出版禁止(新潮文庫) 禁止シリーズ [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 著名なドキュメンタリー作家と心中し、生き残った女性への独占インタビューを手にした著者。心中を紐解くにつれ、インタビュー執筆者が辿り着いた先は……
    描写がホラー並に怖い!

  • 実話を基にしたフィクションかと思って読み始めたのだが、途中でそうでないとわかって少しがっかりした。結末はたしかに予想外ではあったが、もっと不気味、もしくは意外性のあるトリックがあることを期待していたので、そこまで衝撃的ではなかった。
    一方で、インタビュー相手の女性の魅力が不思議と伝わってくるいい表現が多かった。美しくてかつ負のエネルギーをまとった女性は本当にいるのだろうなと感じた。

  • フリーのルポライターによってしたためられた、ある事件に関する未発表の原稿と手記を、著者が公開する体裁を取っている。ライターが残した手記を中心に挟み、前後には著者によって事件を理解するための情報や考察が添えられる。とくに手記以降の終盤で著者が明かす情報が本作の核心である。

    ルポライターが追っていたのは、7年前に有名なノンフィクション映像作家が不倫関係にあった秘書と心中し、秘書の女性だけが生存した事件である。調査するライターは事件について単なる心中ではなく裏があると睨み、真相を暴いて自身が立てる仮説を証明するために、生き延びた女性や関係者への接触を試みるというのが前半までの大まかな流れである。ルポルタージュの原稿として書かれているため、聞き取り形式の記述も多く含む。

    タイトルと装幀から、人気のない山奥で起きた怪談かそれに近い展開を期待して読みはじめた。ネタバレが許されないタイプの作品のため詳細は避けるが、読書前に私と同じ期待をされる方のためにも、とりあえずオカルト作品ではない。また、「異形のミステリー」を謳っている通り、純粋なミステリーでもない。

    結末を知ったうえで振り返ると、前段階にあたる前半のストーリーにあまり必然性がなく、やや不自然にも思えた。330ページほどの長編だが、中編程度の短い話であれば、装幀の裏表紙に掲げられた本作の売りである「恐るべきどんでん返し」にも、もっとインパクトがあっただろう。長編作品として成立させるためにオチが薄まった印象を受けた。文章そのものは読みやすく、スムーズに読み通せる。

  • ルポライターの取材日記ベースで進んでいく話。
    比較的読みやすく、最後には残酷な…
    伏線及び回収もあって面白いフィクションでした。

    児戯の如く
    確かに、文頭の文字を繋ぐとかは
    今になっては、ねぇ

    そして、生首をって言う描写が
    昔見たアニメを思い出しました。

  • 面白かった。
    「児戯のような仕掛け」はよくは分からなかったが(そこまでがっつり探す気はない)、よく出来てるなあと唸ってしまった。
    「カミュの刺客」では、心中に関して否定的だったのに、後にのめり込んで行く様が怖かった。「出版にあたって」「あとがきにかえて」を読んで、どこまで計算されていたのか、どこまでが刺客なのかを考えると怖かった。
    とにかく、何か気持ちが悪いものが残る。

  • 先日読んだ出版禁止と同タイトルだけど、全く違う話。ただ、話はとあるルポライターが書いた取材ルポという体で書かれていることは同じ。
    七緒がすでに死んでいたのは分かってたんだけど、オチまでは予想できなかった。長江さんの本は読み終えた後に考察ブログを読むのが楽しい。アナグラムの「胴なし女」はめちゃくちゃゾッとして良かった…。
    考察ブログで「七緒の遺体に対する所業がひどすぎるから若橋は七緒を愛してなかったのでは」と書いてあったけど、むしろ逆じゃないかな…。
    愛してないと人の遺体なんて食べられなくない?

    心中って耽美的でロマンがあると思いつつ、この年になると色々守らなくてはいけないものがあるので、ただのロマンとは思えなくなってきたな。

  • 『放送禁止』を見たときに得られる満足感とほぼ同じ感覚を得ることができました。
    めっちゃ良かった。

    この作品も映像作品と設定は似ていて、ある理由で出版されなかったルポルタージュを長江さんが見つけて、その謎に迫るという形式になっていて、一度すべてを読んでからもう一度最初に読み直すと全然違うストーリーが見えてくるという形になっている。
    映像作品の方は違和感に気付きやすいようにあからさまにおかしな要素が映ったりしていたんだけど、この『出版禁止』は注意深く読んでいても全然気付けなくて、終盤にほとんどの答えを解説してくれるんだけどそれを見てやっと意味がわかるようになっていて、やっぱりそれに気付いた時のぞわぞわする感じがたまらなく良かった。

    あらすじとしては、とある心中事件で死ぬことができず生き残った女性へのインタビューを中心に構成されたルポルタージュがなぜ出版されずに封印されてしまったのか、というのをそのルポを読みながら追っていくという感じ。

    仕掛けがあるのはわかっていたので結構しっかり読んでいたんだけどやっぱり全然トリックに気づけなくて、筆者が用意した解決編になって初めてあ~~~~~~~~となる感じがやっぱ癖になる。
    長江さんの書籍はまだまだたくさんあるので他のも読んでいこうと思います。

  • 最初この本は ノンフィクションものが
    出版禁止になってしまったけど日の目を浴びたものかと思って 読みました。

    ところが 
    ミステリーだったんですね。
    これが・・・・

    だから あまり内容には 触れませんが
    視覚の 死角 ? 
    なんか 不思議な 日本語だと 思っていたら
    後述で 誤植の 事が書いてあったので これの事かと思ったけど 本当の漢字は なんだったんだろう??

    仕方ないので ちょとネットで調べたら
    刺客の刺客 という 意味??
    それなら 納得かも~~~

    怖い内容でしたけど
    多分 こういう 細かい 作者の意図などを
    じっくり  読み込めば もっと怖さがわかったでしょうけど
    すみません。 表面上だけど 怖がっておしまいです~~

  • おもしろかった。裏切られた。まさか本人がカミュの刺客やとは思わんかった。"心中"とか馴染みはないけど、究極の悦びに取り憑かれてしまうってゆうのは興味深い。そんなに人を愛したことがないけなんとも言えんけど、人の心はいつの時代も見えんってことはわかった。

  • 最後は驚きもあり、それが巧みに文章に散りばめられていた。ただ読解力の問題かあまり入り込めず、ネタバレを見てもスッキリ納得はできなかった。

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著者プロフィール

1966年大阪府生まれ。映像作家、小説家。深夜番組「放送禁止」を制作、熱狂的なファンを生む。監督として映画化し、上映。2014年、小説『出版禁止』がヒット。著作に『ゴーストシステム』『出版禁止』『掲載禁止』『東京二十三区女』『検索禁止』などがある。

「2023年 『恋愛禁止』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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