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著者 :
  • コルク
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感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (221ページ)

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。
    「猫を持ち上げるな」「亀ヶ谷典久の動向を見守るスレpart2836」あたりも面白かったし、「クラムゲートの封は切られる」のSFっぽいのも面白かった。
    みちるちゃんはなんか怖い。

  • インターネット、SNS等々どっぷり浸かった現代を生きる私達に則したショートショート。ニヤリと口角が少し上がってしまうような、ふっと息が漏れるように小さく笑えるような、怖ぁとなるような、そんな話たち。隙間時間にさくりと読めます。

  • ネットにまつわる短編集。クスリと来るものから、ゾッとするものまで。
    気軽に読めるものではあるが、実際にあり得そうな話もあり、思わず唸ってしまった。
    読み進めるうちに、あのファイルとこのファイルが繋がっているとは。

  • 少しダークな味付けのショートショート集。
    日常や人の感情の何となく感じているけれど見過ごしがちな「あるある」を切り取るのが上手い。
    特にインターネット独自のリアルな嫌さの描写は流石ですね。
    中でも、とある大学生が亡くなるまでの直前の主観視点での1日と、ニュースになった時の無機質さの対比を描いた作品が印象的でした。

    文体は読みやすいですが、文字組みを変えたりといった色んなやり方を模索している現代的な作品集です。

  • インターネットやSNSを主軸に置いたショートショートだが、読み手の世代を選ぶ作品。

    自分はインターネットの恩恵にあずかりつつも、ネットがない時代もしっかり記憶にあり、SNSは情報を収集するツール程度にしか使わず、適度な距離感でこれらと付き合ってきた。

    自分と同世代の人間がこの本を読めば「現在進行形で起きている、もしくは将来起きそうな話だな」で終わるだろう。インターネットもSNSも便利な隣人だが生活にくいこんではおらず、何かあれば縁を切れなくもない程度の付き合いだ。だから星先生のショートショートのようにオチを読んでぞっとするほど身近な出来事ととらえない。
    自分より上の世代ならネットやSNSに馴染みが薄いため「ぴんとこない」だろう。実際そういうレビューも見かけた。

    生まれた時からインターネットとともにあり、SNSの知人と学校の友人が同列であり、パソコンよりスマホに馴染みがある。それぐらいの世代が一番楽しめる本だと考える。

  • インターネットや科学技術を主なテーマとしたシニカルな短編集。クスリと笑えるものから、どことない不安を誘う作品まで幅広く、短いものは2ページという超短編であることから読みやすさも抜群だった。

    いずれも世界観が明かされた程度で完結しているため、もっと補完が欲しくなったりしてしまうが、あまり解説されるのも野暮なので自分なりにその世界を妄想してみる楽しみもある。

    以下短編ごとの感想メモ (ネタバレあり)

    「猫を持ち上げるな」
    正直、笑える楽しい短編集を想像していたので初っ端からこれはキツイものがあった。異常なまでに生々しく、フィクションでありながら毎日世界のどこかで起こっていることのように思える話作りですぐに本書に引き込まれてしまった。

    「カステラ」
    好き。オンラインでの会話はオフラインと違って、変に知識マウントを取ってしまうと言うか、聴くぐらいならその場でググろうという気持ちになってしまうよね。

    「この商品を買っている人が買っている商品を買っている人は」
    世界観の導入が非常に自然で上手だなとまず感心した。始めは現実世界と同レベルの世界観と思わせて、徐々にずいぶんと発達してるんだと読者に体感させ、それを不安から恐怖へと発展させていく筋書きがたまらない。

    「カスタマーサポート」
    一度読んだときはもう終わり?と拍子抜けしてしまったが、もう一度読み直して解答にたどり着けてスッキリした。

    「天才小説家・北山修介の秘密」
    最近は漫画でさえも、作者とされる人物はあまり関わってなく、プロダクションという形式で作られてると言うけど、確かに小説でそれをやられると不思議と違和感を覚える。コレについては巻末の解説にて腑に落ちる考察がされていてよかった。今後は AI が書いた小説というのがどんどん普及していくだろうから、作品と作者を割り切れるかがより重要になりそう。

    「紫色の洗面器」
    子供系の YouTuber, どうしてもこういう背景があるんじゃないかと勘ぐってしまい直視することができない。

    「みちるちゃんの呪い」
    言葉の持つ魔力がテーマなんだろうけど、あまり刺さらなかった。

    「1日5分の操作で月収20万!最強ブログ生成システムで稼いじゃおう」
    SEOに強そう。

    「過程の医学」
    反出生主義的な価値観の話はあまり好きじゃない。一定以上の年齢の人に対してだけ機能するみたいな仕組みを作れば発表できるんじゃないかな。AI がそういう価値観を持っていること自体が問題なのかな。

    「習字の授業」
    好き。直接入力するとかズルはいけませんってところが学校教育を皮肉ってるとこが好き。

    「ピクニックの日」
    序盤から随所で不穏な表現が散りばめられてたから、どんな落ちになるんだろうとワクワクしながら読み進めた。結果的には電脳化的なありがちな話ではあったけど、純真無垢な子と、在りし日を偲ぶ母の会話が良かった。

    「亀ケ谷典久の動向を見守るスレ part2836」
    一番好き。ありえない話なんだけどありそうと思わせる匿名掲示板パロディーの精度が高い。

    「GIF FILE」
    ループからの脱出というありふれたテーマを、GIF アニメに落とし込んだのが実にインターネット的。一度ネットの海に流れた GIF アニメは、他のループモノとは比べ物にならないほど繰り返し続けてきたんだろう。

    「有名人」
    勢いだけほんと好き。

    「最後の1日」
    正直、友人の竣君が事故の被害者なんじゃないかと思った。こういうとなんだけど、亡くなったのがトシ君のほうで良かった。

    「同窓会」
    この人がみちるちゃんだと気づいた時は続き物なんだって嬉しくなった。

    「クラムゲートの封は切られる」
    大作SFを感じさせる世界観を僅かな量の短編で表現できてるのはすごい。本書の中では比較的長い方ではあるけど、終始引き付けられてあっという間に読み終えてしまった。

  • 視点と場面の切り取り方がめちゃ面白かった。この作者のファンになりました。

  • 情報社会の短篇集。とても面白かったです。
    中にはゾワッと来るようなものもあり、現実でも起こっているのではないかと錯覚させられるような話がありました。

    ショートショートやSFが好きな方には特におすすめです。

  • デジタル社会をテーマにした作品群。

    あるある、ありそうでないけど共感できる、そして未来にはこうなっているかもしれない、、
    そういった感情をもたらしてくれる。

    SFだけど、ノンフィクションみたいな

    不思議な感覚。

  • 面白いけど、あともうひとひねり欲しいかな。

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著者プロフィール

東京都出身。作家。
著者に『止まりだしたら走らない』(リトルモア)、『名称未設定ファイル』(キノブックス)がある。
「ダ・ヴィンチ・恐山」名義で、株式会社バーグハンバーグバーグ運営の「オモコロ」などの幅広い媒体でライターとしても活動中。

「2021年 『ただしい人類滅亡計画 反出生主義をめぐる物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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