畜犬談 —伊馬鵜平君に与える—

  • 青空文庫 (2017年7月26日発売)
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みんなの感想まとめ

心の変化と愛情の形成を描いた物語は、犬に対する感情がいかに変わり得るかを示しています。初めは犬を嫌っていた主人公が、偶然の出会いをきっかけに愛着を持つようになる過程は、共感を呼び起こします。特に、犬に...

感想・レビュー・書評

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  • 可愛い。
    太宰の描く憎と表裏一体になった拗れた愛情が好きだ。最終的に主人公が犬を好きになる話だというのは途中からなんとなく読めたが、それでも尚、すっかり感情移入して読んでしまった。ポチが皮膚病にかかったあたりで陰が差し、毒入りの肉を主人公が食べさせた瞬間にはもう目の前の予想が潰えた心地で、はらはらとしてしまった。

    犬の獣性と病気をとくに畏れていた主人公が、最後にはポチの喧嘩を「おれは噛み殺されたっていいんだ」と称し、皮膚病を我慢しようと妻に説得する。恐怖や憎しみすらも飲み込んでしまう、“愛”という感情のあたたかさ。

    コミカルに描かれていて、何度も読みたくなる。
    いい作品に出会った。

  • 嫌い嫌いって言いながら、急に名前付けてるじゃん!!と笑ってしまった。

    ポチと赤犬の闘いに巻き込まれて死んでもいい!って思ってそばから毒の入ったお肉食べさせるって…感情が忙しかった。
    ほのぼのしたり、ゾッしたり、サスペンス感もあって不思議な話。

  • 太宰治の短編小説『畜犬談 ―伊馬鵜平君に与える―』は、犬に対する強い恐怖と嫌悪を抱く「私」の視点から描かれています。物語は、友人が犬に噛まれ、21日間も病院に通う羽目になったエピソードから始まります。この出来事をきっかけに、「私」の犬への憎悪は一層深まります。
    「私」は甲府の町に仮住まいしており、そこでは多くの犬が放し飼いにされていました。犬を避けるため、「私」は満面の微笑を浮かべたり、夜には童謡を口ずさんだりして、犬に害意がないことを示そうと努めます。しかし、これらの行動が裏目に出て、逆に犬たちに懐かれてしまいます。
    ある日、黒い小犬が「私」の後をついてきて、ついには家に住み着くことになります。この犬を「ポチ」と名付け、仕方なく世話をすることになりますが、「私」はポチに対して愛情を持てず、むしろ厄介者と感じています。ポチは成長するにつれ、他の犬と喧嘩を始めるなど、手に負えない存在となっていきます。
    やがて、「私」は東京の三鷹村への引っ越しを計画し、ポチを甲府に置き去りにすることを決意します。しかし、引っ越しの直前、ポチは皮膚病にかかり、見るに堪えない状態になります。家内はポチを殺すことを提案しますが、「私」はそれに反対し、ポチの世話を続けます。
    最終的に、「私」はポチを連れて東京へ引っ越すことを決めます。ポチの存在を通じて、「私」は弱者への同情や愛情を再認識し、芸術家としての使命を思い出します。物語は、「私」がポチを抱きしめ、涙を流す場面で締めくくられます。
    この作品は、犬に対する嫌悪から始まりながらも、次第に愛情や同情へと感情が変化していく様子を描いています。また、弱者への視点や芸術家としての使命感など、太宰治の思想が色濃く反映されています。

  • かなり時代の違いを感じさせる作品であり、正直犬が可哀想に感じました。
    ただ、なんとも言えない表現と犬に対する気持ちの変化は読んでいてとても面白かったです。

  • 最初は犬が大嫌いだった私が偶々犬を飼うことになった。名前はポチ。最初は鬱陶しく思えて、ポチが病気になると殺そうとまでしてしまう。が、殺すことに失敗し、それと同時にポチに愛着を持つようになり、殺しに同意した妻を説得しようと試みるまでになった。この物語は、好きも嫌いも結局は当人の心の持ちようであることを伝えたかったのであろう。

  • お笑いのネタでありそうな話

    犬の悪口がこれでもかと書いてある本(笑)

    犬好きな人にぜひ読んでほしい。

    めちゃくちゃいい話

    うちにも愛犬がいますが、読んだあとはさらに愛おしくなります。

  • ネチネチとひたすら犬の悪口。あまりに執拗なため笑ってしまうし、突如に飛び出す残酷すぎる表現や反復表現が今でも通用する面白さでした。

  • 面白かった。ユーモアがあり思わず吹き出してしまうところがあ何箇所もあった。
    とても太宰治らしい。人の心理だけでなく、犬の心理にまで気を遣うとは、本当に笑えた。
    勿論戦時中に書かれた作品であるからそこに寓意を感じることもできる。
    私が面白いと感じたのは、太宰の生き物への接し方、感じ方にふれる事ができたことだった。
    ますます太宰治が好きになった。

  • 犬に対して憎悪と言ってもいいほどの感情を抱いている主人公。
    だがその憎悪はほとんど主人公の妄想と言ってもいいもの。主人公曰く、犬は人間に媚びへつらいながらも内心では人間を馬鹿にしていて、隙を見せたら今にも噛みつこうとする畜生なのだとか。
    そんな主人公が偶然にも一匹の犬に好かれてしまい、家に居着かれてしまう。
    主人公は犬を憎んでいるが、同時に恐れてもいるので追い出すこともできず、ポチなんて名前をつけて渋々面倒を見始める。
    だが太宰作品の主人公だけあってプライドだけは頗る高い。
    面倒を見ながらも、畜生め! と内心吠え続けている。
    だが、そんな犬を手放さなければいけない日が来てしまう。やっとこの畜生から解放されると喜ぶのだが、どうも犬は身体の調子も悪そうだし、始末するなんてことも出来ない。しょうがない面倒みてやるか、とまんまと犬の魅力にやられてしまう。

    さすがにそれはどうなのよ……? と、こちらが引くくらいに犬への呪詛を並べているにも関わらず、行動が裏腹なのが笑える。
    太宰作品は暗い作品ばかり読んできて、笑える作品があるなんて知らなかった。ブラックな笑いではあるが、犬を見ると思い出してクスリと笑ってしまいそうなほどインパクトのある作品だった。

  • おもろすぎた、また戻ってきたい笑

  • 思わずふふっと声が出てしまう、太宰治の短編小説(エッセイ?)
    太宰治の著作では、個人的に1番好き。

    あまりに極端な犬への憎悪と犬に使うには美しく豊すぎる語彙で怒涛のように捲し立てられる悪口の数々。

    世には悪口インフルエンサーがいるらしいが、太宰治の悪口をめちゃくちゃに見習ってほしい。

  • 宇多丸さんのラジオで知り、読了。
    アンチこそが実は一番のファンなんじゃないか、という説を全肯定するような一冊。主人公の偏屈さに愛おしさと笑いが込み上げてくるのを抑えられない。面白かった〜

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著者プロフィール

太宰 治(だざい・おさむ):1909年、青森県北津軽郡金木村生まれ。中学の頃より同人誌に習作を発表。旧制弘前高校から東京帝国大学仏文科へ進学、中退。1933年、太宰治の筆名で「列車」を発表。「二十世紀旗手」「女生徒」「富嶽百景」「お伽草子」「ヴィヨンの妻」「斜陽」ほか代表作多数。1948年、筑摩書房の雑誌「展望」にて「人間失格」連載。同年6月、同作最終回の掲載をみることなく、玉川上水に投身。

「2025年 『人間失格』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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