ねじの回転 FEBRUARY MOMENT(下) (集英社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 二・二六事件の首謀者の安藤、栗原はどうなるのか。国連側のマツモトとアルベルトも頻繁に出てきて、こちらの二人の動向も気になる。予期しない伝染病も発生して、先が読めない、息もつかせぬ展開である。ひょっとしたら、日本はアメリカの州になってしまうのか、いやそれとも人類自体が破滅に突き進むのか。石原莞爾が重要な登場人物となり、軍部の独走を押さえ、泥沼の日中戦争を回避させるのかと思わせたりして、非常に面白い。ところで「ねじの回転」という題名は、ヘンリー・ジェイムスの同名の小説を絶対に意識しているよな。電子書籍ではありません。

    • やまさん
      goya626さん
      おはようございます。
      いいね!有難うございます。
      やま
      goya626さん
      おはようございます。
      いいね!有難うございます。
      やま
      2019/12/02
  • 歴史に疎く、SFを好まない私はこの小説の設定を掴むまでが長く、前半部分はよく意味もわからなくて辛かった。ところがさすが恩田陸。時間遡行装置を理解してからは歴史の確定に手に汗握り緊迫感のある物語を一気読みでした。
    「二・二六事件」を中心とした歴史の一幕を私なりに理解し、興味も広がりました。

  • 何だか、掴みきれないまま読み終わった上巻。これは、「二・二六事件」を分かっていない自分には、手に余るのかな、、そう思いつつ、読み進めた下巻。

    正直、驚いている。こんなにペースアップして、引き込まれて、ページを捲る手が止まらなくなるとは思っていなかった。
    徐々に、恩田さんがSF要素を上手く、読者に説明するために使っているのであろう、「確定する」「不一致」「つまむ」などの言葉にも馴染んできて分かるようになってくる。
    それとともに、繰り返し「不一致」や「確定」が作品中で繰り返されるおかげで、徐々に自分の昭和初期の歴史知識もよみがえりつつ、「二・二六事件」やそこから、第二次大戦に進んでしまう日本の様子などが見えてくる。
    すると同時に、自分たちの行く末を知りながら、「確定」の為に、何度もその数日の事件をたどらされ、苦悩する、石原・安藤・栗原の思いが胸に迫ってくる。

    過去にさかのぼれるのに、重要な歴史の転換点で、修正ではなくて、確定をすると言う斬新な設定。なぜ、修正ではないのか、と言うところにも、これまで国連がしてきたことが関わっている。このPJに関わっている国連のメンバーたちの生きる「今」がどうなっているのか、が関わっている。
    SFが苦手な私にとっては、勝手な個人的偏見で、SFなんてよく分からない、あり得ない設定の中で、あり得ないことが起こっていくものでしょ、と思っていたが、
    この作品は、歴史小説を読んでいるようでもあり、こういう時代を経て、戦争のない平和な世の中を獲得したのだということを改めて考えさせられる小説でもあり、一方で日本人の考え方の傾向や組織の在り方は、結局変わっていないのかもしれない、と気づかされるノンフィクションのようでもあった。

  • SF、2.26事件、面白かった。でもやっぱりタイムパラドクスからは離れられない。時間は1本の線だとすると、タイムトラベルが成立するけど、面だとすると特定の時間上には無限の過去が同時に存在することになるので、無理ということになると思う。

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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