パッとしない子 (Kindle Single) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • グサっときたなー。自分も仕事と結びつけて読んでしまった。何の言葉や行動が児童にとって刃となって突き刺さるか分からない、からこそその時々で最善の方法を取れる努力をする必要がある。

    だって、本人が何とも思ってないことが、誰かにとっては心ないものだと受け取られるのだから。美穂先生の隠そうにも隠せない本心を綺麗にエグく撃ち抜く佑くんが恐ろしい。こんなことは誰にでもある。他人の功績を伝える過程で自分の虚栄心は満たされる。「少し関わっただけ、でも自身と関わりがあるから」で過去のことを好き勝手言っていい顔されたい予備軍なんてほとんどでしょ。「あいつ知ってる!」が放言吐いていい理由にはならん。

    短いながらも妙な怖さを感じ取れる作品でした。

    【読了時間:26分 / 1日】

  • 読み終わった後の感情としては「複雑」だった。450ページぐらいでボリュームとしてはあっさりと読める。
    内容としては非常なヘビーかつ現実的な問題を取り上げた風刺的要素もあるのかと思った。

    教師と国民的スター、ぱっとこの文章だけ見れば清涼な恋物語でも始まるのかと思えば、驚きの展開だった。
    「した方は記憶が曖昧でも、された方は一生記憶に残る」。作者のメッセージ性が強く感じられる作品だ。
    この作品ではあくまで彼らは教師と生徒だが、一般的ないじめを象徴する言葉として、耳覚えもある。

    しかしながら、結論としては、個人的にどこか説教じみた内容というか、典型的なメッセージのように感じられた。
    『発言した言葉は元には戻らない。だから、相手の気持ちを考えて、慎重に言葉を選ぶべきだ。』確かにその通りだ。
    私は思ったことはすぐに口から出てしまう単細胞なので、この作品の教師の気持ちも分からなくはない。40人対自分1人で戦わなくてはならない教師の気持ちを踏むと、一概に責められないと思ってしまう。
    もし彼女の行動がいじめ問題に発展した原因だとしたら非常に問題だが、察するに少年は平凡に学生生活を送れていたようなので、言われた言葉に固執して恨みを持ち続けていたことに、自身の学生生活の非充実性に対して彼女に責任転嫁をしているような気もしなくもない。
    だが、立場上女性側に非はあるし、小学生は本当に繊細な生き物なので軽はずみな発言が多いとも感じた。
    とりあえずこの女性生徒は教師に向いていないし(あくまで小学生)、数十年近く弟のために邁進してきた兄。よく頑張ったね〜

    結論、両者の気持ちも分かる。
    なので感想を言うなら、まさに『複雑』の一言である。

  • 台湾行きの飛行機の中で
    キンドルで読んだ
    なんか胸が突かれる感じ

  • 短編ながら、読み応えあり。
    畳み掛けるように主人公を追い詰める、元教え子の佑。佑が帰り、傷心のまま、やっと解放されたと思いきや、更にとどめとも言える衝撃の事実を突きつけられてしまう。
    他の人のレビューには、主人公の美穂の行為を悪くないように書かれていたり、寧ろ美穂を擁護するようにも取れたりするものも見られる。けれど、私は読んでいくうちに、美穂に対する憤りを感じた。
    佑と会話するほんの数時間前に、他の先生との会話の中で佑のことを「パッとしない子」「地味な性格」と言っているではないか。なのに、佑に指摘されて「(そんなこと)言ってない
    」と何回も否定し、過去の自分の行為も「(佑が)繊細すぎるのだ」と反省していない。
    「私、そんなに悪いことした?」この言葉が美穂の本音。その言葉がさらに佑を傷付けるとは思わないぐらいのおバカさんぶりを見せつけてくれる。
    「僕を見ないで」ーアイドル全盛期の佑をテレビで見ない日は無い。テレビや雑誌で佑を見るたび、美穂は心をえぐられることだろう。
    残念ながら、美穂のような教師は多い。私も美穂から見たら「パッとしない子」だった。
    だから、佑の気持ちがよくわかる。
    おとなしく、教師の手がかからない子で、先生を「友達」と思えない(先生はあくまでも「先生」という考え)児童は目をかけてもらえない。でも、どんな児童でも、教師からのあたたかい声掛けを待っているものである。
    学校は閉塞的な空間で、子どもはそこから逃げることはできない。逃げる=不登校となる。教師は慎重に言葉を選んで話すべきである。特に、若い教師は感情に任せたままの言動が多いので、気をつけて貰いたい。
    ちなみに、今、私は小学校で教壇に立っている。「パッとしない子」に目を向けることは忘れない。

  • KindleSinglesにて。
    コレはなかなか胸クソ悪い。
    よい。
    よいね。
    辻村深月はホント読んでみるまでどっちかわからないから楽しいわ。
    いやあもうホント出てくるヤツらがみんな好きになれない感じでよい。
    そして普通にいそう。
    それがまた胸クソ悪さに拍車をかける。
    いやあよかった。

  • 共感する部分があった。それは生徒側から見た教師に対して思うこと。何気ない一言が生徒を傷つけてしまう。人気のある先生こそこのやうな要素が強い。なぜなら多数から人気があるということは、みんなに対していい顔をしているようにも見えてしまい、その中で発言に矛盾が発生する場面が出るから。こういったことは仕事の組織の中でも当てはまることなので、気をつけたい。

  • 小学校では、およそ先生も生徒もごく短い期間で入れ替わっていく。先生からすれば、生徒の顔を覚えるのも大変だし、勤務経験が長くなれば、生徒の数は累積し、記憶にも濃淡の差が出てくる。優等生、すぐ懐く子、やんちゃな子、問題児、そして、印象の薄い子。そんな教師と生徒の関係をスリリングに描いた作品だ。

    小学校の図工の教師、松尾美穂はその日を、ちょっと高揚した気分で迎えた。教え子で、人気絶頂の男性アイドルグループのメンバーになった高輪佑(たすく、25歳)がテレビ番組収録のため、母校を訪ねてくるのだ。10数年前、美穂が担任をしたのは、佑の3歳下の弟だが、授業をしたのは事実で、佑ファンの娘にも羨ましがられている。美穂の記憶にある佑は地味で、パッとしない子供だったし、プロはだしと称賛される絵の才能も、片鱗は見いだせなかった。撮影を終え、完璧な笑顔で現れた佑は、意外にも松尾に話したいことがあると切り出したが……。

    美穂のように、薄ぼんやりとした記憶で、その人を知ったふうな感じで話してしまっていること、その人を知らずに傷つけているかもしれないこと、他人事とは思えなかった。
    辻村さんは、人の「悪意なき悪事」を突くのが上手い。
    自分を省みるきっかけをくれる。

  • ●パッとしない子「辻村深月」
    主人公の女性の先生は40歳手前。
    10年以上前に受け持った教え子の兄がアイドルになって、昔いた小学校を訪れるというストーリー。

    最初は自分はアイドルの子の方に感情移入した。昔教室内で辛い思いをしたことはあったし、その際に教師にされた無神経な行動は今でも覚えている。

    でもこの教師も、「一生彼が視界に入るたびに辛い思いをし続ける」という業を背負うほどのことをしたのだろうかと考えると、たしかに彼女の発言や行動は無神経で無配慮だったけれども、その背負わされたその業の深さに見合うほどかと言われるとそこまででもない気もしてしまう、、、。
    「先生」は根っからの悪人ではなく無神経なだけの普通の女性だと思う。
    だからこそ、下手したら自分も、気づかないうちに無神経な発言をしてしまい、それだけの業を背負わされうるぐらいかもしれないぐらいに誰かを傷つけているかもしれないと思うと、そら恐ろしく、今後人に応対する際の態度を鑑みたいと思った。初めて読んだ時は心臓がばくばくして頭を殴られたような衝撃を受けた。今でもそのダメージは抜けていないが、いっそのこと抜けない方が、今後の他人との関わり方においてはいいかもしれない。

    「無神経な発言で誰かを傷つけた話」

    このワードで思い出すのは、小学校4年生の頃、囲碁で互先(ハンデなしの試合)で大人の男性に勝ったときのことだ。

    それまではハンデを置いても全く勝てない相手だったが次第に実力は拮抗し、数ヶ月もしないうちにある時ついに、初めてハンデなしで勝つことができた。

    勝った瞬間は、「嬉しい」という気持ちが7割と、それまで完全に相手の棋力が上だったところ、遂に逆転することになり「やってしまった、気まずいな」という気持ちが3割ぐらい。

    対局が終わった後に普通はその試合の検討を相手と一緒に行う。碁石を片付けながら、嬉しさと気まずさを隠すために何か相手に言わなきゃと思った自分は、あろうことか、

    「盤上のどこをみてるかわからないのでいいと思います」

    って褒めるつもりで言った。
    確かにその方は斜視のお方で、焦点が定かではなく、次盤上のどこを攻めるつもりなのかわからないことは戦略上有利に働くと思ったのだ。その時の自分は馬鹿だったから、ちょっとでも相手を褒めて喜んでもらい、気まずさを解消したいと思って、良かれと思ってそう言った。

    そしたらその方が怒って立ち上がって検討もせずに石も片付けずに碁会所から出て行かれてしまった。大人の男性がそういう風に怒るのが初めてだったので、そこで初めて、「何かいけないことを言ってしまった」と思って蒼白になった。人の身体的特徴を、しかもたった今小学生に負けた相手にそういう風に、言ってはいけなかったと今ではもちろんわかる。でもその当時はわからず、褒め言葉のつもりだったのだ。

    それが初めての、自分の「悪意がないことを言って人を傷つけてしまった経験」。

    その時、自分に悪意がなく善意のつもりで言ったとしても人を傷つけてしまうことがあるということを初めて知った。その時の恐怖が今でも忘れられないでいる。

    だから、この話は怖い。アイドルの子にも先生にも共感できてしまう。無神経なことを言われて傷ついた思い出。逆に自分もこんな風に無神経に誰かを傷つけているかもしれないという恐怖。両方感じたことがあるからだ。

    辻村さんの文章を読んでいると思い出したくないトラウマや心の醜い部分までいきなり目の前に引きずり出される。そうしてナイフを首筋に突きつけたまま問われるのだ。自分の醜い、見たくない心と相対せよ、と。

  • 久しぶりにブラック辻村降臨!
    最後の最後までまったく噛み合わない2人に、ものすごい後味の悪さを感じる。初めて出会った尊敬しなくていいと思える大人が小学校の先生って辛すぎる。

    結婚出産後は初期の爽やか路線に戻った印象の辻村さんだけど、そう言えば無意識の悪意や、ちょっとイタイ女性を描くのが上手い作家さんだったことを思い出した。

    私自身、佑と同じように一歩ひいた目で物事を見てる子どもだったから、佑の言うことはすごく共感できる。
    教師だって人間だから、好き嫌いもあるし、自分に懐いてくれる子のほうが可愛いだろう。多分これは親にも言えることだろうけど、人それぞれ性格は違うし、すべての子どもを平等に扱えというのは酷な気がする。
    でも、それによって寂しい思い、辛い思いをする子どもがいるのなら、大人として、教育者の責任として、言葉や態度に出したらダメだろうとは思う。
    自分にはその責任を負う覚悟がもてないし、絶対に教師にはなれないと思うからこそ、その選択をした人を尊敬するし、頑張ってほしいとも思う。

  • 「尊敬しなくていい大人もいる」なんてこと小学生はわかっていないのかもしれませんね。
    それを初めて体感させてくれたのが自分の担任だなんて、悲しい。
    謙虚な気持ちを大切にしよう。
    傲慢になっている大人たちに読んでほしい。

    読んだあとに知りましたが、著者の辻村深月さんは『ツナグ』を書いた人なんですね。
    なんだかしっくりきました。
    映画の方しか知りませんが「道は凍ってなかったよ」このセリフは忘れられません。原作読みたい。

  • 短くてさらっと読めた。

    教師ってしょうもないって今ならわかるけど、
    判断材料も持ってない純粋な子どもからしたら教師の悪意とか区別とか敏感に感じ取ってその後ずっと残ってしまうんだろうなぁと思った。

  • 人は誰も自分で気づかぬうちに自分に関わりのある人、あった人を傷つけてしまっているかもしれない。主人公は教師であるが、これは教師以外の私達でも起こりうることである。
    教師という子どもたちにとっては、とても影響力の大きい存在の大人の言動の重さを感じる。
    短い作品ではあるが、そこにちりばめられた要素が最大限に効果をもたらしている。主人公の生徒に人気のある明るい性格や今ではトップアイドルとなった教え子等序盤は軽やかにストーリーはすすんでいくが、中盤以降の思わぬ展開に読者は驚かされ、先を読まずにはいられなくなる。
    教師という職業は今でもやはり聖職であろう。しかし教師本人は生徒にとってそこまで偉大な存在であるとは感じていないのかもしれない。実社会を経験せず、学生から即、教師という人が大多数であろう。そんな中でいったいどれだけ、教師は精神的に大人になって、広い視野を持って教え子達を見つめているだろう。
    何十年も教師をしていれば、印象に残る子、ほとんど忘れてしまう子もあろう。しかし生徒にとってはその先生はひとりだけ、一生記憶に残る存在である。
    改めて教師という職業の重さを感じた。
    また私自身も知らずに人を傷つけているかもしれないと辛くなった。

  • どきっとする内容で我が身を振り返った。

  • 主人公の小学校教師・美穂が、かつて教え子だった子が大人になり大スターとなってテレビの企画で学校にやってくることになった。パッとしない子という思い出しかなく、唯一思い出せるエピソードが運動会で門を黒く塗りたいと希望したが、他の先生に反対されたところを美穂が許可して例年とは違ったかっこいい門を完成させることができたというくらいだった。
    撮影が終了し、その教え子からまさかの2人で話をしたいとの言われ、もしかしたらあの時のお礼を言われるのではないかと期待していた。しかし、2人で話をし始めると、美穂の言動で今までどれだけ傷つられたかということを怒り顕にして伝えられショックを受ける物語だった。

    今までいろんな人と関わってきたけれど、自分にとって大事に思っていない人は記憶にも残っていないことが多く、その相手を大切に思っていないという気持ちが、何気ない言葉・行動で相手に簡単に伝わってしまう怖さを感じた。
    今まで生きてきた中で、自分も知らず知らず傷つけてきた人が何人いるのだろうかと背筋が凍った。

  • 背筋がぞっとした。
    文章だけで、ここまで臨場感持って嫌な気持ちになるのは久しぶり。私もだいぶ内気な時期が長かったので、男子ばかり見てるおばさん先生とか大嫌いだったなぁ。。。理不尽に怒られた記憶とかがリフレインされる。

    わからない人には本当に、わからないんだよね。
    絶望が心に重い。

    話をしないで、ではなく、「見ないで」なのがより拒絶を現してるんだろう。。。

  • 胸がキューッてなる。 
    ありがちな内容だけに、刺さる。

  • 後味が悪かった。
    生徒の側からではなく教師の側から描かれていることによって、読み手も騙された。主人公の教師が周囲に自慢して回っていた時、周囲も教師の言葉からしかその生徒のことを推し量れなかったはず。それを実感させられた。
    良い教育者や知人であるということについて考えさせられた。

  • 良くも悪くも不安定だった。大きな感情が動いてるのは生々しく伝わったが、どうしても学生と接する自分を想起しながら読んでしまった。

  • 短い話。すごく面白かった。学校現場で働いている自分にとってはすごく身近な話題であった。わくわくしながら読み進め、気づいたら読破。

  • 20190629
    キンドルでさくっと短い
    サラサラら〜という感じ

    感想とかより、新幹線降りるまでに読み終えるかなが気になっていたね

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著者プロフィール

辻村深月(つじむら みづき)
1980年山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、2017年『かがみの孤城』で「ダ・ヴィンチ ブックオブザイヤー」1位、王様のブランチBOOK大賞、啓文堂書店文芸書大賞などをそれぞれ受賞。本屋大賞ノミネート作も数多く、2018年に『かがみの孤城』で第6回ブクログ大賞、第15回本屋大賞などを受賞し、2019年6月からコミック化される。他の代表作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ハケンアニメ!』『朝が来る』など。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。2020年、河瀬直美監督により『朝が来る』が映画化される。

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