- 祥伝社 (2017年4月20日発売)
本棚登録 : 212人
感想 : 21件
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・電子書籍 (370ページ)
みんなの感想まとめ
社会の闇に立ち向かう新米ケースワーカーの成長を描いた物語で、生活保護受給者の不正や貧困ビジネスが背景にあります。主人公の牧野聡美は、先輩ケースワーカーの死をきっかけに、真実と正義を追求する決意を固めま...
感想・レビュー・書評
-
柚月裕子さんは「虎狼の血」がおもしろかったので期待して読みましたが...前半はちょっとダラダラ感が...
でも、後半の怒涛の展開はスカッとします。
しかし、弱い者にたかるヤクザ、許せませんね...
食い物にされている生活保護受給者は少なくないのでしょうね。
若林がとにかくカッコイイ。現実の警察は絶対こんな風に動いてはくれない気もするけど。
生活保護については、マンガ「健康で文化的な最低限度の生活」に比べるとイマイチリアリティがないかな。
あと、ケースワーカーが受給者に金貸しちゃいかんと思った。
それと、終章に「規則だからなにもできない、ではなく、たとえ規則を破ってでも、本当に相手のためになることをする。そんな熱い使命感を持つ者が、優れた職業人だ」とあるけど、これは気概としてはわかるけど、職業人として優れているかはどうなんだろうな…とも考えてしまった。規則の曲解こそが問題なのではないか?
思い込みで行動して周りに迷惑かける人もいるしね…詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
柚月裕子の小説、2014年に単行本、2017年4月文庫本。
生活保護受給者の不正と市役所の社会福祉課のベテランケースワーカーの死の謎を追う新米ケースワーカーが成長しながら、そして死と向かい合わせに会いながら社会の闇に立ち向かっていく物語。
ヤクザが生活保護受給者を食い物にする貧困ビジネスが背景にあり、殺されたケースワーカーは関わっていたのか、隠蔽しようとする事なかれ主義の上司、現場捜査を指揮する型破りの刑事、色々な事情を抱えた生活保護受給者の面々とその過去、関係するヤクザの面々。
ケースワーカーの仕事に消極的だった新米ケースワーカーが上司の指示に逆らってまで真実と正義を追求し、それを制御しながらも結局は警察の組織の常識を無視して新米ケースワーカーを助ける刑事と共に事件の真実を解き明かす。
新米ケースワーカーの牧野聡美が主人公であるが、型破りの刑事若林永一郎が渋くていい。
市役所の中の暴力団との密通者は予想通りの展開ではあったが、暴力団絡みの迫力は「虎狼の血」をうかがわせ、若林刑事の警察他部署をも手中に収める捜査手腕が気持ちいい。 -
牧野聡美は、大学在学中に社会福祉士と児童福祉士の資格を取得し、津川市役所の臨時職員として就職した。
希望配属先は福祉保険部であったが、実際には福祉保健部社会福祉課となり、担当する業務は生活保護に関わる部署だった。
聡美は生活保護の受給者に対して、嫌悪を抱いていた。
メディアなどで不正受給者の実態などが報道されるにつけ、一部の人たちであることを知りつつも、そのような人たちと関わることを考えるだけでも気が重くなった。
そんな気持ちが表情に出ていたのか、生活保護のケースワーカーとして実績ある先輩の山川亨が、「いつか、この仕事をしていてよかった、と思える日がくるよ。きっと⋯」とアドバイスをしてくれた。
聡美はそうなるようにと願った。
人望も厚く、真面目なベテランケースワーカーの山川が、受給者の現況を調査するために、あまり風紀の良くない地域に出掛けた日、アパートの火災に巻き込まれて死亡した。
検死の結果、撲殺と判明し、犯人自らが放火したとの結論となった。
山川が殺害されたその日、会うはずだった受給者の一人が行方不明となった。
その男はヤクザとの繋がりがあり、この事件には生活保護の不正受給と関係しているのではとの疑義が生じる。
山川の仕事の後を継いだ聡美と小野寺は、受給者の生活状態を把握するためにコンビを組んで行動を共にしていた。
小野寺もケースワーカーの仕事に対しては熱心とは言い難いのだが、最低限のノルマは真面目に果たしていた。
そんな二人は警察の若林刑事から、犯人は明らかに生保受給者の中にいるとみて間違いないだろうと聞かされる。
二人はケースワーカーの仕事と同時に、独自に犯人探しの行動を開始する。
上司の猪又課長は、警察ごっこのようなことはするなと強く注意するのだが、二人は調べを止めない。
表題の『 パレートの誤算 』だが、パレートの法則から引用したのだろうが、読み終わってなるほどと思い至った。
社会的弱者を切り捨ててはならないと云う意味が含まれているのだろう。 -
生活保護を所管する地方公務員が使命感にかられ、悪徳商法で弱者から掠め取ろうとする裏社会の人間、弱味を握られそれに加担する人間に立ち向かう爽快ストーリー。読み易さは圧倒的。流石、柚木さん。けど、振り翳す正義感、使命感がやや全時代的、昭和的にも感じてしまいました。
-
勉強になるし、ミステリー的には王道の展開。
-
人口20万ほどの小都市の市役所福祉課を舞台に、生活保護の新人ケースワーカーが事件に巻き込まれていく様子を描く。最後のセーフティネットとしての生活保護を悪用しするやくざと、彼らに弱みを握られていつの間にか片棒を担がされ、殺人まで犯してしまう市役所職員と、正義感を失わず受給者の自立支援を目指すベテランケースワーカーなどを登場させ、貧困ビジネスなどの一般の目に触れにくい社会の闇を題材にしているのは斬新と言える。
しかし、その現場にごく近いところで長年働いてきている身にしてみれば、やはり「それはありえないでしょ」という登場人物の動きや、現場の一番の苦労は「そこではないでしょ」という思いにかられてしまった。
また、ストーリー展開や登場人物の心理描写、落ちなどはこの著者にしては陳腐で、初期の作品かと奥付を確認したほど。パレートの法則をモチーフの一つにしたところは、さすがではあるので☆3つ。 -
ミステリという形で、生活保護の必要性や問題点がよく分かる小説。パレートの何が誤算なのか。法則それ自体ではなく、法則を聞きかじった側の理解の問題。世の8割の人は自分が2割側だと思っているのかもしれない。パレートの法則を考え直す意味でも、普段ぼんやりとしか意識していない生活保護をもう少し知る意味でも、面白い1冊。
-
犯人が想定内でした
-
成果保護をモチーフにした社会派ミステリー。福祉保健部社会福祉課に在籍する、牧野聡美が先輩ケースワーカー殺人事件の真相に迫る。パレートの法則の二割以外の部分にも、存在意義はある→ということで「パレートの誤算」。
-
働き蟻の法則、百匹の蟻がいる。一定数はよく働き、一定数はまるで働かない。働かない蟻を除外して働く蟻だけ集めたとしても、その中からやはり働かずに怠ける蟻が発生する。
パレートの法則も同様、ある事象の二割が、全体の八割を担っている。二割以外のものは全体に影響を与えない。いなくてもいい存在。生活受給者は自分の力で生きられない怠け蟻と見られる。それでも懸命に生きている。自立に向かって頑張っている。
尊敬していた上司が殺される。不正をしていたのではないかと思われる。正義感の強い聡美ちゃんがもうこれ以上はやめておいてと何度も思った。 -
生活保護制度を悪用した貧困ビジネスがテーマ。ミステリは副次的な要素が強かった。
著者プロフィール
柚月裕子の作品
