狼と香辛料XIX Spring LogII (電撃文庫) [Kindle]

  • KADOKAWA (2017年6月9日発売)
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みんなの感想まとめ

日常の中で織りなされる温かい物語が描かれています。主人公たちの心温まる交流や、先々への不安を乗り越えようとする姿が印象的で、特にロレンスがホロを思いやる様子は心に残ります。短編と中編が交錯し、過去の旅...

感想・レビュー・書評

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  • 狼の化身であるホロと、旅の行商人ロレンスの冒険を描く『狼と香辛料』シリーズは17巻で一回完結した。ホロとロレンスは無事に結ばれ、2人の子供がホロのお腹の中に宿るというまさに理想的なハッピーエンドでの終了だった。

    そのハッピーエンドの続きとして、物語の続きが描かれ始めたのが前回のSpring Logだった。その前作では2人の間に生まれたミューリはすでに10歳を超えており、立派な女の子に育っており、その前のハッピーエンドからは10年が経っていることになっていた。作品にはそのミューリと、二人に長く付き添ってきたコルが湯屋「狼と香辛料亭」を飛び出したことをきっかけにした日常の顛末を描いた中短編が収められており、これまでの行商の物語と比べて日常に近いストーリーが展開されていた。

    Spring Logの第二弾となる本作も構造は基本的には変わらず、ミューリとコルが飛び出した後の「狼と香辛料亭」のドタバタが描かれる。もっとも騒がしいキャラクターであるミューリはあまり登場しないとはいえ、ホロがいる限りは物語が落ち着くことはないのだろう。ちなみに湯屋を飛び出したミューリとコルの物語は、このシリーズのスピンオフともいえる「新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙」シリーズで物語が進んでいる。

    いわゆる日常系が描かれる本作ではあるが、幸せいっぱいの物語が展開された前巻とは違い、本作では子育てが終わった後の憂鬱と言うべきホロの悩みが描かれる。全編を通してロレンスとホロの心を覆っていたように、狼の化身であるホロはロレンスよりもずっと長生きすることが決まっている。2人が結婚して10年が経ち、幸せな生活を過ごしてきたとはいえ、寿命が長いホロにとってはこの10年は一瞬でしかない。

    ミューリがまだ湯屋にいた頃にはそのようなことを考える暇もなかったようなのだが、騒がしい娘が出て行ってしまったことで時間ができたホロは、少しずつロレンスがいなくなってしまうことに不安を感じるようになる。またどうやら基本的には騒がしい毎日を愛するホロにとっては、幸せではあるものの湯屋での毎日はやや退屈であるらしい。

    本作ではそういったホロの悩みをロレンスが真正面から受け止め、自分がこの世を去った後も、少しでも彼女に何かを残すために頭を巡らせる様が描かれる。とはいってもこのシリーズのことだから、それほど悲壮感漂う話になるわけではなく、基本的にはロレンスはお金儲けとセットでホロの幸せを実現しようとしている。どうやら本作の雰囲気を見れば、遅かれ早かれロレンスとホロは湯屋を離れて、また冒険の旅に出るだろうということが感じられる。

    そして、もう一つ本作で明らかになるのは、どうやら狼の一族であるホロは人間の姿になると目が悪いということだ。これまでも何回かホロが活字は読みづらいという描写があったのだが、同じく狼の一族であるセリムの行動を見て、ロレンスはそのことを確信するのだった。

    確かに犬や狼は目があまり良くないとはいえ、連載が始まってからこの時期になってようやくその事実が明らかになったというのはかなり驚きだ。どうやらこの世界ではメガネが既に発明されているらしく、金額が高いとはいえ、お金で手に入れられるものらしいので、今後はメガネをかけたホロのイラストが出てくるのかもしれない。

  • 聴了。
    狼と香辛料亭で起こる日常の物語たちです。「狼と香辛料の記憶」でホロさんを寂しがらせないようにロレンスさんが考えたことがとても素敵でした。安心して聞いていられるものよいですね。

  • 短編と中編が掲載されています。
    中編はこれまでにもあったようなホロとロレンスの先々への不安の話で、また一つ対策が見つかったようで良かったねと。それにしてもこの二人、いつまでも温泉のようにポカポカでいいですね。
    他には旅に出ていた頃の話やコルとミューリの話など。コルとミューリの短編は羊皮紙の方で短編集が出るのではなくてこっちでやっていくのかな?ニョッヒラでの話だからこっちなのかな?
    若い二人の行動が今のニョッヒラに波及してくるのも面白いですね。今後も楽しみです。

  • 湯屋になってからの物語2巻目「狼と香辛料の記憶」が良かった。

  • 相変わらず、表現が美して、好きです。

    『幸せに身を任せておったら、大事な日々がすべて記憶の中に溶けてしまう……。』
    『幸せなはずなのに、それだけでは満足できない自分が、恨めしかった。』
    どれだけ幸せなのかわかる。そして、毎日が幸せだと、その幸せを忘れてしまう、ということもよくわかる。

    ホロとロレンスのやりとりは、いつか妻の間で交わせないかな、などとも思ったりしてにやにやする。
    『ぬしは一人で寝て、寂しくはないかやと聞いておる』
    『なに、お前が帰ってきた時に、そのありがたみがよくわかるというものだ』
    とかね。笑

    この物語を続けて読めることに喜びを感じます。

    終盤でホロが綴っていくと思われる書記のタイトルは「狼と香辛料」になる。ということは、この物語はホロが書いていた、ということになるのかな。

  • 相変わらず砂糖漬けよりも甘い2人の物語。
    ただ今回は旅の途中で何度も出てきたあの不安が再び顔を見せ、少し不穏な空気になります。
    が、迷いがなくなったロレンスは商人のときより強かった。
    これが亀の甲より年の功か。

  • 下手なギャルゲに手を出すくらいだったらこれを読むのです。シリーズ全部読むのです

  • ・狼と花弁の香り
    領主となった修道院出の貴族を助けてほしいという依頼で、村人が隠した石臼のありかを探ったり、厄介な花の問題を解決するのに香油をつくることを提案したりする
    ・オオカミと甘い牙
    ミューリの悪戯が原因でコルと気まずくなるが、蜂の巣とりでまた仲直りする、お互いにとても仲良し。
    ・オオカミと羊の毛づくろい
    若い狼の雌のセリムを雇うことになり若干不安に思うホロ。偶然羊飼いの羊を一時見ることになり、そのことを通して自信を取り戻す。
    ・狼と香辛料の記憶
    長い年月を生きるホロ、幸せではあるが毎日同じことの繰り返しではいつか忘れてしまうのではと不安に思ってしまう。ロレンスがときどき書き物をしていたのは実は自分のために二人の冒険の物語を書き記していたのであることを知りうれしく思う。

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著者プロフィール

第12回電撃小説大賞《銀賞》を受賞し、電撃文庫『狼と香辛料』にて2006年にデビュー。

「2023年 『新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙IX』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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