本を読むのが苦手な僕はこんなふうに本を読んできた (光文社新書) [Kindle]

  • 光文社 (2017年7月20日発売)
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感想・レビュー・書評

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  • 本を読むのが苦手な横尾忠則さんが書いた133冊の書評をまとめた本。

    朝日新聞で掲載された8年分の書評がまとめられています。

  • 書評を書く人は、「本を読んでもらいたい」と思って書いているらしい。私は、書評:ブックレビュー を書いているのは、もう読まなくていいよと思って書いている。その本のエキスをうまく抽出する作業が書評だと思う。そのエキスを読んで、さらに知りたいと思えば読めばいいのだ。
    とにかく世の中に一体どれだけの本があるのだ。それを読み切るには一生捧げても読みきれないほどの本が出ている。だから書評を読んで、この本はもういいやと判断できる材料の提示だと思う。
    横尾忠則、1936年生まれというから現在85歳。実に矍鑠たるものだ。TwitterでWith Coronaをしている。皮肉であり、風刺でもあり、アーティストとしての反抗勢力でもある。
    本書は、2009年から2017年まで8年間の朝日新聞の書評の133冊が掲載されている。つまり73歳から書き始めているわけで、強靭で旺盛な精神が満ち溢れている。
    「本を読むのが苦手」というポジションが、実にうまい。それに取り上げている本が、自分はアーティストであり、画家であるという自負のもとに選ばれている。本に対して、共振し共感する部分が多くあって、横尾忠則の言葉として噛み砕かれているのに感心する。しっかりと自分の言葉を持っている人である。
    全体を通して、自伝的な本を多く読んでいる。レディガガ、デヴィットボーイ、ミックジャガー、高倉健、原節子、梅棹忠夫、梅原猛、モーツアルト、笠置シヅ子、寅さんとイエス、レンブラント、ダリ、ルシアンフロイド、良寛、アベベビキラ、王貞治、梅原龍三郎、ルノワール、和田誠、荒木経惟、フェリーニ、パゾリーニ、黒澤明、チャップリン、ジョゼフコーネル、井上ひさし、ジーウジハリスン、高山辰雄、樺島勝一、芹沢光治良、柳宗悦、安藤忠雄、江戸川乱歩、ジュールヴェルヌ、アンディウォホール、ファントマ、ルネマグリット、バルテュス、北斎、マルセルデュシャン、ジョルジュブラック、ジャコメッティ、ジョルジュモランディ、俵屋宗達、ピカソ、宮崎俊など。
    この人々を取り上げながら、横尾忠則の言葉が綴られる。私からみれば、ひとつうえの世代の人が多いことと、外国の人も多い。しかし、取り上げている人は、トゲがありカドがある人ばかりのような気もする。
    横尾忠則は、次のように言う。
    「創造性」の言葉の意味がはっきりしている。
    生きているのは幻想であり、生も死も大差ない。死を考えることは性を考えることでもある。
    「今ここにある」ということは、過去も未来も存在しない。瞬間を全身で楽しむことにある。
    「今ここに」は創造行為それ自体であることに気がついたという。芸術創造は、「つまるところこの瞬間刹那の豊麗さに撃たれること、瞬間を生きること、時間を超えて生きる」ことにある。
    創造エネルギーが燃焼をやめない限り、精神的肉体的にも長寿を約束される。
    創造的行為に内在する遊びと自由と笑いがその原動力となる。
    創造は内面の必要性から、直感的に行われる遊びによって達成される。
    創造は「至上の遊び」と規定することで、制約から解放され、自由な精神を獲得する。
    私は、「創造」という言葉がなかなか定着しなかったが、横尾忠則の言葉で随分納得できた。
    それに、横尾忠則は猫が好きだ。猫から学ぶ。
    「好きなことをするが、嫌なことはしない」が猫の思想である。猫は、生活必需品と言い切る。猫は、「非協力、わがまま、気まぐれ、孤独癖、内向的、遊戯性、自立性、反抗的、神秘、不可解、超俗的、曖昧、両義性、霊的、衝動的、直感的、怠惰、非妥協性、個人主義、無邪気、猜疑心、無愛想、自由、ああきりがない」というほどなのだが、それは画家に似ているという。アンディウォホールは25匹も、ダヴィンチ、ピカソなど猫愛好家である。猫はいかなる環境でも遊ぶことを忘れない。それは芸術家のお気に入りだという。
    ふーむ。この猫論は結構面白かった。
    いやはや。横尾忠則は、とにかく、マグロのように、休まず泳ぎ続けるアーティストである。

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著者プロフィール

美術家、グラフィックデザイナー

「2017年 『現代作家アーカイヴ2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

横尾忠則の作品

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