幻夏 (角川文庫) [Kindle]

著者 :
  • KADOKAWA
4.19
  • (84)
  • (85)
  • (36)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 648
感想 : 89
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (443ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「幻夏」(太田愛)

    1. 事件の悲劇性
    小説「幻夏」は、事件の悲劇性を強く印象づけます。物語の冒頭で少年が失踪し、その後の展開は読者を圧倒します。しかし、その悲劇は冤罪によって引き起こされたものであり、家族に深い傷を負わせています。

    2. 犯人の意外性
    作者の巧みな筆致により、犯人の正体は意外性に富んでいます。読者は予想外の展開に驚かされることでしょう。

    3. 冤罪の影響
    冤罪は、被害者だけでなく家族にも大きな影響を及ぼします。物語の中で、冤罪によって人生が狂わされた4人家族の苦悩が描かれています。「やるせなさ」を覚えてしまうのは私だけでしょうか・・・。

    4.著者について
    太田愛さんは、小説家としてだけでなく、ドラマ「相棒」の脚本も手掛ける才能ある作家です。小説の末尾には「参考文献」と「取材記録」があり、彼女の緻密なリサーチと執筆姿勢が伺えます。

    5.読み終えて
    冤罪の問題は深刻です。
    小説の世界では、取り調べのブラックボックス、そして冤罪当事者に記述させる「恨みません調書」の存在などが記述されています。
    そして、これらは、太田さんが取材を通じて知った実情です。
    わたしたち読者は、小説をとおして「考える機会」に触れることとなります。

    「幻夏」はフィクションの世界です。
    しかし、冤罪を現実の世界に置き換えて考えさせる力を持っています。

  • 犯罪者を読んで、幻夏が続きのストーリーだったことを初めて知った。
    犯罪者、天上の葦と読んで、このシリーズが本当に最高で、もう一度会社の方から幻夏をお借りして再読した。

    もー、再読したらたまらない!!
    あの3人の活躍が、前回読んだ時とは比べ物にならないほど頭に入ってくる。

    そう、この本は相馬の幼い頃の話から繋がっていた。
    相馬の幼い頃の友人がある日突然姿を消した。
    残された母親から、23年後鑓水のところへ、息子を探して欲しいと依頼が来る。

    少女失踪事件を調査していた相馬は、少女が連れ去られた現場で、23年前、友人ごいなくなった時と同じ印を見つける。

    相馬の捜査は次第に鑓水の依頼と交差する。


    さいっこーに面白かった!
    一度読んでるのにすっかり忘れてる私(笑)

    場面、場面は映像になって記憶しているのに、肝心なところは記憶から抜け落ちており、またまた楽しめてしまった(^-^)

    この作品は本当におすすめ!
    是非シリーズ順番通りに読んで頂きたい!!

    • shukawabestさん
      今、読み終えました。
      僕の苦手な悲しい物語でしたが沁みました。bmakiさんが、「犯罪者」でなく、「幻夏」を薦めてくれた意味が実感できました...
      今、読み終えました。
      僕の苦手な悲しい物語でしたが沁みました。bmakiさんが、「犯罪者」でなく、「幻夏」を薦めてくれた意味が実感できました。
      ありがとうございました。
      2024/02/29
    • bmakiさん
      shukawabestさん

      コメントありがとうございます(*^▽^*)
      お疲れ様でした。
      沁みましたかぁ。。。
      太田愛さんの作品...
      shukawabestさん

      コメントありがとうございます(*^▽^*)
      お疲れ様でした。
      沁みましたかぁ。。。
      太田愛さんの作品はすごいですよね。
      作品に飲み込まれるというか、没頭してしまうというか。

      この本は2回読んでいるのに、また記憶喪失になっている私です(^◇^;)
      もう一回読んでも、多分初回のように楽しめそうな自分がいます( ̄▽ ̄)
      2024/03/02
  • こちらもオーディブルで拝聴しましたが、やってしまいました。
    『正体』に続いて外で聴いてはいけないシリーズです。
    今回はスーパーのお菓子コーナーで涙腺が崩壊しそうになりましたが耐える事に成功。
    危うく、泣くほどお菓子が食べたいのかと同情されてしまう所でした。

    シリーズの2作目だとは知らずに拝読しましたが、全く問題なく1本のストーリーとして非常に完成度が高かったです。

    23年前に失踪した息子を探して欲しいと、探偵である鑓水の元に謎の依頼。依頼費は300万円。
    この300万円も後に出処が分かるのですが、謎が早めに解決されたと思いきやまた新しい謎が始まり、そして綺麗に繋がって行く構成に舌を巻きました。

    構成作家さんて本当に美しい流れで文章を繋いでくれるので、登場人物が何処に居てどんな景色を見ているのかが手に取るように分かります。

    幼い頃の尚と刑事の相馬が湖で最後の夏を過ごすシーンなんかはエモ過ぎてお菓子を食べていた手が止まってしまい、そのまま天を仰ぎました。(視聴用おやつをスーパーで吟味していたのでした)

    しかしこの物語はエモさと謎だけでは出来ておりません。警察による自白強要などの司法の闇にズバズバと切り込んで行きます。
    警察のみならず裁判官の実情についてまで踏み込んでいますが、何処までが真実なのだろうか…。空恐ろしくなったものですが、尚は一体どのような思いで「俺の親父、ヒトゴロシなんだ」と相馬に告げたのか…。

    相馬の前から姿を消した尚の行動が遂に明らかになる場面では、またもや「誰か!だから助けて下さい!」と1人懇願。
    そんな私を連れて尚はどんどん遠くへ行ってしまいます。

    太田さんの素晴らしい筆力によって私も尚、相馬、拓と共に夏の一時を過ごし、鑓水、修司と共に謎を解く為に奔走しました。
    その先に待っていたのはノスタルジックな感動と、拭い切れない悲しみでした。

    思わず再度冒頭を聞き返してしまったのですが、涙腺ダムが遂に決壊してしまいました。

    他の2作品は是非とも書籍で読んでみたいです。
    また読みたい本が脳内本棚に積み上がる事になりましたが、仮想空間なのでいくら積んでも良し。

    • yukimisakeさん
      アンシロさんこんばんは♪
      えー!置き去りに!でもあるあるですね( ̄▽ ̄;)
      こっちも止められなくなりますよね!どちらかと言えばこちらの方がよ...
      アンシロさんこんばんは♪
      えー!置き去りに!でもあるあるですね( ̄▽ ̄;)
      こっちも止められなくなりますよね!どちらかと言えばこちらの方がより好きなんですよ!
      ここでは尚が好きでした。今回も泣けますので寝不足にご注意して頂きつつ、存分に浸って下さい♪
      もちろん修司もイケメン俳優で行きましょう!吉沢亮さんとか笑
      2023/12/24
    • アンシロさん
      そうなんです、デスクに置き去りに笑。

      年末年始はあまり動かずひた〜〜〜すら読書をしようと近々『天上の葦』も購入予定です(*^^*)

      吉沢...
      そうなんです、デスクに置き去りに笑。

      年末年始はあまり動かずひた〜〜〜すら読書をしようと近々『天上の葦』も購入予定です(*^^*)

      吉沢亮さん、いいですね(^_^)vぜひぜひそちらでいきましょう笑。
      2023/12/24
    • yukimisakeさん
      今頃デスクの上でちょーんって淋しく待ってますね笑
      良いですね!ちょっと豪華なおやつなど食べながらとか最高です♪
      もしかすると『天上の葦』はア...
      今頃デスクの上でちょーんって淋しく待ってますね笑
      良いですね!ちょっと豪華なおやつなど食べながらとか最高です♪
      もしかすると『天上の葦』はアンシロさんの方が先に読まれるかもですね、感想楽しみにしてます(о´∀`о)

      良いですよね、大好きな俳優さんです♪
      2023/12/24
  • 冤罪とは
    新聞やテレビで目にするだけの遠い世界で起こっている事と思っていました。きっと大多数の人がそうでしょう。
    ですが、その想像力の無さが冤罪というものが無くならない理由なのだと、そう著者が教えてくれます。
    この本を読んでいる間だけでも、自分の身に置き換えて
    想像してみて下さい、と
    そう言われているような気がします。

  • Audible

    #評価の背景
    物語の世界に、2週間くらい引っ張られたから。私は小説や、映画の世界に入り込んじゃうたちだけれど、これはかなりの重力を感じた。重かったぁ…読了後もたまに思いだしては、登場人物の心情を想像してはやるせなくなる。

    #心に残ったこと
    あくまで小説なので、警察組織や捜査の設定は無理がある。けれども、そんなことが吹っ飛ぶくらい、親子や人間の心理描写が素晴らしく、冤罪の生まれる背景にリアリティを感じた。
    特に、子ども目線のひと夏の描写が鮮明で、私の中のたくさんの思い出…友との関わりや親への気持ち、近所の様子まで想起させた。子どもの夏の経験が愛おしく尊く感じるがゆえに、辛い場面では心が大きく乱された。

    #Action
    次は全く趣向を変えて、産業系とか労働系の話を読んで(聴いて)みたい!

  • メインで取り上げられる冤罪被害者家族がとにかくかわいそうで、かなり重い物語だった。それでも、主人公チームの明るさとたくましさのおかげで、ワクワクハラハラしながら読み進められた。
    中盤で明らかになる事実がとにかく衝撃だったし、伏線がたくさん張られていたので、時間を置いてまた読み返してみたら新しい発見がありそう。

    この話に出てくるような悲劇が起きないよう、警察や司法関係の人たちに広く読まれてほしい。

  • 20年以上前の少年失踪事件を解決してほしいとの依頼を受けて興信所が動き出す。
    少女誘拐事件が起き、事件現場には少年失踪事件と同じ記号が残されていた。点が結びつき その裏には司法制度を揺るがす秘密が。背筋が寒くなるが これが日本の刑事制度。
    権力は自制 自浄できないと腐敗する。

  • 刑事と興信所のタッグで、20数年前の夏休み明けの2学期初日に突然失踪した小学生の事件と現在の誘拐事件の真相に迫るミステリー。

    少年時代の刑事と失踪した少年とその弟が共に過ごしたキラキラした夏休みの描写と真相の結びつきがわかるにつれ、少年とその母親の心情が胸に刺さる。
    本作では日本の刑事司法を糾弾する内容となっており、誇張が多いところもあるのだろうが、この捉え方で見ると、閉ざされた刑事司法の恐ろしさがわかる。
    犯人バレの後にちょっと展開としてのくどさを感じたが、ウルッとくるフィニッシュで良い読後感。良作です。

  • 失踪した息子を探して欲しいと母親が興信所に依頼する。話は現在と小学生時代を行き来して進み、後の展開がどうなるのかとドキドキしながら一気読みだった。しかし、父親があまりにも可哀想すぎる…

  • 少年時代に起きた事件、23年の時を経て起きる事件、どういったつながりがあるのか、的な。
    少年時代の無邪気な日々と大人になって社会や会社に縛れる場面との対比は社会人ならだれでも共感できるんじゃないかなと思った。
    子供のころに戻りたいな~って思ったり、なんか切ない気持ちにもなりました。でもしっかりミステリーでもありました

全89件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

香川県生まれ。「相棒」「TRICK2」などの刑事ドラマやサスペンスドラマの脚本を手がけ、2012年、『犯罪者 クリミナル』(上・下)で小説家デビュー。13年には第2作『幻夏』を発表。日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)候補になる。17年には上下巻の大作『天上の葦』を発表。高いエンターテインメント性に加え、国家によるメディア統制と権力への忖度の危険性を予見的に描き、大きな話題となった。

「2020年 『彼らは世界にはなればなれに立っている』 で使われていた紹介文から引用しています。」

太田愛の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×