本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・映画 / ISBN・EAN: 4562475274837
感想・レビュー・書評
-
「真実なんてたくさんある。ひとつじゃないんだよ」
ある人物が言うこの言葉におおきく頷いた。
ひとつの事実の中にも、ひとつの関係の中にも、ひとりの人間のなかにも。
『恋の渦』『愛の渦』で話題になった三浦大輔監督作。
「何となく池松くんが見たいような...」という気分で借りたんですが良かったです。
上記ふたつの作品よりちょっとシリアス、でもふとおかしみが湧く。この監督の作品が好きだったら見て損は無し。
テレビでよく悪役で成敗されている(笑)ヒロインの妹役の佐藤仁美さん。終盤に姉にある言葉をいい放つんですが、その時の表情の演技が忘れられない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
左右に流れるエンドロールを初めて見た。
左右に流れるオープニングなら、小津安二郎の映画でよく見た。
それだけでなく、本作は小津映画に連なる、現代版小津映画だ。
一つは、電車の映像。そして、東京の映像。しかし、本作に新しさがあるとすれば、ぶくぶくと肥え太る東京という街と、そこに生きる、互いに名も知らぬ孤独な男女を描いたこと。そして、そんな男女こそが、かつて小津が描いた人間たちに似た会話をしていることの皮肉。
本作を、古き日本が亡び去りつつあることへのオマージュとして見た。 -
僕は何度池松くんのケツを見るんだろうというぐらい濡れ場の多い彼。
今回の相手は名女優寺島しのぶ。
「何者」で監督を務めた三浦大輔さんの劇を映画化した内容で
とってもありがちだけど怖い、そういう内容。
主役の二人を含めて、演技派の人ばかりで
かなり話に吸い込まれていきます。
池松君はだらだらしたヒモのフリーター、寺島さんは欲求不満の主婦を
そのまま演じ切り、なんの違和感もなし。
あまり知られてない作品かもしれないですが
個人的にかなり大好きな作品を見つけた気持ちです。
ラストにこのタイトルがしっくりきますよ。 -
制作年:2016年
監 督:三浦大輔
主 演:池松壮亮、寺島しのぶ、中村映里子、落合モトキ、駒木根隆介、佐藤仁美、平田満
時 間:131分
音 声:日:ドルビーデジタルステレオ
菅原裕一は、同棲する彼女から小遣いを貰って怠惰な生活を送るフリーター。
一方、専業主婦の橋本智子は、穏やかな夫と平穏に暮らしていた。
なんの不満もない毎日を送っていた2人は、ただ何となくアクセスした出会い系サイトで出会い、はっきりとした目的もないまま、意味のない逢瀬を重ねるようになる。
季節が変わり、その関係すらも惰性になりつつあったある日、ある出来事をきっかけに日常が揺らぎ始める。
それでも“選択”することを避け、生ぬるい日常に浸かり、流れに身を任せて生きてきた2人は、中央線沿いの街の中をぐるぐるとあてもなく彷徨うことに…。 -
現実感のある内容である。
池松壮亮の“ヒモ”の様な生活、しかもそれが世間的には良くないことだと知りつつも、相手には表面だけ繕い、自分の中から改める気配が一向にない姿がたまらない。
こういう態度を示す人は徐々に増している。
これは、社会に適応しようと、その要請に応えて必死に生きている多くの者の反感をかう生き様だ。
私も、身近にこんな奴がいたら腹立たしい感情から殴るか、良くて本人には“柳に風”と知りつつも矯正のためのお説教をするかのどちらかだろう。
でも、今の世の中いろんな人間を見て、いろんな世の中のありようを見ていると、こんなのは当たり前に思えてくる。何より多様化が進み、“こうあるべきだ”的な基準は何処にも存在しなくなってきているように感じるから。
一方で現代は国や学校、会社が都合良く設計した社会のスペックに無意識に従うことが“生きる”ことだという選択の余地のないレールが張り巡らされ、そのなかで足こぎ車を必死に回す姿も目にする。ながい人生だ、いずれそのことに“自分”というものが存在していないことに気づいた時にどのような衝撃がその人間に生じ、どの方向にその反動が生じるかを想像すると怖くもなる。
そう考えると、池松壮亮演じる“ヒモ”のような菅原裕一の生き方は、社会に適応できないでいるダメな奴というよりも、社会に張り巡らされたゲームメーカーのスペックを生きることへの不適合によって行き着いた、一時的な自己再生への逡巡の時間のようにも思えてくる。
そして、また寺島しのぶが演じる主婦、橋本智子もどこにでもいる典型的な主婦だ。うえにあげた、社会の理想的なスペックの道を求め歩んでみたけれど、40を過ぎて満たされない心の不全感を感じ始めてしまった。まさに、“自分が生きている”ことの実感を求め始めてしまったのだ。そして、それを埋め合わせるための手段として「出会い系」に恐る恐る救いを求める。
こんな二人が巡り合って進む方向は、スペックをはずれて生きることを秘めながら、周囲の人たち(レールから外れずに生きる人たち)と日常を生きることであり、そのなかでそれを共有することなのだ。
エンドロールの後の数年後の二人(三人)の姿と、彼らの交わした二、三の会話。これは、彼らが経験したことが見事に“彼らが自らの力でスペックに飛び込んでいく”姿に映った。
“寺島しのぶ”いいね。どこにでもいそうなボンヤリした主婦のもつ秘められた感情良く出ていた。
池松壮亮も『愛の渦』に続いてこのナチュラルさは、演技なのか?(演技なのだけど)良いです。
そして、三浦大輔監督の演出もいい。
『劇場版を観たい!』
本棚登録 :
感想 :
