むすびや (双葉文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 就活で一つも内定を取れなかった「結」とうい名前の青年。引っ込み思案ですぐに顔が赤くなってしまう。
    .
    母親からゆいちゃんと呼ばれているが、本人は女の子のような名前を気に入っていない。
    .
    大学を卒業した結は、家業のおむすび屋を手伝い始めたが、敗北感に似た気持ちをずっと抱えている。
    .
    しかし、少しずつ変化していく結の心と仕事に対する姿勢。
    .
    結を取り巻く人々の描写も丁寧に綴られている。
    .
    とてもほっこりする1冊。

  • 「おむすび作ったよ。」と声をかけると、誰でもなぜか笑顔になる、おむすびはそんな食べ物だと思う。

    残りご飯にふりかけを混ぜて作るのが我が家の定番おむすび。周りはしっかり、中はふわっと…てそんなに簡単にできるものではない。食べ物の小説を読むと、必ずそのおいしさを文章で細かく表現するシーンがある。そんなにおいしいもの、私食べたことないわ…と少々あきらめムードになってしまうのがいつものおちなのだけど、おむすびならもしかして自分にもできるかもしれない、結君も初めてなのにやろうとしてるんだから…と思えるような話だった。

    最近コンビニで買うのも結構おいしいけど、近所にこの「むすびや」があったら、私はきっと常連客になるだろうと思う。

  • たかがおむすび。されどおむすび。むすびやの1人息子「結」は両親が営むおむすび屋にも、自身の名前にも劣等感をずっと抱いていたが自分がお店に立ち家業にに携わることで心の蟠りが消えていく。シンプルだからこそ奥が深いおむすび。具材にもセットのお味噌汁や漬物にも決して手を抜かないむすびやに行ってみたい。終始お腹がぐぅぐぅと鳴って、ほっこり温かく読了しました。

  • 就活に失敗した主人公が両親が営む「おむすび屋」で働き、日々成長していく姿が、おむすびの具やサイドメニューが題となった14の話で描かれています。コンビニじゃないおむすびが食べたくなります。

  • 就職活動に全敗し、家業のおむすび屋さんを手伝うことになった結。
    そのことに劣等感や敗北感を覚える毎日。
    しかし、両親を手伝ううちに仕事の大変さや近所付き合いの大切さを
    知っていく。
    また、「ゆい」という女の子みたいな名前も嫌だったのだが、
    その名前の由来についても初めて知ることになって・・・

    といったほんわかほのぼのな物語。
    山も谷もない平凡な調子で一貫して描かれているものの、
    退屈感もなく楽しめた。
    この話、続くのかな?
    恋愛の伏線もあるような気がするし、友人のその後が描かれても
    いいような気もするし、結はまだまだ駆け出しだし。
    もっとたくさん物語にできそうなんだけどなー。
    ちょっと期待しておこう。

  • また食べ物。
    就活に失敗して、実家のおむすび屋さんを手伝う兄さん。
    いろんな人生歩む周囲の人と、自分を見つめ直す主人公。
    おにぎり、ではなく、おむすび。

  • ほんわかとしてていい感じではあるが、だからどーなの?と突っ込みたくなるねえ。おむすび食べたくなるけどね。

  • 何が気になったのか?というと、おそらくひらがな4文字の
    タイトル。穂高明という作家はこれまで全く知らなかったし、
    事後に著作を調べても知っている作品はただの一つも無かった。
    だけど・・・。

    今回は自分のインスピレーションに感謝した。
    これだけ優しくて暖かい内容の小説は本当にひさしぶり。読中
    に覚えたフワッとした感動が最後まで持続したのだから、これ
    はもう名作なのだと思う。

    就職活動に失敗し、仕方なく家業の「おむすび店」で働き始め
    る主人公・結。女性のような名前にコンプレックスがあり、自
    分に全く自信が持てない無駄に美形なイケメンが、東京の下町
    (たぶん^^;)の人情に触れ、ゆっくり成長して行く物語。

    事件の類は全く起こらないし、ドロドロした人間関係も一切無
    い。下手すれば冗長な内容になってもおかしくない設定にもか
    かわらず、退屈を一切感じ無い。各章のタイトルがおむすびの
    具材、というのもすばらしい工夫で、それぞれの具材がエピソ
    ードの内容を象徴している。一遍を読み終える度に思わず唸っ
    てしまうのだから凄い。

    当然、読後にはおむすびが食べたくなった(^^;)。
    こういう店が近くにあったらいいのになぁ・・・。

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著者プロフィール

一九七五年、宮城県生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了。二〇〇七年『月のうた』で第二回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞。同作は、傑出した筆力を書評家などから絶賛された。他の著書に『かなりや』(ポプラ社)、『これからの誕生日』『むすびや』(双葉社)、『夜明けのカノープス』(実業之日本社)がある。

「2019年 『青と白と』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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