兄になりたかった人: 持論の寺田ヒロオ評 (アーキテクチャー・プロダクト・システム) [Kindle]

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  • 2017年5月29日発売
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  •  皆さんはトキワ荘作家の一人、寺田ヒロオをご存知ですか?
     藤子不二雄や赤塚不二夫のマンガに出てくるテラさんの愛称で呼ばれる、寺田ヒロオについての本が『兄になりたかった人』なんです。新発田市近郊に住む著者が、新発田市育ちのマンガ家について書いた物だと、郷土史的な地元愛を持ったてぬかりのある物を期待するでしょうが、それは裏切られてしまいます。
     郷土人の漫画家を手放しに礼賛、称揚を求めて本を開けば、手酷い歓迎を受けるでしょう。
     寺田ヒロオは少年漫画を描いていましたが、筆を折ってしまう。茅ヶ崎の自宅に引きこもって、おそらく連続飲酒を続けて、健康を害して亡くなってしまいます。書籍でも書かれている通り、長谷邦夫さんはその死亡記事を読んで、フジオプロから出奔するのです。
     寺田ヒロオ、愛称テラさんには謎があります。
     それなりの答えが出されています。
     その糸口が兄になりたかった人ではないのか。
     終戦後の社会で、兄になるとは、戦前に向かっていくか、戦後に向かうか、

     それは著者が悪い心を持つから、この結論に至ったとあります。邪悪な読者であるから、気づけることがあるのです。そして邪悪な読者でないと、気づけないことが書かれています。
     毒のあるパロディにされてしまったテラさんのことにも触れています。
     それは取材できなったために、
     桜井哲夫『廃墟の残響』で藤子不二雄の話では少将とされる寺田の父は、軍人名簿を見ると寺田姓は中将にいて、出身地も新潟ではないとされていますが、取材でこの穴を埋められていません。

     取材したくてもできなかったらしいです。
     仮に今、出版社が企画出版に応じて、取材経費や折衝などのサポートか受けられるか、疑問であとがきに書かれているように、テラさんを少年漫画から追い出す懸念があります。

     それにもし、取材をしていたらご遺族・関係者の事を考えて、手心を加えていたかもしれない。
     戦争中ではなく、戦場体験者のような、
     無謬無悪ではいられなくなる、少年をやめてしまった側の悲しい憧憬が、

     トキワ荘神話の、ギリシャ神話や北欧神話や日本神話の残酷な部分を垣間見る事になる、そんなノンフィクションです。
     本当はラジオ番組「東京ポッド許可局」のコーナーに投稿メールを・・・許可局員でもないし、こういうのは、送っても採用されない。自分の作った本だし、hontoで読めるわけじゃないので、メールは控えた。
     宣伝だと思われる。分別ある大人だから自重した。「れ~なう~ん♪れなうんおじさん♪ (中略) 屁理屈イェイ♪イェイ♪」

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