パッとしない子 (Kindle Single) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 短編ながら、読み応えあり。
    畳み掛けるように主人公を追い詰める、元教え子の佑。佑が帰り、傷心のまま、やっと解放されたと思いきや、更にとどめとも言える衝撃の事実を突きつけられてしまう。
    他の人のレビューには、主人公の美穂の行為を悪くないように書かれていたり、寧ろ美穂を擁護するようにも取れたりするものも見られる。けれど、私は読んでいくうちに、美穂に対する憤りを感じた。
    佑と会話するほんの数時間前に、他の先生との会話の中で佑のことを「パッとしない子」「地味な性格」と言っているではないか。なのに、佑に指摘されて「(そんなこと)言ってない
    」と何回も否定し、過去の自分の行為も「(佑が)繊細すぎるのだ」と反省していない。
    「私、そんなに悪いことした?」この言葉が美穂の本音。その言葉がさらに佑を傷付けるとは思わないぐらいのおバカさんぶりを見せつけてくれる。
    「僕を見ないで」ーアイドル全盛期の佑をテレビで見ない日は無い。テレビや雑誌で佑を見るたび、美穂は心をえぐられることだろう。
    残念ながら、美穂のような教師は多い。私も美穂から見たら「パッとしない子」だった。
    だから、佑の気持ちがよくわかる。
    おとなしく、教師の手がかからない子で、先生を「友達」と思えない(先生はあくまでも「先生」という考え)児童は目をかけてもらえない。でも、どんな児童でも、教師からのあたたかい声掛けを待っているものである。
    学校は閉塞的な空間で、子どもはそこから逃げることはできない。逃げる=不登校となる。教師は慎重に言葉を選んで話すべきである。特に、若い教師は感情に任せたままの言動が多いので、気をつけて貰いたい。
    ちなみに、今、私は小学校で教壇に立っている。「パッとしない子」に目を向けることは忘れない。

  • KindleSinglesにて。
    コレはなかなか胸クソ悪い。
    よい。
    よいね。
    辻村深月はホント読んでみるまでどっちかわからないから楽しいわ。
    いやあもうホント出てくるヤツらがみんな好きになれない感じでよい。
    そして普通にいそう。
    それがまた胸クソ悪さに拍車をかける。
    いやあよかった。

  • ●パッとしない子「辻村深月」
    主人公の女性の先生は40歳手前。
    10年以上前に受け持った教え子の兄がアイドルになって、昔いた小学校を訪れるというストーリー。

    最初は自分はアイドルの子の方に感情移入した。昔教室内で辛い思いをしたことはあったし、その際に教師にされた無神経な行動は今でも覚えている。

    でもこの教師も、「一生彼が視界に入るたびに辛い思いをし続ける」という業を背負うほどのことをしたのだろうかと考えると、たしかに彼女の発言や行動は無神経で無配慮だったけれども、その背負わされたその業の深さに見合うほどかと言われるとそこまででもない気もしてしまう、、、。
    「先生」は根っからの悪人ではなく無神経なだけの普通の女性だと思う。
    だからこそ、下手したら自分も、気づかないうちに無神経な発言をしてしまい、それだけの業を背負わされうるぐらいかもしれないぐらいに誰かを傷つけているかもしれないと思うと、そら恐ろしく、今後人に応対する際の態度を鑑みたいと思った。初めて読んだ時は心臓がばくばくして頭を殴られたような衝撃を受けた。今でもそのダメージは抜けていないが、いっそのこと抜けない方が、今後の他人との関わり方においてはいいかもしれない。

    「無神経な発言で誰かを傷つけた話」

    このワードで思い出すのは、小学校4年生の頃、囲碁で互先(ハンデなしの試合)で大人の男性に勝ったときのことだ。

    それまではハンデを置いても全く勝てない相手だったが次第に実力は拮抗し、数ヶ月もしないうちにある時ついに、初めてハンデなしで勝つことができた。

    勝った瞬間は、「嬉しい」という気持ちが7割と、それまで完全に相手の棋力が上だったところ、遂に逆転することになり「やってしまった、気まずいな」という気持ちが3割ぐらい。

    対局が終わった後に普通はその試合の検討を相手と一緒に行う。碁石を片付けながら、嬉しさと気まずさを隠すために何か相手に言わなきゃと思った自分は、あろうことか、

    「盤上のどこをみてるかわからないのでいいと思います」

    って褒めるつもりで言った。
    確かにその方は斜視のお方で、焦点が定かではなく、次盤上のどこを攻めるつもりなのかわからないことは戦略上有利に働くと思ったのだ。その時の自分は馬鹿だったから、ちょっとでも相手を褒めて喜んでもらい、気まずさを解消したいと思って、良かれと思ってそう言った。

    そしたらその方が怒って立ち上がって検討もせずに石も片付けずに碁会所から出て行かれてしまった。大人の男性がそういう風に怒るのが初めてだったので、そこで初めて、「何かいけないことを言ってしまった」と思って蒼白になった。人の身体的特徴を、しかもたった今小学生に負けた相手にそういう風に、言ってはいけなかったと今ではもちろんわかる。でもその当時はわからず、褒め言葉のつもりだったのだ。

    それが初めての、自分の「悪意がないことを言って人を傷つけてしまった経験」。

    その時、自分に悪意がなく善意のつもりで言ったとしても人を傷つけてしまうことがあるということを初めて知った。その時の恐怖が今でも忘れられないでいる。

    だから、この話は怖い。アイドルの子にも先生にも共感できてしまう。無神経なことを言われて傷ついた思い出。逆に自分もこんな風に無神経に誰かを傷つけているかもしれないという恐怖。両方感じたことがあるからだ。

    辻村さんの文章を読んでいると思い出したくないトラウマや心の醜い部分までいきなり目の前に引きずり出される。そうしてナイフを首筋に突きつけたまま問われるのだ。自分の醜い、見たくない心と相対せよ、と。

  • どきっとする内容で我が身を振り返った。

  • 背筋がぞっとした。
    文章だけで、ここまで臨場感持って嫌な気持ちになるのは久しぶり。私もだいぶ内気な時期が長かったので、男子ばかり見てるおばさん先生とか大嫌いだったなぁ。。。理不尽に怒られた記憶とかがリフレインされる。

    わからない人には本当に、わからないんだよね。
    絶望が心に重い。

    話をしないで、ではなく、「見ないで」なのがより拒絶を現してるんだろう。。。

  • 短い話。すごく面白かった。学校現場で働いている自分にとってはすごく身近な話題であった。わくわくしながら読み進め、気づいたら読破。

  • 主人公の女性が過去にとった行動が、まさに学生時代の私を受け持った担任と同じだった。きっとその担任も、目の前にいる懐こい生徒しか見えてなかった為に、何の気もなしに無慈悲な言葉を投げたのかもしれない。つまり、悪意なき行動だったかもしれないという視点に目を開かされた。
    悪意がないなら仕方ないと思えるようになった事は、この本を読んだ1番の収穫であった。

    こういうところから、傷つけた・傷ついた の問題が始まるから厄介だ。傷つけた側は気づけやしないし、傷ついた側はいつまでもずっと覚えている。

  • 恐っwふぁーw恐っwオモロw

  • 短編ながらここまで引き込まれるとは。タイトルからは想像できないような内容、また、柱はどっちが本当なのか?主人公みたいな小学校の先生はよくいるんじゃないかな。だってクラスの半数くらいはパッとしない子でしょ。

  • これはホラー

著者プロフィール

辻村深月(つじむら みづき)
1980年山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、2017年『かがみの孤城』で「ダ・ヴィンチ ブックオブザイヤー」1位、王様のブランチBOOK大賞、啓文堂書店文芸書大賞などをそれぞれ受賞。本屋大賞ノミネート作も数多く、2018年に『かがみの孤城』で第6回ブクログ大賞、第15回本屋大賞などを受賞し、2019年6月からコミック化される。他の代表作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ハケンアニメ!』『朝が来る』など。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。2020年、河瀬直美監督により『朝が来る』が映画化される。

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