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感想・レビュー・書評
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至福のカフカタイムだった。
定期的に摂取したくなる。今回初めて読んだのは、カフカが仕事で書いた文書。「木材加工機械の事故防止策」と「採石業における事故防止」策について。まったく首尾一貫していて新鮮だった(当たり前だけど)。しかしやはりどこかカフカの迷宮的世界のにおいがする。
800ページくらいあるが全然飽きない、ずっと読んでいたい。「カフカ的な」小説はもう掃いて捨てるほどあるのに、カフカの小説とはなぜ違うのだろう。考えても今のところわからない。
カフカの新作を読みたいという欲望のあまり、本書を読みながら、AIが代わりに書いてくれないかと思った。人間が書くよりも、意外とAIが書いたほうがカフカの小説になるのではないかと踏んでいる。
本書で注目すべきは多和田葉子氏が翻訳に参加していること。「変身(かわりみ)」「祈る男との会話」「酔っぱらった男との会話」「お父さんは心配なんだよ」の4編。
面白いことに、他の翻訳家の訳は文字通り黒なのに(それはそれで楽しく読んだが)、彼女の翻訳を読むと、意味を認知するとともに色がついて見えた。
しかし小説としてもっともすばらしいと思うのは、「歌姫ヨゼフィーネ、あるいは鼠族」と「訴訟」だ(ちなみに「変身」はちょっと完璧すぎる。もちろん傑作だけど。どこまでも妙な場所へ連れて行かれそうな不穏さが薄い)。何度か、笑った。
「訴訟」は、どうにか官僚システムのメタファーとして読まないように気をつけながら読んだ。だと面白くないから。しかしけっきょくは、友人女性から聞いた婦人科検診のたらい回し&言われることが二転三転する謎の展開の話が吸い付くように思い出され頭から離れなくなった。まさにそっくり。今回の発見は、ヨーゼフ・Kがかなり傲慢な男であったということ。また、「訴訟」は原罪の話でもあると思うのだが、罪というのは有罪判決を告げられたあとに犯されるものだという真理。この小説は呪いについての話でもあったのだ。
多和田葉子は「解説」(これもすこぶる読み応えがある)で、カフカの小説における性的なもの、「エロスの層」について指摘しているが、これはよくぞ言ってくれたと嬉しくなった。「訴訟」もまた、エロスと罪がつながっていて、ヨーゼフは、ひとつはこのエロスにまつわる罪によって有罪とされたといっても過言ではない。カフカは寓話っぽいけど寓話ではない話を考え出す天才だ。カフカらしく捩くれていて、これ、と指し示すことはできないが。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「訴訟」はすごい。
世界文学を読む意味がここにあるような気がした。
ガルシア=マルケスよりも、カフカのほうがずっと、頭がおかしい。発想がぶっ飛んでいる。面白すぎる。
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