まほろ駅前狂騒曲 (文春文庫) [Kindle]

著者 :
  • 文藝春秋
4.11
  • (11)
  • (17)
  • (7)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 195
感想 : 14
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (473ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 多田便利軒のドタバタ。今回の騒動は遺伝上は行天の子でもある「はるちゃん」を一ヶ月半ほど預かって欲しいという依頼に端を発する。行天の過去や、山城町の岡さんの横中バス問題、多田の恋心、星のしのぎとか色々絡まり合って、落ち着きどころの見えないままに物語は疾走し、読む手も全く止められない。やっぱりいいよなぁ、多田便利軒。こんなに空気感の良い小説は少ない。面白い。

  • シリーズの集大成、という感じだった。

    行天の子ども嫌いをはるちゃんと過ごすことで克服(?)し、多田さんはちゃっかり女社長をものにし、前巻の終わりに匂わされていた野菜集団とも決着がついた。

    ヤクザもどきの星さんとも、望まないまま仲良しになっていて面白かった笑

    男2人の友情、ともいえないけどなんらかの情があってあったかいお話だった!

    続きが読みたい

  • まほろ駅前に便利軒という便利屋を営む多田とそこに転がり込んできた同級生の行天の二人があらゆるご注文、お手伝いにお答えする業務の中で起こるドタバタと人間模様。
    無口で寡黙な多田はまほろ市でその生業をつつがなくこなし信用を得ていたが、野風増でマイペースな行天が転がり込んで二人分の食い扶持を稼がなくてはいかなくなり、今日もあらゆる仕事を請け負っている。
    そのまほろ駅前の便利軒が請け負った仕事の数々の中に人との繋がりやそれぞれの発注者やそれに絡んで来るヤクザまがいの人々との絡み合いが二人を変えていき、二人の人生を広げて行く。
    読み始めたら止めることが出来ずあっという間に読み終わること請け合いです。

    なお私が読んだのは文庫本ではなく初版の書籍です。
    検索には出てこなかったので文庫を登録しました。

  • まほろシリーズ完結編。
    多田と行天の掛け合いが缶を追うごとに面白くなっていった。
    行天!おい、行天!!
    はい、たしかに驚きですね
    には笑ったww
    岡老人がとうとう決起したんだけど、老人たちはどうも呑気で緩いのが可愛い。運転手の中野もなんだかんだ馴染んでていい味出してた。
    行天とはるが少しずつ仲良くなって、はると指だけで手繋いだりするの萌える。
    亜沙子と多田がくっつくのはいいけどルルとくっ付くのも良かったなって思うw
    終盤、行天が初めてはるの事を名前で呼んで
    はるを預かって良かったかもしれない。いざという時、はるを傷つけるんじゃなくて守るために動ける自分を知れて良かった
    って台詞に感動した。
    なのに!最後の最後やっぱあんたあ門松を持ってくるんかいってのがぽくてイイね。

  • 「まほろ駅前多田便利軒」、「まほろ駅前番外地」は割と早めに読んで
    いたのですが、この作品はだいぶ前に買っていましたが、何故か読んでいなくて今頃になって読了です。
    なので以前の作品を少し忘れかけて読んでいましたが、
    多田と行天のやり取りを辿っていくうちに徐々に
    この二人の微妙な関係の面白さが伝わってきて
    どんどんと物語に引き込まれていきました。

    多田と居候の行天との破天荒な日々が描かれている中、
    少し癖のある登場人物と関わることによって、
    また一波乱二波乱とあり喜怒哀楽満載な内容となっていました。

    息子を失っていて心に傷を負っていた多田と
    夫を亡くした亜沙子がこんなにも急展開になっていくとは
    ちょっと想像つかなかったので意外でした。
    それと同時に行天も過去の心の痛みを心の奥底に秘めながら日々を過ごしていたこと。

    それが女の子の「はる」を預かることによって、
    徐々に心変わりしていったことによってその後の生き方にも
    影響を与えていたことが良いスパイスになったのかなと思えました。

    誰もが心に何かを悩みを抱え込んで生活をしているけれど、
    それを日常では表すことなく過ごしているけれど、
    窮地になった時にはそれを近くの人達がそっと
    支え合って生きている姿に心を打たれました。

    多田と行天だけの二人の物語だけではなく、
    登場してくる人の数だけ物語があり、
    それが人との繋がりや絆となっていくというのが
    この作品ではよく伝わりました。

    行天が突然いなくなってしまった部分は
    多田の悲壮感が伝わり、行天のいつものユニークな人柄が
    このまま抜けてしまうのかと寂しく読んでいたら
    ラストにはまたあのいつもの言動が見えたのでほっと出来ました。
    腐れ縁でもなんでもこの二人のコンビは最高でした。

    シリーズ完結編となっていますが、
    それでもこの二人のコンビの行く末が気になったり、
    多田と亜沙子の恋の行方も気になりました。

    行天の言った
    「でも、俺はあんたのこと、なるべく覚えているようにする。
    あんたが死んじゃっても。俺が死ぬまで。それじゃだめ?」
    という言葉が心にぐっときました。
    命は無くなるのではなく、
    誰かの人の記憶に残りながら
    命はこうやって引き継いでいくのかもしれないと思いました。

    この作品ではさりげなく、会話の端々で大事なことや素敵な言葉が
    出て来るのでそれぞれを思い噛みしめたいと思います。

  • まほろ駅前シリーズ3作目。これで一旦は終着しているが、続編を十分書けるような状況での終わり方。
    多田と行天の二人。相棒というのも、友達というのも、パートナーというとのも違うような。三浦しをんだけに、ボーイズラブも連想してしまうが、そういうものでもないと思う。
    関係性の名称はなくとも、この二人に限らず、誰かが誰かを覚えていたら、そこに何かが生まれる。生きている以上、少なくとも誰にもその可能性がある。
    夢を見たっていいじゃない、という、何かで見たフレーズを思い出す。
    それは、大島弓子の漫画のふわふわした絵面の奥に、もの凄いような孤独が伴走している、そんな感想にも通ずる。相当甘い認識から発せられているんだろうと推測しとしまうその言葉が、実はギリギリの精神が発している可能性だってあるのだと思ったりもする。
    夢を見たっていいじゃないと、言わなければ生きていられない時もあり、実際、何で人が生きているのかと言えば、それぞれの頭の中にしかその答えはないのかもしれない。食べ物が必要なだけあれば。

  • 行天の子・はるを預かる。野菜団体と岡老人の決起。行天の過去。多田と柏木の仲が進展。

  • まるでドラマや映画を見ているかのようにすらすら読めます。毎度予想の付かない展開にのめり込んでしまう。シリーズ完結編なので前二作を読んでおく必要がありますが、前二作も同様にすらすら読めるので問題ありませんね。

  • まほろ市は東京都南西部最大の町。駅前で便利屋を営む多田と、居候になって丸二年がたつ行天。四歳の女の子「はる」を預かることになった二人は、無農薬野菜を生産販売する謎の団体の沢村、まほろの裏社会を仕切る星、おなじみの岡老人たちにより、前代未聞の大騒動に巻き込まれる!まほろシリーズ完結篇。

  • 東京都南西部最大の町まほろ市で、便利屋を営む多田と居候の行天が四歳の女の子を預かることに。町では無農薬野菜を販売する謎の団体と裏社会のドンが衝突。前代未聞の大騒動に二人が巻き込まれるシリーズ完結編。
    独特な世界観と個性的な登場人物が次々と登場したこのシリーズも遂に終わり。ラストに相応しく、これまでの登場人物が総出演し、いつもよりドタドタ感が増えた。何より嬉しいのは、そのみんなが成長していること。文庫版特別収録短編も良い味出してる。

  • 当代の人気作家の一人、三浦しをん。
    その三浦しをんが直木賞を受賞した小説、『まほろ駅前多田便利軒』。
    作品は映画化され、続編も発表されました。

    『まほろ駅前番外地』
    https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4167761025

    そのシリーズ第3作となる小説が文庫化されていると知り、電子書籍版で読むことにしました。

    今回の作品も、舞台は東京の西にあるという設定の、まほろ市。
    その駅前で”便利屋”を営む多田と、そこに居候している多田の同級生、行天が、主人公。
    便利屋に持ち込まれる、大小様々な依頼。
    それらの依頼に対処する、2人の姿が描かれています。

    そんな日常の中で、2つの大きな出来事が、2人に降りかかってきます。
    ひとつは、行天が苦手とする小さな子供を、預かることになったこと。
    もうひとつが、”無農薬野菜”を前面に押し出して活動している団体が、まほろ市に出没するようになったこと。

    このふたつ、プラスアルファの話が、全体の大きな流れとなって、小説が展開していきます。
    その成り行きを楽しむのが、この小説の味わい方のひとつ。

    そして、それらの騒動に対処するなかで、主人公の2人が自分の内面と対峙する様を読むというのも、このシリーズの重要なポイントだと思います。
    今回も、過去の辛い記憶とどう向き合っていくか、愛情というものをどのように表現するのか受け取るのか、といったことを考えさせてもらいました。

    この2人の”その後”を知りたい気持ちも残りましたが、このシリーズは本作品で完結のようです。
    残念ですが、しっかり味わわせてもらいました。

    この作家さんが次に、どのような作品世界を提示してくれるのか、楽しみにしたいと思います。

    『政と源』三浦しをん
    https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/B073GM66RN

  • 初読。シリーズ3作目。タイトルがうろ覚えで新作と気が付かずやり過ごしていたことに気が付きあわてて読了。今までの登場人物をかき集めてフィナーレへ。主人公2人の関係が、それぞれの重い過去を乗り越えて新しいステージへ。幸せなラストへもっていくために、一歩間違えばご都合主義的な薄っぺらいものになりそうなところを、しをん様が見事に導いてくれた。自然によかったよかった、と微笑ましくなりました。

  • まほろ市という町田をモデルにした架空の町を舞台に、二人の便利屋がトラブルに巻き込まれたり巻き起こしたりする話、完結編。

    相変わらず、行天は破天荒な動きをし、
    曽根田のばあちゃんは予言をし、
    岡老人は憤慨し、
    星は無茶な要求をし、
    由良公はマセた子供だし、
    多田は振り回されつつも付き合う。

    新たな登場人物や変化もあり、
    タイトルに違わず駅前で
    クレイジーな騒動も発生する。

    一連のゴタゴタの結果、
    多田と行天のそれぞれが抱えていた悩みも
    答は出つつあるのかなと。

    二人の間の対話だけでなく、
    町の様々な登場人物とのコミュニケーションで
    二人の中で整理がついていくのが良い。

  • 【「まほろ」シリーズ怒濤の完結篇】四歳の女児「はる」を預かることになって多田と行天は大忙し。まほろ駅前では前代未聞の大騒動が。抱腹絶倒感涙必至の完結篇!

全14件中 1 - 14件を表示

著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

三浦しをんの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×