うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった (光文社新書) [Kindle]

  • 光文社 (2017年7月20日発売)
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みんなの感想まとめ

鉄分の重要性をテーマにした本書は、栄養不足が心身に与える影響について具体的な研究結果を交えながらわかりやすく解説しています。読者は、日常生活で感じる疲労やめまいの原因が鉄不足にあるかもしれないと気づき...

感想・レビュー・書評

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  • 「うつ」や「パニック障害」と闘われている人にとっては、とても心強い本であると思います。

    自身にも療養中の家族がおり、家族のためにプラスとなる情報はなんでも知りたいという思いから手にした本です。同じ悩みをお持ちの方やその家族の方へは、一読をオススメします。

    *** 

    メンタルの病気では、これまでの経験上、クリニック等による薬による治療と、カウンセリングなど心理療法による治療のどちらか、もしくは両方によるものという発想のみだったが、本書では第三の方法を提示されており、その第三の方法に、非常に期待感を覚えたと同時に、内容についても納得感があった。

    メンタルの病気はなかなか治療が難しいと実感している。これまでの経験上、クリニック等の薬による治療は、どちらかというと「対症療法」的に感じている。それに対し、カウンセリングなどの心理療法は、心の深層部に蓄積されたうつやパニックなどの原因を除去するか、それらを克服する「根本治療」のように感じている。

    どちらが適切なのかはケースなどにもよるように思うが、最も不幸なのは、金儲けしか考えていない、患者のことより自分のことしか考えていないような、薬を与え続けることが仕事だと考えている医者に当たり、それを信じて投薬治療を続けることだと思う。

    また、「心理療法」も、カウンセラーの力量が左右するのではと感じる。カウンセラーはそのためのトレーニングを受けているが、クライアントの状況を的確に判断し、的確な対応ができなければならないだろう。それに加えて、クライアント側でも根気を伴う。自分自身の力で克服していかねばならないからだ。

    克服の過程では生命力を必要とする。もともと心のエネルギーが少ないからメンタルの病気であるのに、その治療においても心のエネルギーがなければ克服できない。こういう矛盾する事実があるから、治療が困難なのであると思う。

    そこで、その心のエネルギー強化を別の側面からバックアップしてくれるのが、本書の「分子栄養学」を取り入れた食事療法である。

    著者は、現代的な栄養失調について訴えている。カロリーがいくら足りていても、必要な栄養が不足しているなら、それは質的な栄養失調であるという。現代の質的な栄養失調は、結論的には「糖質過多+タンパク不足+ビタミン不足+ミネラル不足(特に「鉄分」不足)の食生活によるものだと述べる。

    本書では、多くの臨床例を挙げて、メンタルの悩みで著者のクリニックを訪れる患者にはその質的な栄養不足、特に「鉄分」不足という共通的な状況がみられるという。そして、その「鉄分」不足を栄養療法により改善すると、一般の投薬治療で行っていた場合で仮に治癒したとしてもせいぜい「寛解(症状が出ない)」レベルであるのに対し、この栄養療法では「完治」できるという。実証的には、非常に期待できる治療法であると思えるのである。

    著者は、体内の「鉄分」不足のことを、「血液中のヘモグロビンが少ない状態は、財布にお金がない状態。フェリチン値が低いのは貯金がない状態」と表現していた。例えば、貧血症は血中のヘモグロビンが不足している状態、つまり現実として金欠状態。フェリチンは内部に鉄を蓄えることができるタンパク質のことだそうで、血中の鉄分が不足したときに、フェリチンに蓄えられていた鉄分放出でカバーするように仕組みとなっているようだ。つまりその場の金欠を補充する貯金のようなものだ。

    著者の調査の結果、うつやパニックの患者はほぼ100%、フェリチン値が非常に低いという。そして、これを食事療法で増やすことにより、うつやパニックが完治するというのである。食事の方向から心のエネルギーを回復していくというのは、非常に画期的な方法であると感じた。

    著者のクリニックも当初は、投薬治療を主にやっていたがそれを正直に反省しつつ、この方法を積極的に訴えている。しかも、旧態依然とした官僚的な医学会では、論文を書いても、改善を証明する臨床事例を報告しても、なかなか受け入れられないというのが実情だと訴え、独自の方法で(例えば本書の発刊のように)、すぐにでも悩む人々のもとへ情報を届けられるよう努力されているようである。

    医学会がそのような旧態依然の体質であるというのは、あのips細胞の山中教授の著書の中でも読んだことがあり、「やっぱりそうなのか」と、著者の活動にエールを送りたくなった。

    例えば「産後うつ」の危険性は周知のことで、労働基準法でも「産前・産後休暇」は取得が保証されている。なぜ「産後うつ」となるかは、このフェリチン値の不足によるものであるということで、全くツジツマがあう。鉄は、神経伝達物質である、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン作成の補因子でもあるのだそうだ。

    とくにメンタルの病でなくとも、「低糖質+高タンパク」はダイエットの基本であり、健康の増進にも最適の食事である。なにかとストレスの多い現代社会では、健康な者であっても、「心のエネルギー」を強化するのに、「鉄分」摂取は有効と思える。

    家族の健康回復を願い、また自分自身の健康増進をめざし、我が家では「低糖質+高タンパク+ビタミンB、ビタミンC+鉄分」を実践中である。鉄分はビタミンCとセットでとると吸収が促進されるそうだ。

    自分も出社前の「プロテイン+鉄サプリ+ビタミンC」を日課と開始したところだ。

  • ふむ

  • この内容は仕事柄社内で起きている事象をかなり説明が出来ると思う。目から鱗の内容だが本質を突いていると思う。食事を真剣に考えて日々を過ごしたいと切実に感じました。

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著者プロフィール

ふじかわ心療内科クリニック院長
精神科医、医学博士
1960年、広島県生まれ。1984年、広島大学医学部卒業。広島大学医学部附属病院精神神経科、県立広島病院精神神経科、国立病院機構賀茂精神医療センターなどに勤務。うつ病の薬理・画像研究や、MRIを用いた老年期うつ病研究を行い、老年発症のうつ病には微小脳梗塞が多いことを世界に先駆けて発見する。2008年に「ふじかわ心療内科クリニック」(広島県廿日市市)を開院。うつ病をはじめとした気分障害、不安障害、睡眠障害、ストレス性疾患、摂食障害、認知症、子どもの発達障害や起立性調節障害などの治療に携わる。高タンパク/低糖質食を中心とした栄養療法で目覚ましい実績を上げている。著書に『うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった』(光文社新書)、『うつ消しごはん』『すべての不調は自分で治せる』『メガビタミン健康法』『若さを保つ栄養メソッド』(方丈社)、『薬に頼らずうつを治す方法』(アチーブメント出版)、『分子栄養学による治療、症例集』(NextPublishing Authors Press)などがある。

「2023年 『親子ではじめる! 天才ごはん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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