筆者の主張が強すぎるとする意見もあるようだが、suicaとApple payの歴史が分かり、ビジネスのドキュメントとして面白かった(詳しい人には物足りないかもしれない。)。
特に、
①Suicaがここまで発展するためにどのようなステークホルダーと関わり、どのように進んできたか
②なぜ日本でiDやクイックペイが普及したかや、クレジットカードとの関係
が整理された点が良かった。
示唆的だった点を備忘の観点から以下に記載する。
・元々非接触ICの国際標準規格にはNFC(Near Field Communication)タイプA(低メモリ・タスポなど)とタイプB(高メモリ・マイナンバーカードなど)の2種類があった。
・しかし、交通大国日本においてそれらでは処理が遅いため、SuicaにはSonyのFelicaの技術が使われた。のちにその利便性からタイプFとして国際標準規格となるが、当時はなっていなかったためガラパゴス化してしまった。
・しかしAppleがiPhone7以降のApple Payに対してFelica機能を搭載し、Suicaと連携する動きを見せたことで一気に普及が進んだ。Appleは日本でのApple Pay普及の鍵を交通マーケットと見たためこのコラボが実現した。
・Apple Payにはポストペイとの競争が生じたが、Suicaのネットワークに乗っかるために、これまたFelicaの機能を使っているiD(NTTドコモと三井住友カード)とクイックペイ(JCBとトヨタファイナンス)を採用することで、ApplePayの利便性を維持したまま日本におけるクレカ決済ができるようになった。
・一方これにクレカブランドが割りを食った。国際ブランドの強みはそのネットワーク。決済ネットワークをカード会社に使わせる代わりに手数料を得ているわけだが、Apple payのFelicaのネットワークに手数料を取られてしまうと、国際ブランドには何も入ってこなくなる。
・特にVISAは、2020年に向けて日本にNFCのネットワークを構築しようとしていたため、Apple Payが大きな障壁となってしまった。
・VISAがAndroidペイと組んだ。Apple Payはカード会社から手数料をとってしまう(代わりに顧客データは抜かないが)。これに対してGoogleはカード会社から手数料をとらず、国際ブランドの領域を侵さない代わりに顧客データを抜き取っている。