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Amazon.co.jp ・電子書籍 (300ページ)
感想・レビュー・書評
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光文社の刊行順ではこの『馬と少年』が三巻目となるが、この巻から巻頭にナルニア世界の地図が出てきた。
地図をときどき確認しながら空想にふけるのは異世界小説の楽しみのひとつだ。
おとな向けの訳文だからといって、挿絵や地図を省かなかったのは評価が高い。
(電子書籍版のため、巻頭にページを戻して見返すのが手間ではあったが……)
イラストレーターYOUCHANの素朴な絵柄も、本の装丁とよく調和している。
題名に馬がつくだけあって馬の乗り方や、キャンター、ギャロップといった馬の走法がたくさんでてくるので、ちょっと詳しくなった気になれる。
主なイベントを順に追っていくと、シャスタ(コル王子)と《もの言う軍馬》ブリーのカロールメン脱出劇、アラヴィスと牝馬フィンとの出会い、砂漠都市タシュバーンでのコリン王子と間違われる騒動、ティズロック(御世とこしえに!)登場、王墳墓からのつらい砂漠横断、仙人の家、ルーン王に面会、アンヴァード城での戦い、ラバダシュがロバになる、コルとアラヴィスの結婚、ラム大王の登場とアーケン国の繁栄を示唆しての幕。
訳者は自作のタイムテーブルを一部紹介していたが、物語全体の日にちはそう長くないのがわかる(カロールメン脱出からアンヴァード城の戦いの決着まで二週間もないか?)
閉じられた区域での、密度が高い展開。
現実世界との接点もなく、ルーシーとエドマンド、スーザンも脇役的な登場に徹する。
この全編を通してアスランの姿が見え隠れしており、シャスタが人徳に背く行動をしない限りはこの"大帝の子"の強大な加護を得られるだろうという安心感がある。
とはいえ、谷間を全速力で逃げるアラヴィスの背中を引っ掻いたときのアスランは、単なる飢えたライオン(物言わぬけもの)ではないのかと思わせるほどだった。
ここでシャスタがブリーの背中から飛び降りてアラヴィスを救出しようとする場面は、少年少女の萌え魂に火をつけるだろうなぁ……
このイベントで、この二人は最後に結婚するかもな、と予想した読者は多いのではないだろうか。
一方でブリーとフィンは別々の相手と結婚したという結末は大団円すぎなくて良かった。
ぜいたくな暮らしとゴシップにしか興味のない愚かな友達ラザラリーンの描写に興味深い部分がある。
嫁ぎ先の家系の権勢を自慢し、ティズロックとも懇意にしていていつでも面会できるようなことを言いながら、いざ宮殿でティズロック本人と鉢合わせしそうになると震えあがって我先に身を隠そうとする。
しかし、彼女がなぜそういう反応をしたのかは地の文で何も説明していなかった。
説明しないことで、ラザラリーンのような人間ははたして周りの人間にどういう印象を与えるのか、という想像力を働かせる余地が残った。
グルメ描写は今回も安定の"おいしそうさ"だった。
「ロブスターの料理、サラダ、アーモンドとトリュフの詰め物をしたシギの丸焼き、チキンのレバーと米とレーズンとナッツで作った手のこんだ料理。冷やしたメロンもあったし、グーズベリーやマルベリーで作ったフルーツ・フール(3)もあった。氷を使ったさまざまなデザートも並んでいた。小さなデキャンタ入りのワインもあり、「白」ワインだというけれど実際には黄色い色をしていた。」
鳥レバーと米、レーズンとナッツの料理が"手のこんだ料理"としか書かれていないので余計にどんなものか気になる……!
活字ならではの楽しさを実感する。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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