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感想・レビュー・書評
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タブーって知ってて笑う方が怖いと思いませんか?
語り部も三人目、この中では主人公と唯一の同学年である福沢玲子ちゃんです。
初々しく対等な立場から、等身大で女の子らしい目線の怖い話を教えてくれるんですが……。
他の五人と違って信念や気負いが特にない、それなのに強いモチベーションが要求される怪談の集会に出席している時点でなにかがおかしいと思うかもしれません。
そんな彼女の担当話は輪にかけてレビューを書くのが難しい。猟奇描写は今までも、もちろん今後だって控えてるんですが、現実的に考えて最も危ない話はこの「あなたは幸せですか?」ではないかと思うくらいには。
1995年と言えば歴史的テロ事件が起こった年でありますし、この題材を提案したのは勇気が要ったなとしみじみ思います。
リスクが「絶対面白いものになる」というリターンに釣り合う小ささだったかはここでは論じません。
だけど、そういった見えないリスクがあるからこそ、この話を読むことがより危険で甘い誘いに満ちたものになると思えば、リスクもまた考えようですよね。
この話も完成度が高いです。色々ショッキングな迷彩をかけてますけど、本質を言ってしまえば一本の線につながるっていう意味で意外とシンプルな話、というか現実と地続きなのが一番タチが悪い。
本質がなにかは語りませんよ? なにか危ない気がしますから。
ちょっとネタばらしをしてしまうとこの七つに分冊化された話は伝聞でなく体験談としてすべてが語られているのですが、それを嘘ホントどちらと取っても正解です。
だけど、世の裏で理不尽と不条理が渦巻いていることを想像し妄想してしまえば、それをグロテスクな形であれ文に落とし込んだのはホラーというジャンルの功績だと思いますね。
おそらくこの話を語るとして、どんな形であれ笑い声を交えることが出来るのはあの六人の中で福沢だけです。頭が悪いわけではない、リスクも踏まえた上で考えられる、だけど危うさを抱えていて「えいっ」って思わぬところに行ってしまいそうな彼女でなければ。
さて、次で折り返し地点。
共感できますか、それとも鼻で笑いますか?
それは次を読んでからでも遅くはないと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示