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感想・レビュー・書評
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下巻では、反脆さについてより踏み込んだ解説がされている。
脆さ、反脆さによる反応は、アップサイド(利得)とダウンサイド(損失)の非対称性に加えて、その反応が非線形であることがある。
反脆弱性という概念の応用として、否定の道という考え方が示されている。
脆いものは、時間を経る中で無くなるか減っているかしているわけだから、長い間生き残っているものは、ある程度と反脆い場合が多い。
自然のすることはそれが有害だと証明されるまでは無害と考えてよいが、人間のすることはそれが無害だと証明されるまで有害と考える方がいい。
最後に反脆さと倫理について、「身銭を切る」というアイデアが述べられている。
現代では、他者にダウンサイド(脆さ)を押しつけ、それによって自らはアップサイド(反脆さ)を得ることがまかりとおっている。
そうでなく、自らダウンサイドを引き受ける(身銭を切る)べきだ。
やっぱり何度も読んだが、また読み返して、体験として理解していきたい本だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
上巻に比べ下巻ではより一層具体的に説明されていた。
その中で学生に読む本を推薦してほしいといわれ、「20年以内の出版された本は読むな」、と言う。その理由として売るための出版、話題となるための出版が言われていた。それは当たっている。
また医源病ということでも具体的な薬、例えばリポバスのようなコレステロールの薬に対する効用と副作用についても基本的な考えを示していた。かといって、代替治療も否定していた。
経済については、学生が投資などのことはあまり行わない場合が多いので役には立たないかもしれないが、基本的に予測ではなく、非線形である、ということは考えていていいのかもしれない。 -
「反脆い」もしくは「反脆弱性」という新しくて分かりづらい概念を説明している書籍です。著者はブラックスワンで有名なタレブ氏で、上・下巻の二巻構成になっています。
分かりづらい概念ではありますが、本書を読み進めるうちに自分の周りにも「反脆い」システムがありふれていることに気づきます。特に生態系は最も分かりやすい反脆弱なシステムと感じました。地球という生物にとっての生存環境が長い年月をかけて変化し続ける中で、多数の生物が存在することが全体として反脆弱なシステムになっています。一方で一つの種に視点を移すと、環境の変化に適応できずに絶滅する種はいつでも存在するので「脆い」と言えます。多種多様な「脆い」種が存在することが、全体として「反脆い」生態系というシステムを形成しているという考え方です。
本書では他にもあらゆる事例や視点から反脆弱性について検証されており、世界を理解する新たな視点を得ることができ、視野が広がったと感じます。 -
上巻を読むと下巻も読みたくなってしまう。
こちらもなかなか面白かった。
上巻ほどのインパクトはないが、本書を読む間に、
思考がさらに整理され、
自分の中に落とし込まれていくプロセスを味わえる。 -
反脆弱性という優れた概念を提案・実践する本なのですが、いかんせん似たような説明が多い書籍です。
とはいえこの概念が持つ広さとここから出てくる「身銭を切る」倫理観を体感するには冗長でも多くの実例が必要という判断なのだと思います。
もし上巻を読み終わってうんざりしている方がいらっしゃるなら、下巻の付録に数式を用いた説明があるので、それと関連書籍の項を見れば十分です。 -
否定の道,「善とは悪がない状態」
善を追求するのではなく,悪を取り除くことを目標とする -
>すべてのものは変動性によって得または損をする。脆さとは、変動性や不確実性によって損をするものである。テーブル上のグラスは変動性で損をする。
これがこの本の要約とのこと。上巻だけを読んでも十分な気もしなくない。まあ上巻を楽しく読み終えたのなら下巻を読む価値はあると思うけど。
この著者は時間の試練を耐えたものは素晴らしいというヒューリスティックを信奉しているところがあるなので食事も1000年前から口にされてきたものしか取らないように心がけているようだ。しかし彼はコーヒーをOKとしているようだが、今のようにコーヒーが飲まれるようになったのは13世紀頃からである。もう少し待て。
またタバコについて批判的に書いている。曰く「タバコを禁止するなどしてタバコ業界を世の中から抹殺すれば、医学のほかの成果などみんな脚注にすぎなくなる」と。これについては同意だが、彼はワインは素晴らしいものだと信じているようだ。どうやらキリストの血なんていうマーケティングに騙されているようだ。誰か彼の目を覚ましてあげて欲しい。 -
あなたの祖母は、最初の1時間をマイナス18℃、次の1時間を60℃の中で過ごすのだ。平均を取れば、地中海と同じとっても快適な気温(21℃)になる。だが、あなたを待ち受けているのはたぶん、祖母の亡骸、お葬式、そして遺産だろう
特許のベンチマークやってて疑問に思うことがあります。件数小の法人の取り扱いです。大局的に見れば、捨て置いても良いと思います。一方、ベンチャー的なポジションにいるならば、件数が少なくても見るべきと思います。
結局全件見ろ、ということなのでしょうか。件数小からベンチャーのシグナルを感じ取れる変数があれば、少しは効率的かもしれません。 -
上巻のあまりの出来に興奮しっぱなしだったが、下巻の第6部「否定の道」(と第7部「脆さと反脆さの倫理」)については、やや首をかしげざるを得なかった。言っていることはわかるのだが、この論理でいくと、古いものほど反脆いからすばらしいということになってしまって、リスクをとって新しいものを生み出す起業家の存在を否定することにもなりかねない。それは本書の主張とも違うと思うのだが、どうだろうか。