パレートの誤算 (祥伝社文庫) [Kindle]

  • 祥伝社 (2017年4月20日発売)
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みんなの感想まとめ

社会の闇に立ち向かう新米ケースワーカーの成長を描いた物語で、生活保護受給者の不正や貧困ビジネスが背景にあります。主人公の牧野聡美は、先輩ケースワーカーの死をきっかけに、真実と正義を追求する決意を固めま...

感想・レビュー・書評

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  • 柚月裕子さんは「虎狼の血」がおもしろかったので期待して読みましたが...前半はちょっとダラダラ感が...
    でも、後半の怒涛の展開はスカッとします。

    しかし、弱い者にたかるヤクザ、許せませんね...
    食い物にされている生活保護受給者は少なくないのでしょうね。
    若林がとにかくカッコイイ。現実の警察は絶対こんな風に動いてはくれない気もするけど。

    生活保護については、マンガ「健康で文化的な最低限度の生活」に比べるとイマイチリアリティがないかな。

    あと、ケースワーカーが受給者に金貸しちゃいかんと思った。

    それと、終章に「規則だからなにもできない、ではなく、たとえ規則を破ってでも、本当に相手のためになることをする。そんな熱い使命感を持つ者が、優れた職業人だ」とあるけど、これは気概としてはわかるけど、職業人として優れているかはどうなんだろうな…とも考えてしまった。規則の曲解こそが問題なのではないか?
    思い込みで行動して周りに迷惑かける人もいるしね…

  • 柚月裕子の小説、2014年に単行本、2017年4月文庫本。
    生活保護受給者の不正と市役所の社会福祉課のベテランケースワーカーの死の謎を追う新米ケースワーカーが成長しながら、そして死と向かい合わせに会いながら社会の闇に立ち向かっていく物語。
    ヤクザが生活保護受給者を食い物にする貧困ビジネスが背景にあり、殺されたケースワーカーは関わっていたのか、隠蔽しようとする事なかれ主義の上司、現場捜査を指揮する型破りの刑事、色々な事情を抱えた生活保護受給者の面々とその過去、関係するヤクザの面々。
    ケースワーカーの仕事に消極的だった新米ケースワーカーが上司の指示に逆らってまで真実と正義を追求し、それを制御しながらも結局は警察の組織の常識を無視して新米ケースワーカーを助ける刑事と共に事件の真実を解き明かす。
    新米ケースワーカーの牧野聡美が主人公であるが、型破りの刑事若林永一郎が渋くていい。
    市役所の中の暴力団との密通者は予想通りの展開ではあったが、暴力団絡みの迫力は「虎狼の血」をうかがわせ、若林刑事の警察他部署をも手中に収める捜査手腕が気持ちいい。

  • 牧野聡美は、大学在学中に社会福祉士と児童福祉士の資格を取得し、津川市役所の臨時職員として就職した。
    希望配属先は福祉保険部であったが、実際には福祉保健部社会福祉課となり、担当する業務は生活保護に関わる部署だった。
    聡美は生活保護の受給者に対して、嫌悪を抱いていた。
    メディアなどで不正受給者の実態などが報道されるにつけ、一部の人たちであることを知りつつも、そのような人たちと関わることを考えるだけでも気が重くなった。
    そんな気持ちが表情に出ていたのか、生活保護のケースワーカーとして実績ある先輩の山川亨が、「いつか、この仕事をしていてよかった、と思える日がくるよ。きっと⋯」とアドバイスをしてくれた。
    聡美はそうなるようにと願った。

    人望も厚く、真面目なベテランケースワーカーの山川が、受給者の現況を調査するために、あまり風紀の良くない地域に出掛けた日、アパートの火災に巻き込まれて死亡した。
    検死の結果、撲殺と判明し、犯人自らが放火したとの結論となった。
    山川が殺害されたその日、会うはずだった受給者の一人が行方不明となった。
    その男はヤクザとの繋がりがあり、この事件には生活保護の不正受給と関係しているのではとの疑義が生じる。

    山川の仕事の後を継いだ聡美と小野寺は、受給者の生活状態を把握するためにコンビを組んで行動を共にしていた。
    小野寺もケースワーカーの仕事に対しては熱心とは言い難いのだが、最低限のノルマは真面目に果たしていた。
    そんな二人は警察の若林刑事から、犯人は明らかに生保受給者の中にいるとみて間違いないだろうと聞かされる。
    二人はケースワーカーの仕事と同時に、独自に犯人探しの行動を開始する。
    上司の猪又課長は、警察ごっこのようなことはするなと強く注意するのだが、二人は調べを止めない。

    表題の『 パレートの誤算 』だが、パレートの法則から引用したのだろうが、読み終わってなるほどと思い至った。
    社会的弱者を切り捨ててはならないと云う意味が含まれているのだろう。

  • ポジションが人を作る。
    ほとんどの人はその職業に生まれつくのではない。
    ケースワーカーになってから、自分の役割・意義をかみしめて成長する。

    働かない蟻を軽蔑したり、ミスリードに気づかず人の本心を推論してラベリングしたりするこころが、犯人を見誤らせる。


    社会からすれば、自分の力で生きられないわたしたちは、怠け蟻にしか見えないかもしれない。だが、働かないとされる蟻だって、一匹一匹が懸命に生きているのだ。わたしたちも、それぞれが事情を抱え、社会の助けを借りながら自立に向かって頑張っている。社会的弱者と呼ばれているわたしたちが努力して自立できれば、今度はわたしたちが、いまの自分たちのような人たちの助けになれるかもしれない。働かない蟻にも、パレートの法則の二割以外の部分にも、存在意義はある。パレートも自分が唱えた法則で、それらが無価値だとは述べていない。もし、そのように解釈している人がいるとしたら、それはパレートにとって誤算といえるだろう。人間社会は、法則や数式で成り立っているものではない。
    わたしたちひとりひとりが努力して自立し、すべての人がひとりの人間として見てもらえる社会を実現したい。そのためにわたしは、ある目標を立てている」記事の最後は、短い一文で結ばれていた。――将来、ケースワーカーになりたい。

  • 生活保護を所管する地方公務員が使命感にかられ、悪徳商法で弱者から掠め取ろうとする裏社会の人間、弱味を握られそれに加担する人間に立ち向かう爽快ストーリー。読み易さは圧倒的。流石、柚木さん。けど、振り翳す正義感、使命感がやや全時代的、昭和的にも感じてしまいました。

  • 後半にかけて面白くなり読むスピードが上がった。
    ミステリーを読み慣れている人には犯人の予想は簡単だったのかもしれないけど、私は犯人は全くわからないタイプ。山川さんどうして不正受給に加担したの…?と読み進め、小野寺が裏切り者だったのか!と驚き、え!?猪俣課長かよ!!と思い切り騙され、楽しく読み終えた。
    良い人だった山川さん、殺されてしまってかわいそう…
    それにしても、金田の殺し方といい、聡美が殺されかけた時といい、ヤクザって怖い。

    正義感が強く、熱い気持ちで仕事に取り組んでいた山川さん、そして最初はやる気がなかったものの段々と成長した聡美&小野寺を見て、私も仕事頑張らなきゃなと、モチベーションが上がったような気がしなくもない。

  • 勉強になるし、ミステリー的には王道の展開。

  • 人口20万ほどの小都市の市役所福祉課を舞台に、生活保護の新人ケースワーカーが事件に巻き込まれていく様子を描く。最後のセーフティネットとしての生活保護を悪用しするやくざと、彼らに弱みを握られていつの間にか片棒を担がされ、殺人まで犯してしまう市役所職員と、正義感を失わず受給者の自立支援を目指すベテランケースワーカーなどを登場させ、貧困ビジネスなどの一般の目に触れにくい社会の闇を題材にしているのは斬新と言える。
    しかし、その現場にごく近いところで長年働いてきている身にしてみれば、やはり「それはありえないでしょ」という登場人物の動きや、現場の一番の苦労は「そこではないでしょ」という思いにかられてしまった。

    また、ストーリー展開や登場人物の心理描写、落ちなどはこの著者にしては陳腐で、初期の作品かと奥付を確認したほど。パレートの法則をモチーフの一つにしたところは、さすがではあるので☆3つ。

  • 初読。kindle。生活保護の問題をいろんな視点から描きながら、殺人事件の謎解きがある。いろいろと問題はあるけれど運用方法さえ間違わなければ必要な制度だ。また登場人物のお仕事成長小説の側面もある。

  • ミステリという形で、生活保護の必要性や問題点がよく分かる小説。パレートの何が誤算なのか。法則それ自体ではなく、法則を聞きかじった側の理解の問題。世の8割の人は自分が2割側だと思っているのかもしれない。パレートの法則を考え直す意味でも、普段ぼんやりとしか意識していない生活保護をもう少し知る意味でも、面白い1冊。

  • 犯人が想定内でした

  • 成果保護をモチーフにした社会派ミステリー。福祉保健部社会福祉課に在籍する、牧野聡美が先輩ケースワーカー殺人事件の真相に迫る。パレートの法則の二割以外の部分にも、存在意義はある→ということで「パレートの誤算」。

  • 働き蟻の法則、百匹の蟻がいる。一定数はよく働き、一定数はまるで働かない。働かない蟻を除外して働く蟻だけ集めたとしても、その中からやはり働かずに怠ける蟻が発生する。
    パレートの法則も同様、ある事象の二割が、全体の八割を担っている。二割以外のものは全体に影響を与えない。いなくてもいい存在。生活受給者は自分の力で生きられない怠け蟻と見られる。それでも懸命に生きている。自立に向かって頑張っている。
    尊敬していた上司が殺される。不正をしていたのではないかと思われる。正義感の強い聡美ちゃんがもうこれ以上はやめておいてと何度も思った。

  • 道和会と繋がっていたのは小野寺だったのか…と読者を揺さぶる場面があったけど、それには全く騙されなかった。絶対猪又でしょって。

    山川が殺されたり、聡美が負傷させられたり、嫌なことはあったけど、最後はちゃんと悪いやつは成敗されて良かった。

  • 生活保護制度を悪用した貧困ビジネスがテーマ。ミステリは副次的な要素が強かった。

  • 黒幕は展開を考えるとわかりやすい。

  • 2019/7/2 Amazonよりプライムデーセールにて394円でDL購入。
    2026/3/27〜3/30

    生活保護の闇を扱った作品。妙にリアリティがあった。こういうこと本当にあるんだろうなぁ。柚月さん、こういうの上手いわ。

  • 柚月裕子強化月間、継続中。
    取り敢えず電子版になっているのを片っ端から読もう、
    ということで、チョイスしたのがこの作品。

    物語のテーマはなんと「生活保護」。
    ちょっと前に中山七里の作品で同じテーマのモノを読ん
    だため、個人的に興味が続いているモチーフ。中山作品
    が生活保護というシステムの実態に対する問題提起なの
    に対し、こちらは生活保護不正受給という犯罪行為にフ
    ォーカスした、より緊迫感に溢れる内容となっている。

    ミステリーとしてもかなり優秀。悪人候補・善人候補が
    クルクル入れ替わる展開はハラハラするし、落としどこ
    ろもなかなかのモノ。どんでん返し達成、とまでは言わ
    ないが、個人的な満足度はかなり高かった。

    それよりも重要なことは、不正の実態が明らかになって
    いること。生活保護の不正受給がヤクザのシノギになっ
    ている、というのはなんとなく知っていたが、その手口
    についてはさすがに詳しく知らなかった。やり口は巧妙
    にして卑劣で、人としてどうかと思うレベルの最低な犯
    罪。それを改めて認識させてくれただけで、もう脱帽。
    社会派なんだよな、この作家は。

    骨太なミステリーが好きな人には強力にオススメ。
    とにかくしばらくは柚月裕子漬けになりそう!

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著者プロフィール

1968年岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。同作は白石和彌監督により、18年に役所広司主演で映画化された。18年『盤上の向日葵』で〈2018年本屋大賞〉2位となる。他の著作に『検事の信義』『月下のサクラ』『ミカエルの鼓動』『チョウセンアサガオ咲く夏』など。近著は『教誨』。

「2023年 『合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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