絶叫 (光文社文庫) [Kindle]

  • 光文社 (2017年3月20日発売)
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みんなの感想まとめ

救いようのない転落劇を描いた本作は、昭和から現代までのノンフィクション事件を巧みにマッシュアップし、社会問題を背景にしたミステリーとして展開します。読者は、登場人物たちの苦悩や足掻きを通じて胸が苦しく...

感想・レビュー・書評

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  • 昭和から現代までをノンフィクション事件とマッシュアップしながら救いようのない転落劇

    読んでて胸が苦しくなるが、強く生きようと足掻く姿が痛々しくも応援したくなる

    最後まで頑張って読んでて良かった
    ラストの衝撃という帯文句がなければ読むの挫折してただろう
    多くの伏線も見事!

    社会問題を織り交ぜたミステリー
    ハマりそう

    ■かつて『人生ゲーム』では、すべてのプレイヤーが必ず「結婚」のマスに止まるようになっていた。しかし、現代のおひとりさま人生ゲームには「結婚」のマスはゲーム盤の外にあり、全員が必ず止まるマスは「マンション購入」になっているのだという。

    ■ 母がよく言っていた、手の届かない場所の不幸せと比べて拵える、言葉だけの「幸せ」。

    ■確かにこれは〈換金〉だ。人の命を金に換える。

    ■「私たちは、何一つ選べないし、何一つ分からない。だから、一切のことに意味がない。何が美しく、何が醜いのか、何が正しくて、何が悪いのか、人は勝手に、あれこれ決めたがるけど、答えはない」 ――そうだよ。

  • マンションの一室でこの部屋の住人、鈴木陽子の死体が腐乱死体で発見される。
    自殺か他殺か解明していくと次々に明るみになってくる鈴木陽子の驚愕の過去。

    弟ばかり可愛がる母親、自殺した弟、借金苦から蒸発した父親、複雑で不運な家庭環境にいる陽子は地元に勤めるOLになり同級生と結婚し東京へ。しかし離婚。
    やがて陽子の仕事や生活は上司との不倫、彼からの暴力、生計をたてるための風俗、保険金殺人にまで関わる凄まじい転落の日々へ変わっていく。
    どこでボタンの掛け違いが発生し、転げ落ちたのか、、
    そこには貧窮暮らしの現実があり、陽子の目の前には他に生きる術を探す選択肢はなく、全ては今を生きていくための決断だったことがわかってくる。

    時代はバブル崩壊後、女性は就職しなくても結婚という永久就職があると言われたり、勤めても結婚退職が当たり前だった。
    そんな時代に自分の生計を立て、親へ仕送りもするのは並大抵のことではなかったはず。
    同情の余地はあるが、ここまでの転落に理解ができず茫然としてしまう。

    終盤に向け闇の世界の仕事で味わった達成感と満たされた承認欲求がイビツなモチベーションとなり、皮肉にも陽子を成長させていき、その意識の変化が結末に繋がったように見えてくる。

    衝撃のラストだ。
    どん底を知った人間が這い上がっていく気迫と生きていく魂からの決意になる結びは、ハッピーエンドにさえ感じる。

    自分の居場所を求め生きていくのに必死だった陽子、母親からの愛情と母親を心から守る陽子の気持ちが合致していたら、普通の親子の人生であったに違いないとやり切れない思いになる。
    いつまでも記憶に残る読み応えのある1冊だった。

  • 鈴木陽子 どこにでもいそうな名前の女性。愛情をかけて育ててもらえなかった子供時代。バブル期という時代背景。様々な社会の裏を見てしまう不幸。犯罪を犯し、最後は逃げ果せてしまうようなラストで、本来ならスッキリしないはずなのにまるでハッピーエンドのような錯覚を覚えてしまった。

  • 最後までとても面白く読むことができました。特に展開は想像を超え、全体の雰囲気やスピード感など十分満足できました。奥貫さんをもう少し暖かく見て欲しかった気もしますが、本庁の係長は最低の奴です。

  • 500ページ越えの大作だけど、先が気になってだれずに読めた!
    鈴木陽子という女の生き様と死に様。
    母親からは愛されず、父親も借金の末出奔し、初恋の人と結ばれるも浮気され離婚etc…。でも生まれたことも死ぬこともどういう運命を辿るのかも『自然現象』だから仕方ない。仕方ないからこそ自由。
    しかしまぁ、この展開は予想出来なかったな…。まさかそう来るとは思わなかった。
    馬鹿だから読後に他の方の感想で気づいたのだけど、途中のカフェも伏線になってたとは気づかなかったよ…。

    葉真中顕さんは時事ネタ?というかリアルにあった出来事を話に盛り込むのが上手いと思う。
    でも現実世界のリンクとか読後の衝撃度で言ったらややコクーンの方が好みだったかなー。
    ロストケアも読むの楽しみ。

    • れにさん
      読了お疲れ様です!最近「自己責任」という言葉で何でも片付けがちだけど、陽子に関しては環境や育ちも作用してそうで自己責任だよねとはなかなか言え...
      読了お疲れ様です!最近「自己責任」という言葉で何でも片付けがちだけど、陽子に関しては環境や育ちも作用してそうで自己責任だよねとはなかなか言えないっていうか…。伏線はすごいし保険金トリックも面白かったです!
      2024/06/08
    • 小説のおもちさん
      >れにさん
      陽子に関してはどこ切りとっても「もうちょい自分の力でどうにかできなかったの?」って部分は特にないですもんね…騙されたりとか流され...
      >れにさん
      陽子に関してはどこ切りとっても「もうちょい自分の力でどうにかできなかったの?」って部分は特にないですもんね…騙されたりとか流されやすい(?)性格はあれど、それも環境によるものが大きいというか…。
      真相が明らかになるにつれてのハラハラ感凄かったですー!
      2024/06/08
  • ✩5つだけど、絶対読むのはお勧めしない。笑
    グロイから。
    読むのならご覚悟を。
    私は全く知らずに読んで、気持ち悪くて気持ち悪くてでもなぜか先を読みたくて。

    単純な保険金殺人の話では無かった。
    そこに至るまでの経緯や、主人公の気持ちなど語り手がいて話が進んでいく。

    最初、主人公の頭の悪さにイラっとしたのだけど、保険という武器を身に着けた主人公はけしてバカでは無かった。すごいとすら思った。(殺人を助長する気は全くないです)
    ただ、人の成長というか、ある時点で主人公はあることに気づく。この気づきが彼女を大きく変えていく。

    最後はなーんだアガサのパクリかと思いきや、え??と思わず息を呑む展開に少し高揚感すら覚えた。すごいな作者さん。葉真中顕(はまなかあき)さんと言うのね。覚えておこう。絶対また何か読みたい。久しぶりにすごい本と出会いました。面白かった。

  • 圧倒的なリーダビリティでひとりの女の壮絶な人生を読まされた。
    結構な長編だけど一気読み。
    ジャンルでいうなら<クライムノヴェル>。
    読んでいてけっして楽しいものではないです。転落に次ぐ転落の人生がここまでするか~ってほど書き込まれています。

    私はまがりなりにもこうして読書を趣味にする生活を送っています。読書を趣味にしているみなさんも私同様にこの女主人公とは真逆の生活、人生を送れているといっていいでしょう。
    だから最近の東横キッズや犯罪に手を染めねばならなかった人の話を聞くと、人生のどこで<そっち>に行くはめになってしまったのか…と考えることがあります。
    そこにひとつの答えをくれたのがこの物語でした。

    なるほど、毒親からはじまって自己肯定感が皆無に等しいこの女主人公には生まれたときから<安心して過ごせる居場所>がないわけですね。それを手にしようと自分なりにがんばるものの、それもけっきょくは<利用され、搾取される側>でしかないという人生。

    それだけで終わってしまうと本当に救いのない話ですが、本書で度肝を抜かれたのはこの女主人公の<魂を悪魔に売ってでも「すべてを振り切って誰もが束の間でも安心して過ごせる優しい居場所をつくろう>としたその強い思いでした。けっして褒められた人生ではないのに、なんだろう、もう最後は「ブラボー!」としか言葉がでなかった。

    ラスト数行でそれまでの読書感が反転します。
    最後の最後にこの不幸の塊のような女主人公にようやくさわやかな一陣の風が吹きました。

    まさに516ページ
    ====
    すべてを振り切り逃げられないはずのものから逃げ延びた女に感心する。すごいな、と思う。
    ====
    です。

    これを読んで宮部みゆきの『火車』を思い出す方は多いようです。私も読後に火車を想いました。
    でもあちらは主人公のその後がああいう形で曖昧なのにくらべて、こちらは最後まで読むと主人公のその後の暮らしぶりがわかるようになっています。その一点においてもプロットに脱帽しました。読み進むうちに展開される人物や事件など、ちいさなことでも伏線がしっかり張られていて、あ、これは!となります。その辺の伏線をしっかり拾っていかないと、最後数行でさわやかな一陣の風は吹かないことを老婆心ながら付け加えておきます。
    なお本書をイヤミスにジャンル分けしている方もいらっしゃるようですが、恐らくそういう方はその大事な伏線を回収しきっていらっしゃらないのでは…と。

    あと、愛猫家の方は読むが辛すぎると思います。

    とにかく本書を読んで強く思ったのは、「家、家族とは、安心して過ごせる幸せな場所であってほしいし、そうでなければダメなんだ」ということでした。

    ミス・バイオレットに乾杯! です。

    なお、本書はWOWOWですでにドラマ化されているようです。配役に安田顕って…。うわ~、もうね、それだけでやばいでしょう!
    本書は叙述トリックでもあるわけなので、あのシーンなんかはどう実写化したんだろう、と興味がわきまくっています。機会があれば見てみたいドラマです。


    ====データベース===
    マンションで孤独死体となって発見された女性の名は、鈴木陽子。
    刑事の綾乃は彼女の足跡を追うほどにその壮絶な半生を知る。
    平凡な人生を送るはずが、無縁社会、ブラック企業、そしてより深い闇の世界へ……。
    辿り着いた先に待ち受ける予測不能の真実とは!?
    ミステリー、社会派サスペンス、エンタテインメント。小説の魅力を存分に注ぎ込み、さらなる高みに到達した衝撃作!

  • 面白かったです。
    鈴木洋子というキャラクターをとおして色々な世界を見せてもらいました。
    個人的には洋子の幼年期、両親のそれぞれの子供への接し方とその子供達の心の動きというか思いが共感できました。
    どうしても一番身近な家族である弟と自分自身を比べてしまい自虐的になってしまうところ。こんなケースは日本に山ほどあるように思います。人と比べてもしょうがないしみんな違ってみんな良いのに。
    そこが人生転落していった転機だと思う。

  • 内容的には、結構重い作品。
    読んでいると、暗く沈んでいくような気分になる。
    だけど、どんな展開になるのか、早く先が知りたくて、どんどん読み進めてしまう。
    最後のお父さんが本物かどうか調べるところにグッときた。
    現実でも、このような人の思い込みは多いかもしれない。

  • ミステリーというか文学的なかんじだった。ただのミステリーなら綾乃の描写いらん気がする。辛いけど止まらない中毒性。かと言って人に勧めづらい内容なので4。

  • 自分の周りにはないが、実際にはこういう状況の人もいるのだろう。
    そして、このような殺人も実際に行われているのかもしれないと思うと怖い。

    最後は、救いがあるのか救いがないのか、人によって感じ方が違うかもしれない。

  • 人間が堕ちていく過程を嫌と言うほど見せつけられる物語。読んでいる方が辛くて、ついつい飛ばし読みしてしまう。それでも真の強者は、どんな境遇になっても生きていく力のある者。彼女の後日談も読みたくなる。

  • 面白かった。違和感は感じてたのに深く考えず読み進めていて、うわぁぁぁとなった。ちゃんと騙されて満足。

  • 冒頭の感じから
    入れ替わりをすぐ想像してしまう自分がイヤ

  • 何がここまで彼女を駆り立てたのか。そうしなければやり直せなかったのか。家族に思い入れがあったのか。だから、あの場所に戻っているんだよね。

  • 私からしたらかなり分厚い本でしたが、あっという間に読み終えました。陽子は「自分は特別ではない」と言っていましたが、そんなことないと思います。面白かったです。

  • これもまた面白くて一気読み。
    陽子は、幸せになれたのだろうか。
    御守りの中に書かれた子の誕生を願うメッセージが、せつない。

  • 久々に綿密に構成されたクライムサスペンスを読んだ。
    とても面白く、本の帯に書かれていた、
    「ライト4行に驚愕」は全くその通りだった。

    物語は、2つの物語を交互に描いていく。

    1つ目は、鈴木陽子の人生を辿る
    第三者の視点で語られる物語。
    父母弟と4人家族の陽子は、父の蒸発、
    母との折り合いの合わない関係、弟の自殺を経て、
    自分の本当の居場所を探しつづけている。
    結婚し、離婚し、転職し、思うようにいかない
    陽子の人生を俯瞰で描き続けている。

    2つ目は、管轄内で発見された腐乱死体の
    生前の痕跡を辿る女性刑事奥貫綾乃の視点で描かれる。
    死体が発見された国分寺のマンションで、
    鈴木陽子の身分証が発見される。
    推定死亡年齢40歳。彼女はどうして死んだのか、
    事故なのか、自殺なのか、他殺なのか。
    戸籍や知人の証言から不審な事実が明らかになる。

    どちらの物語も鈴木陽子が重要人物として描かれるが、
    中盤まで、2つの物語がどこで繋がるのかが分からず、
    読み進め明らかになる事実に、いちいち驚いてしまった。

    また、要所要所に登場する鈴木陽子の人間関係も、
    飛ばさずじっくり読むと、後から後から「あっ」と
    気づく出来事が多々ある。

    じっくり読んで正解だった。
    読む側は絶叫はしなくとも静かに目を剥くと思う。

  • 途中、栗原(保険会社先輩)が、鈴木陽子を騙って悪事を働いていて、並行して鈴木陽子本人の事件とは関係のない不幸な日常が続くと思っていた。
    けど、鈴木陽子本人と違うという要素は当たってたけど、デリヘリ同僚のすみれが身代わりだったという落ち。
    でも、全体的に納得感のある結末。
    Q県の実家跡地でCAFEやってるってのも、いい感じ。

  • とてもおもしろかった!
    序盤よりも終盤に進むにつれて面白くなる小説です。
    物語を通して陰鬱とした雰囲気が独特でクセになりそうでした。

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著者プロフィール

葉真中顕

1976年東京都生まれ。2013年『ロスト・ケア』で第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞しデビュー。2019年『凍てつく太陽』で第21回大藪春彦賞、第72回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。

「2022年 『ロング・アフタヌーン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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