わたしは、ダニエル・ブレイク [DVD]

監督 : ケン・ローチ 
出演 : デイヴ・ジョーンズ  ヘイリー・スクワイアーズ 
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Amazon.co.jp ・映画 / ISBN・EAN: 4988021146142

感想・レビュー・書評

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  • 是枝監督が敬愛するケン・ローチ監督。
    フォローしている方の本棚で拝見し、ずっと観たいと思っていたが、最寄りのTSUTAYAにはなくて…この社会状況もあり、とうとうAmazonプライムに…。

    ブレイディみかこさんが書かれているイギリスがここにある。まさに。
    イギリスは北へ行くほど貧しくなる、とブレイディさんが書いていたと思うのだが、登場人物の1人であるシングルマザーのケイティも、子ども2人を連れロンドンからニューカッスルへとやってきた。
    通信性の大学で学んで新しく人生をやり直したくとも、子ども2人を抱えて仕事もなく、日々食べることさえ厳しい。
    そんな折、出会ったのが主人公のダニエル。
    初老の大工ダニエルは、精神を病んだ妻を最後まで看取ったが自分自身も心臓発作を起こし、休職中。
    失業手当を申請しに行くも、受給条件は厳しく、働けるはずだと言われてしまう…。

    役所の人も、殊更に意地悪しているわけではないのだろう。分け隔てなく、粛々と業務をこなしているだけのはずだが、全くそうは見えない。
    福祉は弱者のためにあるはずなのに、なんだこの冷たさは!と静かな怒りが沸いてくる。

    子どものいないダニエルは、まるで娘に接するようにケイティを助ける。
    最後はいい方向に向かうのかと思いきや、そんなに甘くない現実的な結末だった。
    フィクションであってフィクションではないイギリスがそこにあった。
    2020.4.5


  • 【ストーリー】(Amazonより)
    ダニエルが教えてくれたこと-
    隣の誰かを助けるだけで、人生は変えられる
    イギリス北東部ニューカッスルで大工として働く59歳のダニエル・ブレイクは、心臓の病を患い医者から仕事を止められる。国の援助を受けようとするが、複雑な制度が立ちふさがり必要な援助を受けることが出来ない。悪戦苦闘するダニエルだったが、シングルマザーのケイティと二人の子供の家族を助けたことから、交流が生まれる。貧しいなかでも、寄り添い合い絆を深めていくダニエルとケイティたち。しかし、厳しい現実が彼らを次第に追いつめていく。





    観終わって...なんだかやるせない思いでいっぱいになりました。
    どこの国にもあるのかなぁ、こんなお役所仕事的な対応...
    親子ほど歳の違うダニエルとケイティたちですが 人との出会いはとても大切だなぁとつくづく思いました。
    ラストが悲しすぎます...

  • 救いなき弱者を撮ることで有名なケン・ローチ監督。
    今回の主人公ダニエル・ブレイクは心臓を病んだ昔気質の棟梁。ものづくりはなんでもできる、っていうおじさんだが、インターネットはできない。舞台は造船業で有名だったニューカッスル 。

    そんな彼が病気で働けなくなり、今まで腕一本で生きてきた生活が一気に困窮する。生活保護の申請もネットで、行政の窓口に言ってもわけのわからない不親切なスタッフばかり。
    言いたいことははっきりいう、そういういかにもな職人が、お役所みたいな場所に行くと、はっきり煙たがられる。明らかに行政の欠陥であり「お前らは(その仕事に)値しない」という言葉とともにその場を去り、ブレイクは大事な家財道具を売って生活をしのぐ。
    またその場であったシングルマザーのケイティ。彼女も補助を得られず、当座の仕事にも困窮していた。ボランティアの食品支給の場で空腹のあまりその場で缶詰を開けてしまうシーンは結構衝撃で、悲壮。そんな彼女も万引きに走り、最後には売春へと身を落とす。
    ようやく行政側の対応が違法という弁護士の助けが出て、彼らの救いの手が差し伸べられかけたとき、ダニエルの心臓は悲鳴をあげる、、、という実に救いのない話。

    タイトルの「I, Daniel Blake」は彼が役所の壁にペンキで塗りたくった抗議の文字。本作のしんどいところは、どんどん状況は悪くなっているのに、悪人がいないところである。窓口の女性は性格も頭も悪いが、仕事をしているだけであり、(不十分ではあっても)悪人ではない。彼にとっての敵は目の前の役所にきているどこかの請負企業の職員ではなく国の壮大なシステムである。あまりに現実的であり、どんどんコストカットをして民営化をして、「自由競争」をしている間に本来提供されるはずの行政サービスは本当に必要な人に届かない。
    今多分世界どこも生生しくそうなっているのを、イギリスの昔の工業の街を舞台に描いている。重苦しいが、見る価値が非常にある。

  • 悲しくて辛くて、やりきれない気分になりました。結末は、どのように捉えるかは人それぞれかもしれませんが、私はダニエルにとって、決して残念な終わり方ではないと私は思いたいです。ダニエルと自分を重ねて観てしまいました。

  • 見ているうちにどんどん苦しくなる。これは英国の話ではない。今、日本で起こっていることと寸分変わらない。役所や職安で受ける応接と同じ。あまりにリアル。レールを外すと、この世界が待っている。「私は怠け者でもタカリ屋でも物乞いでも泥棒でもない。きちんと税金を払ってきた。それを誇りに思ってる。施しはいらない。敬意ある態度というものを」求めている。人として当然の要求だ。人ごとと思わず見てほしい。今ある現実だ。

  • 世の中にはびこる社会の理不尽さが よく表れていた
    ダニエル.ブレイクは 優しさゆえ 悲しい存在
    あるあるなシステム的なトラブル
    理解出来ないところに もっと理解出来ない事を押し付ける社会に対して風刺になればいいけど…変わらないと思うことの虚しさ残る映画だった

  • イギリス北東部ニューカッスルで大工として働く59歳のダニエル・ブレイク(デイヴ・ジョーンズ)は、心臓の病を患い医者から仕事を止められる。国の援助を受けようとするが、複雑な制度が立ちふさがり必要な援助を受けることが出来ない。悪戦苦闘するダニエルだったが、シングルマザーのケイティ(ヘイリー・スクワイアーズ)と二人の子供の家族を助けたことから、交流が生まれる。貧しいなかでも、寄り添い合い絆を深めていくダニエルとケイティたち。しかし、厳しい現実が彼らを次第に追いつめていく。
    デビュー作以来イギリスの貧困を問う社会派ヒューマンドラマ映画を作ってきたケン・ローチ監督が、人を救うはずの福祉が貧困層を追い詰める現実を問う骨太なメッセージを込めた傑作社会派ヒューマンドラマ映画。
    ダニエル・ブレイクは、大工仕事中に心臓発作を起こし、会社の掛かり付け医に仕事を止められたために支援手当を申請するが、何故か就労可能と認定されてしまう。求職手当を受けるために、勤めることが出来ないのに面接を受け、求職手当を受けようとするけど、福祉職員から面接を受けた証拠を持ってくるように要求されるなど理不尽な扱いを受け、ダニエルは人としての尊厳をすり減らす。シングルマザーのケイティも、福祉の支援を受けられず、万引きしたりエスコートサービスに身を落としてしまう。
    何故福祉の支援を受けるべきダニエルやケイティが、福祉の支援からこぼれ落ちてしまったのか? それは、保守党が緊縮財政政策を行い、福祉、教育、医療と庶民の生活を支えるべき行政サービスの財政支出を大幅に削減したからである。失業保険受給者や生活保護受給者を更正するという名目で、福祉職員は福祉の支援を受ける受給者を懲罰的な扱いをするようになった。
    実際にフードバンクを取材したりした中で、ケン・ローチ監督が聞き取りした事実を元に、映画を作成した。
    この映画が公開した年の1月には、呼吸困難など複数の症状を抱えた男性が、失業保険事務所のアセスメントで就労可能と判定され、失業保険事務所の約束取りの帰りに心臓発作で亡くなるという事件が起きている。
    緊縮財政と行政手続きの効率化のために、福祉制度の隙間からこぼれ落ちてしまった人を救うために何をしなければならないのかを観る人に問う骨太な社会派ヒューマンドラマの面もありますけど、ルールにうるさく実直なダニエルがシングルマザーのケイティと助け合いながら必死で希望を探す人情ドラマの面もあります。
    クライマックスでの「わたしは、ダニエル・ブレイク。人間であって犬ではない。当たり前な人間の権利を要求しているだけだ」というダニエルの言葉が、胸に残る映画です。

  • 日本もお役所仕事と言えばタライ回し、さんざん待たせて何の成果も得られないというのが常識だ。また、取るほう(税金)は何の手続きもしなくても速やかに確実に取るくせに、貰うのは非常に煩雑な手間がかかる。審査に通い、膨大な書類に目を通し、さらに提出し、それなのに「却下」っていう。虚しい気持ちでいっぱいになり、貰うのは間違っているのか、諦めろってことか、と申請した人が悪いように感じさせるシステムである。
    が、イギリスもそうなのか。電話は滅多に繋がらず、録音音声によるガイダンスのみ。オンラインでなら予約できるとか、求職し続けないとダメとか、本当にお年寄りにはキツい。よその国の悲惨な出来事、ではなく、日本が舞台でもおかしくない話。きちんと税金払ってきた人が、いざ困った時速やかに給付をされないなら、なんのための納税なのだ。
    若くしてシングルマザーになった女性が、売春しなければ子どもを養えないって、どういうディストピアだ。
    イギリス政府も改めないとまずいと真剣改革してくれ、というケン・ローチの思いが届いていると良いなと思う。日本の「万引き家族」を評価したのもカンヌだ。カンヌでは先進国の貧困問題を扱った作品にパルムドールを与えている。その姿勢を評価したい。
    日本の映画界もスポンサーがつくかどうか、興行収入が上がるかばっかり気にしてないで、本当に訴えるべき作品を世に出して欲しい。アイドル主演のマンガ原作映画ばっかり作ってないで。

  • ダニエルが怒るのは、
    ひとりの生きる人間として、
    正しい敬意を払われないことに対してであって、
    偏屈なわけじゃない。

    その証拠に、
    懸命に生きる隣人たちには誰にでも平等に、
    愛情深い。

    努力するほど苦しくなっていく構造は、
    イギリスだけの現実ではないのだろう。



    先に『家族を想う時』を観ていたため、
    こちらの作品のほうが、
    静かな怒りのように見えた。

    ケン・ローチ監督は、
    ラストシーンがいつも秀逸。

  • 僕の中でのケン・ローチ監督の6本目の作品かな。監督の作品は結構見直すことが多く、4本くらいは結構細部まで観察しているところがあるのですが、この作品のもつ圧倒的な力は凄いものがありますね。キャストも主演のダニエル・ブレイクにケイティ親子の3人の4人が主要で展開されている。

    「わたしは、ダニエル・ブレイク」
    https://www.youtube.com/watch?v=NE9QXcEWQaE

    貧しい人たちの苦難を世に訴えている作品です。観ていて「えっ?」と思うシーンもたびたび出てくるのですが、こういったシーンは撮影前に監督がいろんな場所で見聞きしたことを描いているので作品の中にいくつもの実話が含んでいます。

    「だが尊厳をなくしたら終わりだ」

    ダニエルの放った一言がず~んと響いた。心臓病で食につけずに行政…職安に通うダニエルに差し伸べられる手はなかった。実際思ったが、尊厳をなくした若者が休業補償をもらいうために職安に通い、尊厳をなくさなかった高齢者はホームレスになっているのでないかと……

    監督の作品でここまで泣かされたことはなかったが、可哀そうだと思って泣くのではなく、人にとって大事な事を改めて解らせられ、涙が出てきたような気がします。今年一番泣かされた作品ですね

  • システムに絡め取られ愚鈍にならざるをえない人々も、自分ではわかっている。わかってはいるけれども自らの生活のためにそれを変えられない。仕方がない。どうにか食べていくしかないのだから。しかし決してそんな生き方は褒めたもんじゃない、そうした愚鈍さを仕方がないといって片付けるなんてもっての他だ、と声高に叫んだのが主人公、ダニエル・ブレイク。真の人間。

  • 映画館にて鑑賞。
    ケンローチのテーマはいつも明瞭!
    本作も格差社会の中で切り捨てられていく底辺の人々にスポットライトをあてている。
    目先の緊縮財政で一時的に政府の財布は潤っても、国家としての資源=人材は枯渇して結果として国力衰退につながることがなぜわからないのか???

  • フードバンクでお腹がすきすぎて缶詰を食べてしまった自分を恥じて泣き出してしまうシーン。私も泣きました。

    また、実際のフードバンクの担当者の方に演技とは言わず撮影したそうでして、つまり担当者の方のご対応は本当に自然で温かいんですね。いかにも慣れているというかフードバンクでは珍しくない光景なのかと思うとまた泣けた。

  • これは良い作品。ドキュメンタリーを見ているような気分になる。ダニエルという人間があまりに卑近な存在に感じられるのはそのせいだ。それだけに無性に悲しくなった。非常に問いかけるものが大きい映画。
    人間にとって大事なのは、確かにお金もだけど、それ以上にやっぱり人間だと気付かされる。困窮に陥っても気高さを失わなかったダニエルは、誰かが言っていたようにヒーローだ。

  • こういう社会問題を可視化してくれる映画って、個人的には好物です。本作がカンヌでグランプリを獲ったときに「国の恥を晒すな」とイギリスの政治家が激怒したというエピソードが、この映画のヤバさを物語っていますね。

    イギリスはサッチャー時代以降「小さい政府」の路線で来ているはずですが、それでも福祉が手厚い国という印象がありました。マイケル・ムーアの「シッコ」ではイギリスでは医療費の自己負担がないかにようの語られていたし、失業手当がかなり長期間支給されるというのもよく聞く話です(若い頃は何もしないで失業手当で食っていたって話をイギリスのミュージシャンのインタビューでよく語られる)。しかし、この映画では、アメリカや日本と同じような、貧困の格差が広がっているイギリス社会の現状が描かれます。階級が固定化されているイギリスではそれがより顕著に現れることは想像に難くはないです。

    本作の主人公の立場は大変難しく、医者は働くな言われ、国からは働けるはずだから手当はと言われる。こんな理不尽なことがあるのかと愕然とします。国の福祉制度の手続きの複雑さ、理不尽さを徹底的に露悪的に描き、国が巧妙に救済を拒否していることに彼は糾弾するのです。

    苦境に陥った彼の周りには、小さな親切を与える人はいても(相談員のおばちゃんとか、PCの操作を手伝ってくれる人とか)、彼を救済するだけの力を持たない。彼とシングルマザーの親子との交流は一筋を光を当ててくれますが、それも彼の助けにはならない。家族や地域のセーフティネットが無効なのです。

    ただ彼の心の中に、頭を下げてまで国の援助を受けたくないというわだかまりがあって、援助希求できなかったのも事実。人間としての尊厳は、飢えてまで守らなくてはいけないものなのか、考えさせられるます。この映画を一番見なくてはいけないのは政治家でしょう。

  • テーマの一つは役所の手続き問題。対応がマニュアルっぽくて杓子定規、血が通っていない。なんど挑戦してもパソコンがエラーとなる。電話受付がまず先というが、2時間近く待たされる。医者は仕事はできないと言ってるのに、役所は認めない。このあたりのお役所仕事に対する不満は日本も外国も一緒だなと思うが、オンライン登録できないと先に進まない、できない人に教えない というほどひどくはないような気がするが。医師の診断書を無視するというのもその理由が分かりづらい。ここのズレのために就職活動をしろという役所とトラブルになるので食い違いを丁寧に説明してほしいところだ。

    ダニエル・ブレイク役のデイヴ・ジョーンズが素晴らしい。何度も頭を抱えてしまうのが悲劇のような喜劇のような。

    人間的対応をする。諦めない。正義を貫く。最後の「私はダニエル・ブレイクだ。犬ではない、人間だ」というコメントまで一つの軸を持っている。その軸がしっかりしているので社会とのズレを告発できるようになっている。
    「私もダニエル・ブレイクだ」という拡散が可能のような気がする。
    映画として面白いのかと言うとちょっと物足りない。デイヴ・ジョーンズの魅力だけで引っ張ってる。



    キネ旬2017ベスト1位、SCREEN映画評論家が選んだ最も優れた映画2017 4位

  •  心臓病で医師から仕事を止められ、福祉の窓口へ行くダニエル・ブレイク。しかし、福祉職員は彼に求職活動を求め。。。

     決して面白い映画ではない。福祉のシステムの融通の効かなさに人生を翻弄される人々。そして何より、激しく静かな怒りをぶつける主人公。彼らは市民であり、明日の私かもしれないのだ。
     イギリスも緊縮財政で大変なわけだけど、こういう映画がつくられるのはさすが。この静かな怒りこそ近年の世界を象徴するものだ。日本でも多くの人に見てもらいたい。

  • 世界や人間がいつもそうだとは限らないが社会は常に弱者に冷たい。お役所仕事は本当にコメディで腹立つシーンだったかもしれないけど笑ってしまう。クソだね。
    タイトルはⅠを「わたしは」と訳しただけのものだけどこれだとイメージが全然違いますね。俺でも僕でも違和感ありでもう無理に日本語にしなくてよかったんじゃね?って思います。
    I, Daniel Blakeのシーンはテンションあがりました。通行人の一人と化してウェーイってなった。

  • 静謐で軽やかな演技と演出で、楽しませつつ、イギリスが抱えている問題に鋭く切り込む、巧みな作品でした。

  • 国の制度の問題点というテーマでした。

    少数精鋭のちょうどいい俳優さんが集結していましたが、ピークが低めで静かな作品でした。

    これくらいの温度感の方がメッセージが伝わるのかもしれませんが。

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著者プロフィール

映画監督。
1936年、イングランド中部・ウォリックシャー州生まれ。「キャシー・カム・ホーム」で初めてTVドラマを監督、『夜空に星のあるように』で長編映画監督デビューを果たし、『ケス』でカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭グランプリを受賞。その後、世界三大映画祭などで高い評価を受け続けており、カンヌ国際映画祭では『麦の穂をゆらす風』『わたしは、ダニエル・ブレイク』の2作でパルム・ドールを受賞。

「2020年 『家族と社会が壊れるとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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