反脆弱性[上]――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方 [Kindle]

制作 : 望月 衛  千葉 敏生 
  • ダイヤモンド社
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レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (405ページ)

感想・レビュー・書評

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  • いまこのタイミングでこの本と出会えたことに感謝したい。数年前にはたぶんこの本の価値は半分もわからなかった。文章のはしばしに記憶を呼び覚まされ、それまで無関係だった点と点がつながり、シナプスが結合して「ああ、そういうことだったのか!」とあちこちで発火する、まったくレアで刺激的な読書体験だった。2017年は「反脆さ」と出会った年として、深く記憶されるだろう。
    それにしても「アンチフラジャイル(反脆さ)」という言葉の扱いにくさに、翻訳者も編集者も頭を抱えたのではないか。「ブラックスワン」に匹敵するシンボリックな例がないか、読みながらずっと考えてしまった。この本にも「黒鳥」がいれば、きっともっとずっと話題になったのではないかと思うと、それが残念でならない。

  • 評判を気にしていない人にしか、よい評判は立たないものなのだ。人間の魅力も同じだが、私たちはいちばん注目なんて求めない人に、いちばん注目する

    システム全体を強くするためには、システム内部に脆い部分が必要なこともある

    この七面鳥の話から、質の悪い間違いの根本原因がわかる。「(有害性の)証拠がないこと」を「(有害性が)ないこと」と勘違いしてしまうことだ。あとで説明するように、この種の間違いは知識人の間で蔓延していて、社会科学の分野にもすっかり根を下ろしている。

    変化なくして安定なし。それが人生の摂理のひとつなのだ。

    人間の立派さは、自分の意見を貫くためにどれだけ個人的リスクを冒したかに比例する。言い換えれば、その人の負ったダウンサイドの量に比例するわけだ。要するに、ネロは、博学、美意識、リスク・テイク以外、ほとんど何も信じていなかった。

    実際、心を”最悪”の状態にセットしておくという方法には、癒し以上のメリットがあった。最悪の状況がはっきりとしていて、ダウンサイドに一定の限度があるようなタイプのリスクが負えるようになるのだ。物事が順調なとき、常に最悪を想定しつづけるのは難しい。だが、自制がいちばん必要なのはそういうとき

    私は、現代の真のストア哲学者とは、恐怖を思慮深さに、苦しみを教訓に、過ちをきっかけに、そして欲望を実行に変えられる人だと考えている。

    「単純明快な発見ほど、複雑な手法では見つけにくい」というシンプルで実用的な経験則を思いついた。

    物事を理屈でとらえると失敗するという以外に、もうひとつ教訓がある。頭にまやかしの知識や複雑な手法をいっぱい詰め込んでいる連中ほど、ごくごく初歩的な物事を見落とすということ

    「ほかの人がもう知っていることの大部分は、学ぶ価値などない」。私は心を打たれた。私は今でも、ある職業で成功するために知っておくべきこと極意みたいなものは、必ず教科書以外にあると思っている。それも中心からなるべく離れたところに。だが、読む本を選ぶときに、自分の心の声に従うというやり方には、ひとつ重大な意味が潜んでいる。私は学校で勉強しろと言われたことはまったく覚えていない。でも、自分で決めて読んだものは、今でも覚えているのだ。

  • 脆いことの反対の概念は存在しない。
    反脆さがあれば、予測に頼らずに意思決定が可能となる。
    「リスクを予想する」ことは大変難しいが、「被害の影響されやすさ」は予測しやすい。
    →原発事故が起きた際、事故の発生を予測できなかったことを反省するのではなく、事故に対して脆いシステムを作ってしまったことを反省すべき。

    ★互いに独立した変数を持つことが反脆弱性を持つシステムの条件
    ・失敗から学ぶことができる
    →飛行機のフライトは一つの事象が失敗したところで、他の事象に影響を与えるわけではない。だが、一つの墜落から学ぶことはできる。→小さなリスクは成長のために必要である。

    ・安定のためには多少の変動が必要
    →いつも定時上がりをする場合、少しでも遅れたら家族は心配になる。
    →少し幅を持たせるほうが融通の利くシステムとなる。

    ・経路依存性
    「麻酔を打ってから手術する」のと「手術してから麻酔を打つ」のとでは体験が異なる。
    一旦ダメージを受けてしまうと元に戻ることは難しい。
    利益をあげるためにも、まずは生き残らなくてはならない。
    墜落する可能性の高い飛行機は、まずは目的地に到着しないと意味がないため、速度という概念は劣後することになる。

  • 「脆い」の反対の特性とは何なのか。それは生物の持っている特性である。つまりダメージを受けるたびに耐性を持ち、強靭となるような特性である。この本ではこの「反脆い」特性を獲得することがいかに重要か、主に経済の視点から説いていく。

    「反脆い」の概念は、会社員とタクシードライバーの比較が分かりやすい。一般的には会社員の方が安定していると言われる。しかし「反脆い」のはタクシードライバーであるとされる。なぜなら自営業のタクシードライバーは収入に細かな変動はあるものの、急激な変化は起きにくい。一方で会社員は日常的な変動は無いものの、クビになった瞬間に収入は0となる。このような場合、タクシードライバーの方が「反脆い」存在であり、むしろ安定した立場と言えるのだ。

    こういうのを読むと、では脆い存在である俺はどうするべきか、とちょっと考える。とりあえずバーベル戦略(極端な選択肢を組み合わせる戦略)を使うところから始めてみるか。

  • 経営学者のウィリアム・スターバックは、計画に効果がないことを暴く論文をいくつか発表している。計画を立てることで、企業は計画どおりの行動しか取れなくなり、オプション(選択肢)に対して盲目になるからだ

    これ言われてしまうと打つ手なしですよね。計画立てないと、誰もその行動に同意が得られず、お金も落ちて来ず、計画を実施できません。

    逆に無計画だと、リスク不透明ということで、これまた、お金が落ちてきません。

    八方塞がりな気がします。偉い人のエイヤという直感に頼るしかないのでしょうか。それとも、多少は漠とした計画を了承し得る組織体制の構築が必要なのでしょうか。

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