サピエンス全史 単行本 (上)(下)セット

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感想・レビュー・書評

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  • 歴史を振り返る時、人は「進化」という一方向に向かう概念をそこに貼り付けたがる。しかし「進化論」はその変化が主観的な選択によるものではなくランダムに起こった変化の偶然の積み重なりの果ての生き残りに過ぎないと教える。上手く環境に適応出来たものは生き残り、そうで無かったものは死に絶える。生物の歴史であろうと、人類の歴史であろうと。

    なるほど確かにダーウィンが提唱した環境への適合は自然選択というメカニズムの中で説明され得るが、その背後に如何にも人類を進化の最も進んだ存在と捉えるニュアンスが漂う。自然な生物種の多様性のバランスを超えた存在である人類の優位性を肯定的に誇るような思考がひっそりとまぶされているようにも感じる。ナイーヴな生物学的主観をそこに重ねると人類は巨大な生物ピラミッドの頂点に立つ一握りの生物種であるかのようにも思えてくる。

    しかし、事実はそれと大きく異なる。数的、質量的に、人類は決して一握りの生物ではない。人類こそ環境を左右するほどに増殖し地上を席巻した生物であるのだと、本書は改めて指摘する。そして人類の特殊性は根拠の無い自信による単なる自己中心的な考え方であると退けることが出来ないばかりではなく、ひょっとすると生物という概念すら一変させてしまうかもしれない程の知識と技術を持った存在になりつつあるのだということを、恐ろしい程の説得力で描いて見せる。

    文明の夜明けは神話を信じる力の獲得とともに訪れたとする筆者の主張は、農業革命を逆説的に穀物による人類の隷従化とユニークに捉え、その後訪れた産業革命も同様の視点から捉え直すことによって、果たして人類は狩猟民族であった時代よりも幸せになったのかと問う。その問い自体は痛烈な文明批判のようであるが、冷静な歴史学者は環境団体の主張をなぞることなくサピエンスの特殊性を詳らかにし論を進める。その進め方は、随所で現代社会の課題の一端を切り取ることになり、そこに的確な分析が示される故、うっかりするとビジネス書や自己啓発書のようにも読んでしまいかねない誘惑にも駆られる。

    最終章へ向かって強く主張されるのは、現在の姿はダーウィンの進化論の説明するような偶然の選択による形質獲得であったのだとしても、今後人類は初めてそれを主観的にデザイン出来る時代に入っているということ。かつて否定されたラマルク的な進化論が科学技術の革新によって肯定される時代がすぐそこに来ている。ラマルクの主張した用不用説が現実となるのをアイロニカルだと捉え、オーエンの描いたディストピアを思わず思い出してしまうのは必ずしも的外れの連想でもないだろう。著者の最後の言葉が重く響く。『自分が何を望んでいるかもわからない、不満で無責任な神々ほど危険なものがあるだろうか?』―『あとがき―神になった動物』

  • 読破するまで大変時間がかかったが、今までにないスケールの大きさと、未来を示唆する内容、人類として地球に生存する責任感というものを改めて考えさせられる本であった。何回も読み込まないと深い理解ができないのではと思い、再読に挑戦する時期を模索中。

  • さすが世界的ベストセラー、素人の自分にも分かりやすく、生物学的な切り口で書かれた人類史は目から鱗。とても面白かった。

  • 人類の歴史を紐解き、これから我々がどう生きて行くか示唆に富んだ一冊。
    認知革命、農業革命、科学革命、産業革命と進化を遂げてきた我々は今後どこに行くのか行きたいのかを考えなければならない。

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