エドウィン・マルハウス (河出文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 文庫本にして530頁ほどの長編、子供を保育園に送り、始業までの時間にちまちまと読み進め、二ヶ月かかってやっと読了。

    そんな読み方をしていても、ひとたび本を開くと同時にブラックアウトしてしまう、とにかくとにかく面白い。素晴らしい。ここ四年くらいに読んだ中で一番、人生ベスト3にも入る。
    (タイタンの妖女、スローターハウス5と並ぶくらい)

    子供によって書かれた子供の伝記、という設定で、主人公エドウィン・マルハウスの生と死を親友ジェフリーが人間離れした記憶力で(なんと生後六ヶ月の頃から!)記録していく。

    とにかく描写のしつこいくらいの生々しさが凄まじい。

    特に好きなのは、主人公エドウィンが恋するローズ・ドーンを表したもの。

    「彼女はちょうど、水が一滴落ちて乾いたあとの、かすかにでこぼこになった紙のような感じだった。」

    他にも今までに読んだことのないような表現が怒涛のように頁を埋めていて、作者の感受性の鋭さに胸が苦しくなるくらい。

    幼い頃に抱いたことのある、死への憧れ、「成熟することの醜怪さ」、歳を経るごとに失われる「何かに執着できる能力」を維持するための、「自殺の効用」…。

    小学生のとき、誕生日が来ると、「また死に近づいた」と言って母を怒らせたことを思い出した。

    今は思わないけれど、子供の頃に感じたあの、なんともいえない死の甘い香り、かすかにまだ感じられる。

    我が子もそんなことを考えたりするのだろうか。

    嫌だけど、仕方のないことかもしれない。

  • 描写が緻密でめっちゃ良かった
    「我々が喋り出したのは無言に耐えられず狂い出した狂人だから」のくだりとかすごく好みだ
    ジェフリーがだんだん気味悪くなってくるのも良いな

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著者プロフィール

1943年、ニューヨーク生まれ。アメリカの作家。1972年『エドウィン・マルハウス』でデビュー。『マーティン・ドレスラーの夢』で1996年ピュリツァー賞を受賞。『私たち異者は』で2012年、優れた短篇集に与えられるThe Story Prizeを受賞。邦訳に『イン・ザ・ペニー・アーケード』『バーナム博物館』『三つの小さな王国』『ナイフ投げ師』(1998年、表題作でO・ヘンリー賞を受賞)(以上、白水Uブックス)、『ある夢想者の肖像』『魔法の夜』『木に登る王』『十三の物語』『私たち異者は』『ホーム・ラン』(以上、白水社)、『エドウィン・マルハウス』(河出文庫)がある。ほかにFrom the Realm of Morpheusがある。

「2021年 『夜の声』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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