことで、むしろ後になって世界中の人が「日本で働きたい」と思えるようになってくれるのでは。そんな希望を抱かせてくれた一冊。

    【教訓】
    ・「経済成長=善」という思い込みは本質を見失う
    ・価格、利益至上主義から、「あの人だから買いたい」というファンビジネスへの転換
    (「小さな経済圏」というキーワードから、家入一真さんの著書を読んでみる)

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