アサシンズプライド6 暗殺教師と夜界航路 (富士見ファンタジア文庫) [Kindle]

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  • KADOKAWA (2017年6月20日発売)
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感想・レビュー・書評

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  • 戦闘はからっきし、出来損ないと呼ばれた幽霊がチマチマ策を弄して敵味方それぞれの思惑を台無しにしつつも、ハッピーエンドを持ってくる話。

    冒頭で水着回を消化。今回クーファは基本的に男と一緒か単独行動ばかりなせいか、ハーレム状態を序盤に詰め込んできました。
    サラシャのようなふえぇ系の奥手な女の子にはSっ気が刺激されるようで、遂にクーファは言葉攻めを楽しんでいることが地の文から読者に判明してしまいました。己の容姿の良さに自覚があるのかはいまだに判別できませんが、向けられる好意を利用する程度は平気でやるところは逆に好感が持てます。それにしてもサラシャの「めっ」は最高ですね……四人娘の中では「めっ」が似合うナンバーワン。
    奥手なサラシャには強引に迫る、小悪魔なミュールには不意打ちを仕掛ける、まさに教科書通りの攻略方法です。ミュールは耳年増なだけでちょっと予想外の距離の詰め方をされるとすぐに動揺するのがめちゃくちゃ可愛い。その後の反撃の際にどさくさに紛れて「触るな」ではなく「触るならムード作りをしてほしい」と要求しているデレ方も素晴らしい。四人の美少女に剥かれてぬるぬるにされて思考停止しているイケメンの光景も素晴らしい。

    6巻は『親』がテーマのようで、メリダの父親とミュールの母親が活躍し、ラスボスもまた親でした。
    フェルグスのメリダに対する複雑な心境は理解できますが、それにしてもあれだけ健気に慕ってきてがんばっている十四歳の子どもに対してあまりにも自分勝手な態度に腹が立ちます。自分自身ばかりを哀れんで、自ら望んで生まれたわけでもない被害者とも呼べる少女を思い遣ることもできないのかと。クーファがフェルグスの事情について「お嬢様には関係がありません」とばっさり切り捨ててくれたのはスカッとしましたが、それに対してまた拗ねたような返事をしたものだからこの巻だけでフェルグスへの好感度が大幅に下がりました。いっそ冷たく接することに徹していればまだよかったのに、中途半端に情を見せるから余計に振り回されるメリダが可哀想に見えてしまうのですよね。これ以上ないほど大暴落したフェルグスの株は、今後盛り返してくれるのでしょうか。

    水着のサービスから始まり飛空艇の操縦に戦闘と、セルジュ大活躍でした。飛空艇でのドンパチがメインの物語だったら王爵様は主人公になれそう。飄々としていて船の操縦が得意で戦闘も強くて国のトップ、クーファとは違う方向性でものすごく好きなタイプです。
    どこかの巻の感想でセルジュとクーファがの共闘がたくさん見たいと書いた気がしますが、たくさん見られました。カラー絵でてっきりセルジュVSクーファなのかと思っていたのですが、まさかあのかっこいいイラストが共闘中に足を引っ張り合っているシーンだと誰が予想できようか。お互いに隠し事はあっても遠慮なくどつき合う男子高校生のようなじゃれ合いが微笑ましい。
    取り繕う必要がある人物がいなければ延々と小競り合いをしている仲の良さは何ページでも見ていられるので、この二人には末永くお付き合いしていただきたい。セルジュはいろいろな理由で物語から退場しそうな雰囲気が常につきまとっていますが、そこをなんとか乗り越えてほしい。

    4巻でサラシャに何か秘密がありそうなことが示唆され、5巻でメリダが『神の子』と呼ばれるような何かがあることが判明し、今巻ではミュールの出生が謎めいてきました。ラ・モールの子孫ではないかのようなことを女王から言われていましたが、公爵家の血でなければ動かない装置が動いたのでメリダとは事情が全然違う様子。確実に公爵家の血は流れているが子孫ではないとなると、機械とか人造とかの可能性? 人外美少女もたいへんおいしいと思います。
    こうなってくるとエリーゼだけ何もないということはないのか、それとも特に秘密がないエリーゼが救世主になるのか。なんにせよ四人娘に関しては誰かが欠けるという心配だけはしなくても大丈夫そう。

    エリーゼとサラシャ、メリダとミュールが合流して全員で「助けて!」と叫ぶシーンはこの巻で一番笑いました。大人がわりとシリアスに命がけの戦いをしている一方で、ファンシーな家具の敵から逃げ回る四人もそれはそれで必死なのでしょうが読んでいる方は和みました。
    メリダとエリーゼは離れてはならないと何度か言われていて実際にその通りだと誰の目にも明らかですが、一巻の頃のよそよそしくてメリダがエリーゼに「気安くリタって呼ばないで!」と怒鳴っていた頃が嘘のようです。むしろよくあの状態まで拗れることができたなと今となっては逆に不思議になってしまう。

    「調教してやるよ」という決め台詞こそあったものの戦闘シーン自体はカットされる程度にはクーファは絶対に勝つという前提が物語にありますが、メリダも絶対に心が折れないという前提が気持ちいい。どれだけ周りから自身を否定されても、自分の大事なものだけは否定させないという不屈の精神でノイズを撥ね退けるお嬢様は何度見てもかっこいいし熱くなる。世界観のお洒落さで忘れがちですが、メリダは何度でもド根性で立ち上がる少年漫画のような熱血ヒロインですよね。好きです。

    今回も熱い展開の連続で面白かったのですが、用心深く頭がキレるはずのクーファが何度もブラッドに騙される展開はどうしても腑に落ちなかった。一度騙されている相手から腕を掲げれば飛べるという石を渡されたならば、真偽を確かめるために少し浮いてみるくらいのことはするはずでは。しかもエリーゼとサラシャを助ける切り札になるかもしれない物と交換となれば、尚更あっさり騙されるのが不自然です。その場所に留まらせるための理由が必要だったのだとは思いますが、それにしてもクーファが急にポンコツになったようで違和感を覚えました。
    そこのモヤモヤ以外は、三大公爵親子勢揃いの波瀾万丈なお墓参りという盛り上がりっぱなしの展開が楽しかった。しかも次巻は更なる試練が主従に待ち受けるフラグが山盛りにされています。いろいろな意味で負けない主従なので、次はどうやって逆境をはね返してくれるのか楽しみです。

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著者プロフィール

「暗殺教師に純潔を-アサシンズプライド-」で第28回ファンタジア大賞<大賞>を受賞し、デビュー。

「2021年 『アサシンズプライド13 暗殺教師と廻天導地』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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