幸福の「資本」論――あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」 [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 【おすすめする人】
    * 幸せになる具体的な手順が知りたい方。
    * 人々を分類する8種のパターンを知りたい方。

    【感想】
    高給取りでも仕事に忙殺されてプライベートが充実しない人より、
    田舎のマイルドヤンキーで、低収入だけど若くして結婚、友達に囲まれて暮らしている人の方が、
    幸せなのではないかという意見を最近よく見かける。

    私はプライベートより仕事を優先してきた派なので、過去の選択は間違っていたのでは、、?と後悔することもあった。

    しかしこの本を読んで、
    そのような(本書では”プア充”と呼ばれる)方は、
    一見幸せそうでも、
    ある要素が1つ欠けると貧困層に転落するような、
    少し危険なポジションであることが分かった。

    本書では幸福の土台を金、仕事、人間関係とし、それぞれを高めるための方法を教えてくれる。
    お金だけでなく、仕事や人間関係も「自分の労力を何に投資するか」という視点で書かれているため、具体的にどう行動すべきかという部分が分かりやすく理解できた。

    たとえば私の場合、現在バックオフィスの仕事をしているので、献身的に働いても給与は上がりません。
    より拡張性のある専門的な分野を学び、ジョブ型の(自らの業務内容が明確な)職場で働くべきだと学びました。

    具体的には、好きなことに人的資本すべて投入→マネタイズできるニッチを見つける。

    そんな簡単なことではありませんが、
    仕事内容を見つめ直す機会になりました。



  • 現代日本における幸福の土台を作る指南書。
    面倒な人間関係が蔓延る政治空間から解き放たれて、ゆるい繋がりである貨幣空間を広げることが豊かな社会資本を築くための最適戦略…?
    地方のマイルドヤンキーがやたらと引き合いに出されるのが少し気になった。

  • これからの人生の目標を考えるうえでヒントになる本。

    幸福度を金融資産・人的資本・社会資本という3つの柱で、幸せというふわふわしたものを論理的に考えることができます。

    本書には日本雇用の問題点をデータや他書の引用をしながら分かりやすく説明してくれています。特にサラリーマンの問題点については共感するところが多くありました。

    「自分らしく生きたいけど、自分らしいってなんだろう?」
    「自分の人生、これでいいんだっけ?」

    このような悩みを抱えた人にお勧めしたい一冊です。





    以下、メモです。


    >>金融資産
    「収入と資産が一定額を超えると幸福度は変わらなくなる。 p.69」

    「マイナス金利の世界では、賢いひとは利潤を最大化するために金融資本よりも人的資本を有効活用する、すなわち働くのです p.81」


    >>自己資本
    「経営者は、意図的かどうかは別として、自己実現を利用して労働者のやりがいを搾取できるのです。 p.116」

    「知識社会化・グローバル化に適応不全を起こしている日本的経営(=雇用)は、長時間働かされてもぜんぜん儲からず、経営者は部下を能力がないと罵倒し、社員は会社を憎み、国際社会から差別だと批判され、日本人の人生はどんどん不幸になるばかりで何ひとついいことがありません。p.146」

    ほとんどの新入社員は自分の職業適性がわからないまま入社してきます。そんななかで、若手のうちに様々な仕事をやらせてみる日本型のOJTはじつは「自分探し」にとってかなり有効な方法になり得るのです。p.150

    個人の基本戦略 p.176
     ①好きなことに人的資本の全てを投入する
     ②好きなことをマネタイズできるニッチを見つける
     ③官僚化した組織との取引から収益を獲得する


    >>社会資本
    職場の強い絆がもたす幸福は長時間労働や過労死とセットになっている。p.223

    社会的な動物であるヒトの幸福感は、社会資本(つながり)からしか得られません。強いつながりはときに大きな喜びを与えてくれますが、しばしば人生を破壊するほどの不幸をもたらします。p.252

    組織(強いつながり)を捨てることのデメリットは生活が不安定になることで、メリットは人間関係を選択できること。人生の悩みは健康・金銭・人間関係となっていますから、フリーエージェント化で嫌な相手と付き合わなくてよくなれば、それだけで人生の問題の3分の1は消失してしまいます。pp.258-259

    人生100年時代を考えるならば、年齢にかかわらず弱いつながりを維持しつつ、フリーエージェントとしてプロジェクト型の仕事をする「生涯現役戦略」の方がはるかに効果的なことは明らかです。p.261

    「ほんとうの自分」が存在するのは、あなたの過去です。友だち集団のなかではキャラがかぶらないのが大原則で、リーダーが同じグループに2人いることはありません。1人がリーダーの座を閉めればほかは別のキャラを(無意識に)選ぶことになります。リーダーキャラは政治家や経営者などひとの上に立つ地位を目指すでしょう。ところが大人になると、リーダーキャラでないひとが上司の役割を担わされることもあります。このようなキャラちがいが起きたとき、ひとは「ほんとうの自分じゃない」と感じるのです。pp.264-265

    >>まとめ
    幸福な人生への最適戦略 p.266
     金融資産:経済的独立を実現すれば金銭的な不安から開放され、自由な人生を手にすることができる。
     人的資本:子どもの頃のキャラを天職とすることで、「ほんとうの自分」として自己実現できる。
     社会資本:政治空間から貨幣空間に移ることで人間関係を選択できるようになる。
    次のようにまとめることもできる。
     金融資産:分散投資する
     人的資本:好きなことに集中投資する
     社会資本:小さな愛情空間と大きな貨幣空間に分散する




    ■本書の概要
    ひとは幸福になるために生きているけれど、幸福になるようにデザインされているわけではない。
    「金融資産」「人的資本」「社会資本」という3つの資本から、「幸福に生きるための土台(インフラ)」の設計を提案。
    超充、リア充、旦那、金持ち、退職者、ソロ充、プア充、貧困の8つの人生パターンから「幸福」のカタチを選択するヒント。


    目次
    Prologue あなたがいまここに存在することがひとつの奇跡
    Part0 「お金持ち」と「貧乏人」の三位一体幸福論
    Chapter1 幸福の3つのインフラ
    Chapter2 「最貧困」から人生を考える
    Chapter3 人生の8つのパターン

    Part1 自由のための金融資産
    Chapter4 お金と幸福の関係
    Chapter5 マイナス金利の世界

    Part2 自己実現のための人的資本
    Chapter6 人的資本は「富の源泉」
    Chapter7 クリエイティブクラスとマックジョブ
    Chapter8 サラリーマンという生き方
    Chapter9 オンリーワンでナンバーワンの戦略
    Chapter10 超高齢社会の唯一の戦略

    Part3 幸福のための社会資本
    Chapter11 友だちとはなんだろう?
    Chapter12 個人と間人
    Chapter13 うつは日本の風土病なのか
    Chapter14 幸福になれるフリーエージェント戦略
    Chapter15 「ほんとうの自分」はどこにいる?
    Epilogue それでも幸福になるのは難しい



    ■本書の著者
    橘 玲(たちばな あきら)
    1959年生まれ。2002年国際金融小説『マネーロンダリング』でデビュー。
    『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部を超えるベストセラー、『言ってはいけない 残酷すぎる真実』(新潮新書)が50万部を超えるベストセラーとなり、2017新書大賞を受賞。

  • 幸福の条件は自由、自己実現、共同体
    これは幸福の3つのインフラと対応している
    金融資産、人的資本、社会資本

    幸福を支える3本柱のバランスを取ること。

    以下ネタバレ
    2019.07

    幸福の条件は自由、自己実現、共同体
    これは幸福の3つのインフラと対応している
    金融資産、人的資本、社会資本


    インプットがあり幸福になる。インプットから幸福を感じる、変換効率が人によってちがう
    資本を1つしか持ってないと、ちょっとしたきっかけで貧困や孤独になる。ノーマネー、ノーフリーダム
    年収800万円まではお金と幸福は比例する


    全ての富は差異からうまれる
    最も重要な富の源泉は人的資本
    金融取引と労働は同じ経済構造
    金融と違うのは自己実現の観点

    1. 収入は多ければ多いほうが良い
    2. 同じ収入なら安定してるほうが良い
    3. 自己実現できる仕事の方が良い

    自己実現とは「かけがえのない自分になること」
    人的資本に期待してることは2つ
    ・人的資本からより多くの富を手に入れる
    ・人的資本を使って自己実現する

    ■クリエイティブクラスとマックジョブ
    新しい働き方のキーワード
    知識社会化、リベラル化、グローバル化
    →これが三位一体で進行中
    知識社会は知能の高い人がアドバンテージ
    仕事に求められる知能もあがる

    仕事は3分類になる
    ルーティン→低所得になる
    インパーソン→低所得になる
    シンボリックアナリスト
    →仕事の価値は時給計算できない

    シンボリックアナリスト=クリエイティブクラス
    └クリエイター→拡張可能な仕事→映画
    └スペシャリスト→拡張不可能な仕事→演劇


    ■マックジョブに自己実現はあるのか
    仕事観は仕事を、労働、キャリア、天職のどれでみなすか?に分類される。
    マックジョブ=労働でも自己実現できる
    意義や改善を自ら主体的に考える人はいる
    雇用側は同じ給与を払うだけで良く、やりがい搾取できる
    サラリーマンってなんだ?

    ■サラリーマン
    ジョブ型とメンバーシップ型
    ジョブ型は必要なスキル資格が明確に決まっている、メンバーシップ型はゼネラリスト(海外では通じない言葉)自社特化=他社には転職できない、その代償としての終身雇用、年功序列

    好きなものに人的資源を集中投下

    生き物の進化
    住み分けすることで共存してる
    弱者の戦略
    1.小さな土俵で勝負する
    2.複雑さを味方につける →シンプルは大企業が得意
    3.変化を好む→安定した市場は大きいやつが取りに来る

    大企業ではイノベーションが生まれない
    リスクを取れない
    イノベーション→失敗→昇進から外れる
    イノベーション→成功→特別報酬は出せない
    イノベーションを外注する

    35歳までに自分の好きなプロフェッションを実現できるニッチを見つけること
    フリーエージェント化、大組織と取引するのが知識社会での基本戦略

    ■老後を考える
    老後の問題は、人的資本を失ってからの期間が長すぎること。生涯働くのが最強。生涯共働きが最強

    ■社会資本
    幸福は社会資本からしか生まれない
    個人と間人
    ムラ的な間人主義に最適化されていた日本
    リベラルでは間人主義的な幸福は古臭い
    自己決定権を持つ個人の幸福へ価値観が変わってきた

    アメリカの新上流階級
    BOBOS

    幸福な人生の最適ポートフォリオとは
    強いつながりを恋人や家族などに最小化し、
    友情を含めたそれ以外の関係は貨幣空間に置き換える

    組織に生活を依存せず、スペシャリスト、クリエイターとしての人的資本(専門的な技術、知識、コンテンツ)を活かし、プロジェクト単位で気に入った仲間と仕事する

    ■本当の自分はどこにいる?
    幼い頃に友達グループの中で選び取ったキャラ

    ■まとめ
    1.金融資産は分散投資する
    2.人的資本は好きなことに集中投下する
    3.社会資本は小さな愛情空間と大きな貨幣空間に分散する

    幸福は手に入らない
    逆境を乗り越えた後に幸福を感じる
    幸福になることを目指して努力するのが一番幸せなのかも



  • ヒトの幸せは人的資産、金融資産、社会資産の3つから成り立つという、現代の幸福に対する考え方を整理して概念化した本。
    たいていの人は、ひとつないしは2つの資産を多く持っており、3つともあるという超充はほぼ存在しない。
    ただ、ひとつだと何かあったときに転落しやすいため、2つは必要、そのためにどんなアクションが必要か、という内容で、「幸せとは自己実現」とか「考え方だ」みたいな精神論でないところがよかった。

    金融資産は、1人あたり800万円を超えてくると満足感はそれほど変わらなくなる。そのため資産をまず増やし、不安を無くす必要がある。
    社会資産は、いわゆるコミュニティとのつながりだが、どうしても同じところに定住しているほうが強くなる一方、違いが出ると居られなくなる難しさもある。なので市場原理のように、より貨幣価値のような、政治的でない世の中のつながりになることで選択の自由ができる。
    もっとも現代において投資すべきは人的資産で、かつ今後の世の中ではルーティンの仕事は代替されていくため、クリエイターかスペシャリストになる必要がある。
    そのためには好きなことしかヒトはできないので、好きな事で生業を立てることが必要。

    わかるが、これはあくまで橘さんの本を読んだり、本気で努力ができる一部の人にしかできない内容。
    世の中の多くのヒトは、好きなことがなく、努力ができない。理論としては面白いけど、結局この考え方を実践できるかどうかの問題と感じた。

  • 著者は、ひとは幸福になるために生きているけれど、幸福になるようにデザインされているわけではないと指摘しています。

    まず、この書籍では「人生のインフラストラクチャー(下部構造)」という言葉を使って、幸福の条件について議論しています。
     
    詳しくはhttps://takamyu.com/book/%e7%b4%b9%e4%bb%8b%e6%9c%ac%e3%80%8e%e5%b9%b8%e7%a6%8f%e3%81%ae%e8%b3%87%e6%9c%ac%e8%ab%96%e3%80%8f/

  • 金融資本、人的資本、社会資本。セロトニン運搬遺伝子とうつ。愛情空間、友情空間、貨幣空間。SS型は鬱になりやすいけど敏感。
    カルフーンのネズミ実験とのリンクについて考察しよう

  • 「好きを仕事にする」ことで、長く働くことができる。つまり人的資本がある状態。よって、老後の金融資産の心配が減少する。

  • 人には幸福のインフラとなる3つの資産がある。
    それが、『金融資産』『人的資本』『社会資本』である。
    これらを最大化させる事が、幸せという事だと書かれていた。
    ただ、どれかが振り切れていても、他の2つがないとやはり本当の幸福(超充)とは言えない。
    カネとスキルと人間関係を高め幸福になるためにどうすべきか、詳細に書かれた一冊だった。


    本当の自由とは何にも隷属しない状態で、これを実現するために必要なのが金融資産。

    とは言え、若いうちは金融資産は持ち合わせていない事が多い。その時に最も重要な富の源泉になるのは人的資本である。

    また、幸福に最も影響を与えるのは人間関係である。弱い繋がりが意味を持つようになった現代社会において愛情空間(とても親しい家族や恋人)以外には貨幣空間(弱い繋がり)を持っておく事が重要。


    個人的に印象的だったのは、『サラリーマンという生き方で自己実現を目指すことはできない。』であったり、『サラリーマンは職業ではなく身分である』だったり『幸福について真剣に考えるのであればサラリーマンという人生の現実を直視しなければならない』など資本主義における絶滅危惧種としてのサラリーマン(日本的慣行)に関する記載だった。

    幸福を考える上で今の働き方の延長に求めるものがあるのか、今の状態はそもそも幸福と言えるのか、考えさせらる一冊だった。

  • 幸福感には3本の柱があり、それぞれ土台が必要で、その土台を築き柱を育てるために何をすればいいかを示した本。
    3本柱のそれぞれがどう充実しているかどうかでその人の態度などが決まっているという具体例がかなり秀逸というか、その通りだなと。
    柱を育てよう。はしら。

著者プロフィール

2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)、『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』『橘玲の中国私論』(以上ダイヤモンド社)『「言ってはいけない? --残酷すぎる真実』(新潮新書)などがある。メルマガ『世の中の仕組みと人生のデザイン』配信など精力的に活動の場を広げている。

「2023年 『シンプルで合理的な人生設計』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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