ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階 [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 本編は半分ぐらい。残りは付録。前2作に比べると、すぐ読み終わった感じ。

    前2作の復習を、ダメ企業の立場から見直していくような。はっきり言って、前2作を読んでれば無理に読まなくていいと思う。

    個人的には、起死回生の一発逆転を狙った悪手なのか、BHAGなのか判断が難しいと思う。「勝てば官軍」ではないけど、結果が出てから後講釈してるような気も。

    前作で取り上げた"偉大な企業"が何社かコケたために、その申し開きをしているような気もした。

  • ビジョナリーカンパニー3

    内容メモ


    偉大な企業の衰退を、同じ時期に成長した同業種の企業との比較によって分析

    企業は全く健全に見えても、実際には衰退が始まっていて、危うい状態になっている可能性がある。

    偉大になるより衰退する方が道筋が多く一般化が難しい

    衰退の5段階
    1. 成功から生まれる傲慢。成長が権利と考えるようになり、培ってきた成功要因を見失った状態。学習意欲が低下し、運の役割を軽視する。
    2. 規律なき拡大路線。卓越性を維持できない成長ペースや得意でない領域への進出
    3. リスクの問題の否認。警戒信号は多いものの外見的には業績の良さを説明できる。悪いデータを小さく良いデータを誇張。組織再編を繰り返す。
    4. 一発逆転の追求。急激な衰退が誰の目にも明らかになる。
    5. 屈服と凡庸な企業への転落か消滅。

    途中で回復することも可能

    各段階の補足

    ②官僚制による規律の破壊
    ・パッカードの法則: 成長を担う適切な人材を集められるより早いペースで売上を増やすと衰退する。
    ・不可欠な規律野文化は、規則や硬直性から生まれるのではなく、責任を受け入れられる適切な人材がいることからもたらされる。
    ・不適切な人が増えることで官僚制が必要になり、凡庸さの病に感染していく。
    ・肩書ではなく何に責任を持っているかで答えることが重要。

    自己満足仮説は間違い

    重要なポストの適切な人材の条件
    1. 会社の基本的価値観にあっている。
    2. 適切な人材は厳しく管理する必要がない
    3. 肩書ではなく責任を持っていることを理解している
    4. 達成すると約束したことは必ず達成する
    5. 会社とその仕事に対して情熱を持っている
    6. 窓と鏡の成熟した思考様式を持っている(成功要因を自分以外に見出し、失敗は自分の中に見出す)

    ③データが曖昧で矛盾した状態で高リスクの賭けの意思決定を行う時に立てる問
    1. 良い結果になった時何が得られるか
    2. 極めて悪い結果になった時どのような打撃を受けるか
    3. その打撃に耐えられるか、確かに耐えられるか

    ④ CEOの外部招聘
    ・衰退の過程でCEOを招聘を救世主として行い、一発逆転を狙って業績が悪化するケースが多い。
    ・例外はガースナーだが、特効薬に頼り失敗するサイクルに捕まらなかったため復活できた。

    ⑤屈服
    ・戦いで重要なのは生き残ることではない。自社が消えた時、世界は何を失い、どんな点で悪くなるのか、その問へ説得力ある答えを見出せるか。

    〇十分に根拠のある希望
    ・1〜3は特に、4でも資源が負のサイクルから抜け出す残っていれば、進路を逆転させることはできる。経営規律を守る。
    ・暗闇からの脱出の道はチャーチルのような決して屈服することのない人物から始まる。
    ・長期にわたって苦闘する価値があるのは、価値観と目標があるからであり、これを放棄してはならない。


    ◯良好な企業から偉大な企業への飛躍の法則
    第一段階 規律ある人材
    ・指導者は野心を何よりも組織と活動に向けており、自分自身には向けていない。個人としての謙虚さと職業人としての意志の強さを持つ。
    ・適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから下ろし、その後で行き先を決めている。

    第二段階 規律ある考え
    ・厳しい状況でも最後に必ず勝つという確信を失わず現実を直視する。
    ・単純で一貫した概念(世界一になれる部分、情熱を持てるもの、最高の経済的原動力)に一致する優れた決定を行う。

    第三段階 規律ある行動
    ・仕事ではなく責任が与えられ、責任の範囲内で自由に行動する
    ・重い弾み車を一つの方向に押し続け、回転数を増やしてやがて突破のタイミングに入っても押し続けるようなもの

    第四段階 偉大さが永続する組織を作る

  • ○教育で効果をあげたいのなら、正しい答えを示そうとしてはだめだ、良い質問をすることに集中するべきだ。
    ○偉大な企業は成功のために現実の厳しさから隔離されうる。
    ○組織の成長が速すぎるために、主要なポストに適切な人材を配置することができなくなったときには、衰退への道を歩みはじめている。
    ○規律なき拡大路線である。
    ○内部では警戒信号が積み重なってくるが、外見的には業績が充分に力強いことから、心配なデータを「うまく説明する」ことができるか、困難は「一時的」か「景気循環によるもの」か「それほど悪くないもの」であって、「基本的な問題はない」とほのめかせる。
    ○ほとんどの企業はいずれ没落するのであり、この事実を否定しようとは思わない。
    ○とりわけ危険な形の傲慢さとして、傲慢な無視にぶつかる。
    ○成功を収めてきたのは「当然だ」と考え、圧倒的に不利な条件のなかで思わぬ幸運に恵まれたか、一時的なものだとは考えず、必死に努力した結果だとすら考えない。
    ○指導者が好奇心と学習意欲を失う。
    ○買収が間違いだったと後に分かっても、後戻りはできない。
    ○イノベーションに熱狂していると、成長が速すぎて戦術面の卓越性を持続できなくなり、やはり簡単に衰退の段階を急速に下ることになりかねない。
    ○傲慢になると、拡大につぐ拡大を軽率に約束することになりうる。そしてある日、期待をはるかに高めすぎていたときに失敗する。そのときの打撃は大きい。
    ○どの企業も、成長を担う適切な人材を集められるよりも速いペースで売上高を増やしつづけながら、偉大な企業になることはできない。
    ○異例なほど偉大な企業はいずれも、何よりも、みずから自分を管理する人材、みずから動機をもつ人材に依存している。
    ○規律の文化というと、規則や硬直性や官僚制が特徴になっていると思えるかもしれないが、実際には正反対である。適切な人材が集まり、各人が責任を受け入れていれば、大量の無意味な規則や愚かな官僚制度はそもそも不必要になる。
    ○会社の主要なポストはどれなのか。主要なポストのうち、適切な人材が配置されていると自信をもって断言できるものはどれだけの比率があるのか。この比率を高めるためにどのような計画を立てているのか。適切な人材が主要なポストを離れたときのために、どのようなバックアップ計画があるのか。
    ○最高の指導者は特異な才能をもっていて、自分自身がそれほど重要ではないとみていた。そして、経営チームを構築し、基本的価値観に基づく企業文化を確立して、一人の英雄的な指導者に頼らない体制を築く必要があることを認識していた。
    ○明確で議論の余地のない事実を無視したときではなく、データがどちらにも解釈できるが、悪い方向に振れたときに深刻な結果か悲惨な結果になりうる状況で、曖昧なデータを間違って解釈したときである。
    ○権力の座にあるものが他人か外部要因に問題があったと指摘するなど、心配なデータをうまく説明し、会社が深刻な問題にぶつかっている可能性を示す厳しい現実を直視しないことである。
    ○組織再編とリストラを行うと、何か生産的なことをしているとの錯覚が生まれかねない。
    ○理想的な組織などというものはない。
    ○大規模で素早い解決策か大胆な方針によって一気に業績回復を達成しようとして、長期的な勢いを取り戻すために困難な道のりを着実に歩んでいこうとはしない。
    ○現在進めているものという四つの研究のために行った調査で、偉大な企業の構築と外部からのCEO招聘の間には強い逆相関関係があることが分かっている。
    ○現金が重要だという意識は薄れていく。成功している企業の指導者は現金より利益を重視するようになる。だが、企業は利益の不足で倒れることはない。現金の不足で倒れるのである。
    ○凡庸な組織は解体するか、優良な組織に変えていくべきである。
    ○わたしにとって、こうした動きはすべて、従業員が引退まで勤められる会社にし、従業員の子供たちが入社して働きつづけられる会社にし、いつの日か、実績を誇れる会社にするためのものである。
    ○正しい指導者は、事業が好調なときも不調なときも、脅威に直面しているときも好機を活かそうとしているときも、いつも変わらず緊迫感をもっている。
    ○経営規律を学びなおしたいのであれば、ドラッカーやポーター、デミング、ピーターズとウォーターマンなど、古典的な名著を読む。
    ○環境だけで結果が決まるわけではないという結論である。
    ○外的な状況や一時的な後退、過去の経緯、間違い、さらには強烈な敗北にすらも、われわれは縛られていない。各自の選択によって自由になれるのである。
    ○偉大な人物は後退しても回復しうる。完全に打ちのめされて退場するのでないかぎり、つねに希望がある。
    ○決して屈服してはならない。戦術は変える意思をもたなければならない。だが、基本目的をあきらめてはならない。
    ○成功とは、倒れても倒れても起き上がる動きを果てしなく続けることである。
    ○適切な人材は会社の基本的価値観にあっている。
    ○適切な人材は厳しく管理する必要がない。
    ○適切な人材は「肩書き」をもっているのではなく、「責任」を負っていることを理解している。
    ○適切な人材は達成すると約束したことはかならず達成する。
    ○人々は約束したことを実行し、不平はいわない。
    ○適切な人材は会社とその仕事に情熱をもっている。
    ○適切な人材は「窓と鏡」の成熟した思考様式をもっている。
    ○ガースナーは救世主になると期待されてIBMのCEOに就任したが、難しい決断を下す規律(そして、パニック状態での決定を行わないようにする規律)をあきらかにもっていた。
    ○規律の文化(人々が厳しい業績基準、価値観、責任の枠組みの中で自由に行動する文化)
    世界一になれるとともに優れた経済的リターンが得られる分野だけに事業を集中する厳しい姿勢を維持 。
    ○親切な人を雇って販売方法を教えることはできるが、販売のプロを雇って親切になるよう教えることはできない。

  • 前作(ビジョナリーカンパニー2)で飛躍の原則について触れ、今作では「偉大な企業が衰退していく」メカニズムを暴こうという試みがなされる。
    傲慢さ、規律なき拡大路線、リスクと問題の否認、一発逆転を狙う、そして衰退する...
    いくつもの企業が辿った偉大なる失敗パターンを学び、自ら歩む道筋への教訓としたい。

  • 主要な弾み車に残っている可能性を無視するのは傲慢である。それ以上に悪いのは、主要な弾み車は退屈だと考えて無視し、成功はほぼ間違いないとの思い上がりから、つぎの大事業に関心を移す傲慢

    他に力入れてるといことで権利化の仕事しなくなりました。基本、特許事務所にお任せです。他のことに時間を割ける点では有難いです。

    ただ、これでいいのかとも思います。なかなか社内でしか対応し難いアイデアの練り固めに権利化の仕事が活きていたように思います。公知例を読み解き、公知の内容とアイデアの違いを浮き彫りにする仕事です。権利化作業を減らして、これを維持できるのかと思います。

    知財法も変わっています。言っても肩書きは知財部なので、最新の知財法にコメントできないと、立つ瀬がありません。2割くらいはどっぷり知財の仕事残せたらな、と思います。

    ところで、ブクログ見たらまさかの2回目という驚き。読んでも覚えていないものだなーとつくづく感じました。

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著者プロフィール

『ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則』(Built to Last、ジェリー・ポラスとの共著)をはじめとする世界で1000万部超のロングセラー『ビジョナリー・カンパニー』シリーズの著者。米コロラド州ボールダーの研究ラボを拠点に四半世紀以上にわたって偉大な企業を研究、経営者から絶大な支持を集める。2017年にはフォーブス誌の『現代の経営学者100人』にも選出された。著書に『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』(Good to Great)、『ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階』(How the Mighty Fall)、『ビジョナリー・カンパニー4 自分の意思で偉大になる』(Great by Choice、モートン・ハンセンとの共著)。

「2021年 『ビジョナリー・カンパニーZERO』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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