海に沈んだ大陸の謎 最新科学が解き明かす激動の地球史 (ブルーバックス) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  •  「海に沈んだ伝説の大陸」という引きつけられる視点から始まるからこそ、地質について最後まで興味深く読むことができた。
     実際に海に大陸が沈んだ場合海底の地質はどうなるのか、そもそも大陸はどうやってできるか、どうやって年代を測定するのか、とどんどんと深みにはまっていく内容に興味が途切れさせず引きつけられる。
     ただ……ひとつひとつが学術的で細かい点が多く、もっと素人が疑問に思うところをざっくりと教えてほしい、という部分があった。
     例えば、化石がない地層についてどう測定するのか。その点について、ウラン-トリウム法、ウラン-鉛法、カリウム-アルゴン法など、放射線同位体の含有量から計測する方法についてグラフを用い詳しく書かれていたが、細かすぎて、素人からすると興味がそそられにくい。
     そうではなくて、どうしてそれを測定すると年代がわかるのか、の説明がほしい。半減期をはかると何故、年代がわかるのかがわからない。地球の全ての物質は46億歳ではないのか?
     なぜ地層の年代がわかるのか?そもそも地層の年代とは?
     半減期のグラフの調整方法などはいいから、大雑把な原理をまず教えてと思ってしまった。
     テーマは面白い。内容も面白い。だが、細かいところが細かすぎ、逆に知りたいところが省かれているのがやや残念。
     この本に書かれている、大陸の成り立ちや火山についてはかなり心ひかれ、次は鉱石の本でも読もうかな、という学習意欲をわきたたせてくれた。

  • 空想科学読本的なものと言ってもよいかもしれない、幻の大陸というものが地球科学的にありうるかを考証した一冊。とはいえ海洋プレートと大陸プレートの違いや、その根底にあるマグマの性質、また地球科学で用いられる年代測定法など、大学初頭レベルの地球科学の基礎を網羅した内容になっておりとてもよかった。太平洋の海台については自身知らなかったので勉強になった。

  • 著者の佐野貴司さんは国立科学博物館に勤務する地学研究者。本書は著者が「ムー大陸伝説を地質学的に検証するというかたちで 、地学の基礎から説明し 、大陸と海洋底の違いや 、地球の歴史における大陸の成長史などについて解説して」いくという、題名から受けるイメージよりは若干重い学術書です。

    そもそも、大陸と海洋の違いは何か?

    東北地方の約4億年前の地層からは東オーストラリアで見つかる化石と同じものが、一方で、約 2億 5000万年前の地層からはアジア特有の化石が発見された。これは何を意味し、なぜそうなったのか?

    何億年という地層の年齢が、どうしてわかるのか?

    大陸はどうやって生まれるのか?どうやって沈むのか?

    恐竜が絶滅したのは、本当に隕石が原因か?

    で、結局のところ、ムー大陸は実在したのか?

    以上の謎を最新の科学技術がどこまで解き明かすことができたのか、本書は豊富な図やグラフを使って説明します。
    ただ、肝心のムー大陸の有無については、かなりあっさりと否定されてしまっています。まぁ、本書は科学書ですから、古代史的ロマンを求めるものではないとあきらめましょう。

    お勧めの★★★★。ただ、図の文字が小さくiPhoneのkindleでは少々読みにくいと思いました。できれば新書版で読まれることをお勧めします。

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著者プロフィール

1968年、静岡県生まれ。1997年、東京大学大学院理学系研究科地質学専攻博士課程修了。博士(理学)。日本学術振興会特別研究員などを経て、国立科学博物館地学研究部鉱物科学研究グループ長。専門は火山学および岩石学で、主な研究対象は超巨大火山。

「2022年 『日本の気候変動5000万年史 四季のある気候はいかにして誕生したのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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