- 講談社 (2017年4月20日発売)
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みんなの感想まとめ
非現実的な状況の中で、若くして夫を失った非常勤美術講師の主人公が、幽霊の夫と共に過ごす日々が描かれています。彼らの微笑ましいやり取りは、癒やしの時間を提供しつつ、周囲の人々との関わりを通じて様々な厄介...
感想・レビュー・書評
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『今、こうしているわたしと千花ちゃんだって、明日になれば、いや今夜、一分後、どうなるかわからない。天災、事故、事件、あらゆる厄災は予告なく訪れる』
私たちは日々の暮らしの中であくまで今が続いていくことを前提に生きています。今こうして読書を楽しむ私にしても、週明けに予定されている会議、来客対応等々、予定されたスケジュールをこなす未来を前提に一時の安らぎの時間をここに得ています。そんな私に対して、先ほど、珍しく(笑)妻がコーヒーを淹れてくれました。ちょうど本を読み終えた最善のタイミングで香りと味を楽しむ至福の時間。しかし、そんな幸せな時間がいつまで続くのかは”神のみぞ知る”世界です。日々、陰惨なニュースが伝えられる通り、私たちの身にもいつ何時、そのニュースの主役に抜擢される時がやってくるのかこないのかは分かりません。今、コーヒーを淹れてくれた妻を残して旅立つ私、そんな想像はしたくもないですが、そのような未来も可能性としてはあり得ます。しかし、もしそのような瞬間が予期せず訪れることがあったとしても必ずしも二人が二度と会えなくなるというわけではありません。えっ?まさかそんなことが?というそんなまさかを描いた作品がここにあります。告別式で見送ったはずの夫。『白布にくるまれた遺骨』となったはずの夫。それが『あのね、鹿野くんって本当に死んだ?縁側にいるんだけど』というまさかの存在を目にするその瞬間。そして、『こちらがわたしの現実』と考える主人公・うる波。この作品は、そんな亡くなったはずの夫と暮らす主人公の姿を通して、私たちが生きるこの世界、天地を創造したとされる神さまが作った『ビオトープ』を生きる意味を考えていく物語です。
『夜通し眠れず、布団の中でじっと朝がくるのを見ていた』、しかしそんな朝になっても『どうして起きなくてはいけないんだろう』と考える主人公の鹿野うる波(かの うるは)。『わたしはこのまま横たわっていたい。けれど、お葬式をしないわけにはいかなかった』という うる波は夫が『交通事故で死んでから、まだ一日しか経っていない』と『買い物から帰ってきたら、留守番電話に警察からメッセージが入っていた』時のことを思い出します。一方で『理解も納得もできないまま、どんどん現実が押し寄せてくる』という今。そして『告別式の日はよく晴れていた』と式を無事終えた家の中、『うる波、わたし、そろそろ行くわよ』と叔母さんが声をかけます。『シングルマザーでわたしを産み』、うる波が十五の時に出ていった実母、そして引き取られた先の祖父母が亡くなった後の唯一の身内である叔母さん。『こんな辛気臭いとこに若い女がひとりでいると滅入るわよ』という叔母さんを見送り『いつの間にか眠っていた。ここ数日ほとんど眠れていない』という うる波。そんな うる波が『居間に戻ると、縁側に見慣れた背中があった』という衝撃。『あ、うる波ちゃん』と『鹿野くんが振り返り、わたしはその場に立ち尽くしてしまった』という衝撃。『叔母さん、帰った?』と訊かれて『…え?ああ、うん』と『とりあえず返事をした。驚きすぎてごく普通の反応しかできない』という うる波。『悪い人じゃないけど、いろいろ雑なんだよね』と言う鹿野くんは『ポケットから煙草を取り出して火を点け』、『辛気臭いって言葉、久しぶりに聞いたな』といいながら『ふうと煙を吐き出』しました。『混乱して居間の祭壇を見』る うる波ですが、『そこには白布にくるまれた遺骨があ』ります。『ふたたび縁側でタバコを吸っている鹿野くんを見』て、『どっちが現実なんだろう』と思う うる波は『叔母さんに電話をかけ』、『あのね、鹿野くんって本当に死んだ?縁側にいるんだけど』と訴えます。『ちょっと待って。すぐ戻るわ。次の駅で引き返す』と答える叔母さん。しかし『鹿野くんは叔母さんが苦手だから、叔母さんがきたら消えてしまうかも』と思い直し『叔母さん、ごめん。いい。気のせいだった』と電話を切った うる波。一方で『うる波ちゃん、なにか食べるものある?』と『食卓に腰かけて聞いてくる』鹿野くん。『慣れた手つきで戸棚からスパムの缶詰』を、『冷蔵庫から卵』を取り出した うる波。『よどみない動作で日常を遂行しながら、越えてはいけないラインを、気づかずに越えてしまったことを自覚した』という うる波は、『死んだ夫に食事を作る』ことが『いけない理由がわたしの中に見当たらない』と考え出します。『鹿野くんは死んだ。けれど戻ってきた。鹿野くんがわたしのまえに在り続ける限り、こちらがわたしの現実だ』とさらに考えを進める うる波は、『わたしは、鹿野くんがいれば、それでいい』と結論して、死んだはずの夫との今まで通りの日常生活をスタートさせました。
デビュー以来一貫してBL小説を書き続けてこられた凪良さんが、初めてBL小説以外の分野の作品として執筆されたこの作品。女性が登場しないその物語世界を執筆されてきた中で『もっと違うものも書きたい』という欲が溜まっていたという凪良さん。『「できるかな」という不安はありましたが、「女の人を主人公にしてもいいんだ」という解放感のほうが大きかった』と誕生したこの作品は、結婚二年目にして夫を交通事故で亡くした鹿野うる波が主人公となる物語です。そして、そこには上記の通り夫の幽霊が現れ、以前と変わらぬ日常生活を送っていくという、まさかのファンタジー世界が描かれていきます。古今東西、死者が亡くなった後もすぐに昇天せずに元伴侶の元に留まり、その危機を救っていくというファンタジー作品は多々あります。しかし、この作品はそれらとは少し違った立ち位置から描かれていきます。『戻ってきた当時、鹿野くんは自分が死んだことに気づいていなかった』いうその起点。『徐々に自分が生きていないことを理解した』という霊になった鹿野くんについてこんな描写が入ります。『わたしの頬に手を当てた』鹿野くん。『短く切りそろえられた爪に油絵の具が染みている。香り。体温もある。なにも変わらない。なのに生きていないなんて』とリアルに描写される鹿野くんは、幽霊とはとても思えない存在であることが読者にも伝わってきます。一方で、そんな鹿野くんは実際には亡くなっているという現実を踏まえ、うる波は『いつまでも若いままの鹿野くんの隣で、自分だけがおばさんになって、お婆さんになっていくのはきっとものすごく切ない』と考えます。しかし、『どんな姿でもいいわ。ずっとそばにいてくれるなら』と、鹿野くんがいつまでもそばにいてくれることを強く望む うる波。そんな鹿野くんは『幽霊だけれど、生きていたころと同じように日々を過ごす。アトリエにこもって絵を描き、疲れると休憩し、食事をし、お風呂に入り、夜は布団を敷いて眠る』と、もう生きているのと何が違うんだというようにあまりにも普通の日常生活を送ります。そんな生と死の区別を『鹿野くんの観念の中での出来事』と凪良さんは表現しますが、これはなかなかに理解し難い不思議世界の描写です。そして、この作品で特徴的なのが、上記した世の中に多々あるファンタジー作品とは違って、鹿野くんは うる波を助けるヒーローのような役割を演じないという点です。そういった次元以前に、ヒーローにはとても感じられない鹿野くんは、かつてと同じように日常生活を淡々と送ります。この作品は”そうじゃない”作品なんだと早々に気づく読者の私たち。では、この作品の本質はどこにあるのでしょうか?
1990年のアメリカ映画「ゴースト」に代表されるように、死者が影のヒーローとなって元伴侶のピンチを救うという作品群は、もっとファンタジー色が最前面に表出されるのが一般的です。その奇跡の瞬間に涙する、そのような物語はそんな風に演出がなされていきます。しかし、この作品はそれらとは違って、物語自体とてもウエットに展開します。そんな物語は、高等学校で美術の非常勤講師をする主人公・うる波が関わっていく人と人との関係を深く描いていきます。六つの短編それぞれに描かれるちょっと変わった関係の二人組が、その関係に悩み、苦しむ、そのような物語です。六つの短編の舞台設定はとてもバラエティ豊かです。例えば、二編目の〈アイシングシュガー〉では大学生だけど付き合いはじめてすでに八年という佐々くんと千花ちゃんが登場します。重度の『そばアレルギー』を持つ佐々くんと、それを常に意識して彼を守り続けてきた千花ちゃんのまさかの愛の行方が描かれるこの作品。『神さまは容赦ないね』と鹿野くんが語るその物語は『摘み取ったはずの黒い芽は根が残っていて、土中で瞬く間に成長していく』というまさかの二人の秘密を垣間見るものでした。また、三編目の〈マタ会オウネ〉では『お友達はロボットだけ』と家に引き籠る小学四年生がまさかのロボットとともに登場します。『大学の研究室で試作品として開発された子供型ロボット』を父親からプレゼントされた少年。一見突飛な物語が展開しますが、そこに描かれるのは『命あるものとないもの。けれどそれが愛してはいけない理由になるのだろうか』というまさかの人間とロボットの関係性に光を当てる物語でした。
そんな色々な組み合わせの二人の関係に焦点を当てていくこの作品。人は群れで生きる生き物です。生きていくためには、人と人との関係をどう構築していくかは避けて通れない問題です。そんな関係性には、仲良くやっていても長い目で見ると幾度となく試練が訪れるものです。『試練に打ち勝てる人にのみ、神は試練を与える』という言葉を『人を励ますための方便』だと考える うる波。『苦痛に意味なんかない。そんなのないほうがずっといい』と考える うる波。『試練はヒトを成長させる。ある部分では否定しないけれど、かけられた圧力で心は歪んでしまう。以前のような美しい円形ではいられない』とも考える うる波は『試練を与えるのが神さまだというなら、そんな神さまこそ消えればいい』とまで言い切ります。しかし、そんな うる波の思いにも関わらず、私たちは、日々の暮らしの中でそれぞれに他者との関係に悩みながら、その関係に訪れる予期せぬ試練とも向き合っていかなければなりません。それが人として生きるということだからです。しかし一方で、現実世界に姿を見せながらも存在としてはあくまでこの世から切り離されている鹿野くん。現世の人と人との関係性に悩む必要がなくなったその非日常にある存在が、現世を生きる うる波と日常生活を営むというこの作品。そして、そんな状態を『誰がなんと言おうと。後ろ指をさされようと。たとえ世界から切り離されようと。わたしは、鹿野くんがいれば、それでいい』と言い切り、鹿野くんと暮らすことをあくまで心の支えにする うる波。そんな作品は『ラストに決着をつけたくなかったんです』という凪良さんの強い思いもあって、数多のファンタジー作品とは異なる予想外の結末を迎えます。決して安直な結末にするのでなく、不安定であっても、主人公の気持ちにどこまでも寄り添う凪良さんが描く物語。そんなこの作品には、ファンタジーなどなく、あるのはあくまでリアルな人と人との物語だった、そう思いました。
人がそれぞれに思う幸せの形は異なります。しかし、誰もが何かを信じ、何かを求めて生き続けています。他の人からすれば奇妙奇天烈なことであっても、その人にとっては大切なこと、それはその人の心の内に形作られるその人だけの世界でもあります。『世の中は秘密だらけで、それでもなんの不都合もなく回っている』。人それぞれの世界の中で完結する限りにおいては、誰も誰かを否定することなどできません。それぞれの心の拠り所は人それぞれです。そして、それは相手のことを思う時も同じです。
それぞれがそれぞれの形で相手を思い、思われる、それが私たちが生きるこの世界。そう、その世界こそが、神さまが私たちに用意してくれた『ビオトープ』なのかもしれない、そんな風に感じた不思議な感情の残る作品でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
若くして交通事故でいきなり夫を亡くしてしまう非常勤美術講師のうる波。
葬儀の直後不意に現れる、自分以外には見えない夫の幽霊と過ごす風変わりな日々。
非現実的なシチュエーションながら、二人のやり取りがあまりにも微笑ましくて、なんだかそういう癒やしの時間も良いなあ、と思ってしまう。
ところが癒やしの時間という現実へのリハビリ的な展開ではなくて、二人?が関わる人たちいろいろな厄介事に巻き込まれていくお話
「アイシングシュガー」
鹿野君の言う
歪んでいない愛情なんてあるのかな?
が心に刺さる
「マタ会オウネ」
なんとここで叙述トリックが!
見事に騙された。
トロッコ問題を、人間の倫理性とAIのプログラムがどういう答えを出すのかという深い問題。
人間らしさ、というか人が人であるということはどういうことをいうのかという問いを秋くんと春くんは我々に突きつける。
「植物性ロミオ」
幸せの定形。
自分たちだけの、他人には理解できない幸せ。
世間の常識や、無意識に、自分たちの理解できる枠にどうしても当てはめようとする世の中に対する抵抗。
「彼女の謝肉祭 」
作者の心の底にいつもあるのは人の心の歪みや歪さなのではないかとふと思う。
真円を描いてこの世に生まれてきた存在が、非情な現実に少しずつ歪んでいく、しかしそれが美しく、愛おしいと。
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交通事故で死んだ夫の鹿野くんの幽霊と暮らすうる波が主人公の五篇の物語。
切ない。
うる波がロボットと兄弟のように暮らす男の子の家庭教師になる「マタ会オウネ」が、かわいそうでかわいくて好き。 -
他の人からしたら、自分は普通じゃないかもしれない…それでも…
そんなことを考えながら読んでいました。
凪良ゆうさんの本は、これが初めてです。
もともと歪な生活、愛情の話が好きな私にとってはとても好みな内容でした。
皆様もぜひ…_(._.)_ -
命があることの尊さ素晴らしさを教えてくれる小説だと思います。なんのために生きているのかわからい。
出口がなく、疲れてしまって、寄り道してしまって今更自分が正しいと思える道に戻る勇気がない人、取り返しがつかないかもしれないことを犯してしまった人
この世には肉体的には生きてるけど、
心が消えて・死んでしまってる人が沢山いると思う。
その人たちに届いて欲しいなと思う。
生きてるだけで、いくらだってやり直せる。
何度だって立ち上がれる
だから心を消そうとしちゃいけないなって、
そう気づかせてくれる初心を思い出させてくれる1冊でした。 -
夫の鹿野くんを事故で失ったはずのうる波さんが、うる波さんにだけ見える鹿野くんと暮らしていく話。
そんな2人に関わりのある人々が、優しさと裏切りを見せ、うる波さんの心は揺らいでいくけれど、結局のところあるがままに夫と暮らしていくことを選択する。
実際にうる波さんは鹿野くんが見えていたのだろうか。最後までそこはわからなかった。 -
ほの暗い読後感の短編集。夫を亡くしたうる波と、その夫の鹿野くんの幽霊を中心として、長年の恋人を殺してしまう子や、年齢差の恋愛、ロボットと人間の友情、絡まってねじくれてしまった関係性や秘められたきょうだいの恋など、本人たちは幸せだけれど周りから見たらおかしいと思われる関係がたくさん詰められていた。幸せってなんなのか、普通ってなんなのか、善意の押し付けになってはいないかと、ほかの凪良先生作品にも感じられる問いかけがたくさん詰められている素敵な作品だった。
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さまざまな秘密を抱える人たちの連作短編集。
凪良作品を読むと、いつも「おまえはどうなの?」と
自分自身に問いかけられている気がする。
作中の「西島夫人」になりたいなぁ・・・
心とは裏腹に「叔母さん」自覚有り。 -
p112
「二人が親友であるという確かな事実の前では「であるべき」という誰かの理想は意味を失くす」
p225
「苦痛に意味なんかない。そんなものない方がずっといい。なくても幸せに生きていく人は大勢いる。」
何回も読みたくなる小説でした!!流浪の月ぐらい良い小説です。
それぞれ愛の形は違うけれど、自分らしく生きていこうというお話しでした。
きっと誰もが持っているであろう「であるべき」思想。私も、であるべきであるべき…を人に押し付けていたのかも??と不安になります。
悪意のない好意、善良が一番やっかいだ。と主人公も言っています。 -
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ビオトープというイメージで読み始めましたが
ちょっと違うかな?
と 思ったけど 最後には納得という感じでした。
まだ 新婚という位(結婚二年)の旦那さんが
突然亡くなってしまった。
しかし 主人公には 旦那さんの幽霊が見える。
この二人に絡む お話がいくつかありました。
大好きな彼に新しい彼女?ができてしまったので
永遠に自分の彼にしたくなった 女の子や
頭が良すぎて ロボットの親友としか上手く付き合えない子や
少女(自我の目覚めていない)しか愛せない青年など。
色々な愛のカタチ。
勿論一番 奇妙(一般常識的に)なのが
やはり主人公の 幽霊との同居になるけど
どれも人には大きな声ではいえない。
マイノリティな愛だけど それぞれ真剣だし
それで 幸せなのです。
この秘密は 他の人から見たら
ちょっと変かもしれないけど
この本の中のように 他にも色々人に言えないような
秘密の幸せが あると思う。
秘密だけど その人が 幸せならば 良いのではないのかな?
と 思う内容でした。 -
色々な愛の形があり、世間的には許されないものでも、心は自由。
後ろ指をさされるようななテーマを扱っているのに、優しく、でもやはり絶望的な雰囲気が絶えず漂っている。そういう意味で、本屋大賞を受賞した「流浪の月」と似ている。
この作者の本はまだまだ読む予定。 -
悲しくもとても救われる話。
心は自由でいい
愛の形はいろいろ、考え方もいろいろ。
誰も間違ってないし誰も正しくもない。 -
のんびりまったりのほほんな時間の流れが素敵な小説。幽霊になってしまった鹿野くんと一緒に過ごしてうる波。すごく切なくて最後とかうるうるしちゃう。でも、鹿野くんのうる波への愛がすごーく伝わってほっこり読めました。
短編チックで1話1話話の中心になる登場人物が変わり、それぞれ悩みだったり抱えてることをうる波が相談に乗ってあげたり助けたり。うる波の人の良さが沁みる。
最後に老夫婦の関係性はあ!っと驚くと同時に素敵な関係だなと。 -
事故死した夫「鹿野くん」の幽霊と一緒に生活する、うる波と、その周囲の人たちのお話。色んな愛情の形があって、当人たちが納得していれば良いのだ、みんな好きに生きていい、というお話。
犯罪を起こさなければね、と個人的には思います。千花ちゃんはギリギリアウトでは?
凪良さんの文章って、非常に優しいのに、妙に強くて不思議。力業で納得させるのではなくて、ゆるゆると説得されて気付いたら肯定している。そんな感じ。 -
とても好きでした。
今は白か黒かを、本来関与しない他人が我が物顔でジャッジしたり、何かと二項対立にして比較をしていて息苦しさを覚える毎日の中、この本で書かれている様々な関係性、そして当事者が「わたしは、ぼくは、これでいい」と言いながら生きていく姿に心が温かくなりました。
突然事故で亡くなってしまった夫の幽霊と暮らす主人公うる波が出会う人々を連絡短編にした一冊。どの話にも優しいだけではないあっと驚く展開があり、考えさせられます。
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鹿野くんとうる波の会話が、儚げで繊細で愛に溢れていて、どこまでも心地良く、いつまでも眺めていたくなる美しさにため息を漏らし続けていました。 風景と感情の描写のバランスもちょうど良く、ページを捲るのがもったいなく感じるほど、大好きな作品です。
P144.
うなずくと、思いがけず涙がこぼれた。
「毎日、毎日、すごく悲しい」
どれだけ笑って日々を過ごしていても、いつ破れてもおかしくない薄い氷の上を歩くような怖さに包まれている。
鹿野くんが死んだなんて信じたくない。幽霊でもいいから戻ってきてくれて嬉しい。
でも、いつまでわたしたちは一緒にいられるだろう。
幽霊でもいいなんて嘘だ。
ずっと鹿野くんに生きていてほしかった。ずっと鹿野くんと生きていきたかった。
著者プロフィール
凪良ゆうの作品
