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みんなの感想まとめ
大災禍と混乱がもたらした変質した日本を舞台に、言葉や環境が破壊される様子が描かれています。物語は、前半の表題作を通じて、機能不全に陥った都市や生態系、言葉の消失を背景に展開され、後半の短編で徐々にその...
感想・レビュー・書評
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大災禍と混乱を経てあらゆるものが変質亡失してしまった日本が舞台
前半表題作でそんな世界が描かれ後半の短編でこれまでが徐々に明かされてゆく
全くの予見なしに読み始めたのがここ数日の地理的状況との付合に思わず驚愕
今はただこんな世界が到来しないことを祈るのみ詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
環境破壊を描いた小説だが、同時に言葉も破壊されていく。
偽善に侵され、言葉が棘を失っていく現代を嘲笑っていくようだ。
さすが言葉にこだわる作家。 -
献灯使
カタストロフィに襲われ、都市も生態系も回復不能の機能不全に陥った日本。日本は鎖国し外来語は排斥され、発言は検閲され、法律は日毎に変わる。「ありがとう」や「迷惑」は死語となり、言葉は火災報知器で検閲される。「突然変異」は放射能の影響を糊塗する為に、差別用語となり「環境同化」に変えられる。それでも義郎は、使えなくなった大量の言葉を捨てようとせず、ひ孫の無名に使用禁止言葉として教える。年毎に健康が増進し不死となり、ひ孫の無名を見守る曽祖父の義郎と、逆に成長に伴い衰弱が進む理発な無名の二人を中心に物語は進む。義郎の別居中の妻で献灯使審査委員の鞠花、息子の飛藻と無名の出産後亡くなったその妻、娘で沖縄に住む天南のそれぞれの大災厄後の様子も語られる。読解力の乏しさにもどかしさを覚えながらも、3.11後の政府の原子力発電会社の擁護、報道規制、福島からの移住者への差別、嫌がらせ、いじめ等に対する作者の怒りが感じられ、近未来に予測される大地震に伴う再稼働中の原発破壊により、この物語が現実となることを危惧させられた。
「不死の島」は「献灯使」の予告となる短編
ドイツの入国審査官は日本パスポートに触れることに拒否反応を示す。「あれ以来、日本へは行っていませんよ」と伝えることで自身の安全性を証明しようとする場面から物語は始まる。原発即時停止を命じた天皇の幽閉、原発永久休止を宣言した総理の暗殺、政府民営化、鎖国状態になった日本の姿が描かれる。若者は早死にし、老人は被爆により不死化する。
「彼岸」は再稼働した原発に故障した米軍戦闘機が墜落し日本列島が全瓦解する物語。原爆が列島全体に落とされたような状況で、元国会議員の瀬出郁夫は中国へ向かい、中国大陸で少数民族「ニッポン族」として生きることを考える。 -
ふたたびの原発事故と大混乱の後、鎖国政策により世界地図から姿を消した日本。外国語は禁止され、言葉の意味は日々変わり続けている。政府は民営化されていて、誰がどのように統治を行っているのかは不明だ。便利な生活を支えていた科学技術は地位を低下させ、食糧がもっとも価値ある商品として取引されるようになっている。弱い体で生まれてくる子どもたちは動くことも見ることもままならず、老人たちは100歳を超えても死ぬことはできないまま、子どもの世話をするために働き続ける。
これはディストピア小説? でもこのもうひとつの日本には、絶望だけでない、そこはかとないユーモアや希望もたしかに息づきうごめいていて、そこがこの作品集に魅力をあたえている。子どもたちはわたしたちの知っている子どもたちではなく、異形ともいえる姿で生まれてくるが、異なるやりかたで世界と関わり、互いにコミュニケーションをし、やがて思いもかけないかたちで変貌を遂げていくことを予感させる。
政治家たちがフクシマの後ですら原発を再稼働させるほど変化を認めず、外の言葉を否定して漢字に固執するのに、それらの言葉は絶えず統制をのがれて奇妙に変化し続けていく。思いもかけない変化を遂げてしまうのは大人たちだって同じだ。生け花をしながら手にする言葉の変貌に驚きおののく主婦は、大地震を境に教室仲間の女性「てんちゃん」と熱烈な文字/身体の探りあいを交わすことになるし、男性的能力を回復するために中国をいさましく攻撃していた右派政治家は難民として中国の救援センターにたどりつく。小説家の幻視の中で、「日本」は、人は、限りなく変容を遂げていくようであり、それはぞっとさせるほどに不確かでありながら希望とみまがうほどに優しい。
人間がいなくなった世界で、動物たちに再発見される人間とはどのようなものであるのだろうか。異形のものとなり果てた末に交わされる会話とはどのようなものなのだろうか。薄明の中に沈むその世界は残酷で、優しいような感じがする。 -
フィクションは面白くないと思っていたが不思議な感覚の世界に引き込まれ読み終えた。永遠の命を与えられた世代の人間の一人、義郎。環境のせいでまともな体躯ではない世代の一人、ひ孫の無名。現代の環境を皮肉って表現されている部分あり、未来はこうなるのではないかと不安を感じさせる部分あり・・・・。バックグランドの説明はせず、義郎と無名の不思議な日々が続く、そして・・・。
村上春喜は好きではなく、多く読んではいないが村上ワールドを感じた。他の短編は読む気がしない。これで多和田葉子は終わりにする。 -
多和田葉子、初めて読んだ。
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原発事故で放射能に汚染された土地と人
大人は年をとっても弱っては行くのに死ねない
子供は身体の弱り具合が顕著で介護が必要
そんなディストピアの物語
図書館で『怖い本』コーナーにあった訳だ
今の私の価値観だとどうしようもない救いがたさしか感じられないような世界を可笑しくさえあるように描く
いいとか悪いとかでなく、こんなもんじゃないかな、とため息つかせる
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「献灯使」(多和田葉子)を読んだ。目の前の日常の風景がぐにゃりと歪んで、この国の行き着く先の闇が真実味を帯びて広がる。読んでいたiPad miniのカバーを一旦閉じて吸い込んだ息を長く静かに吐き出した京浜東北線の中で。多和田葉子さんの文章にはとてつもない『腕力』があるのだ。
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新聞で勧められていたので、読んでみた。
全ての話を読んでみると、2011年以降何があったかおおよそわかる日本の将来ご描かれた作品。
わかるような、わからないような -
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【視点、性別、シームレス!!】
2回読んだ
初見ではとてもじゃないが掴めない
確実にディストピアへと近づきつつある世界観
そんな舞台設定の上で、物語の核を
ふわふわの言語感覚で作者が意図的にはぐらかす、はぐらかす
未だに作者の言わんとすることを掴みきれていないが、
2回読んで思ったことが結局のところ
【性別すら不変じゃなくなった世界で、それでも人の胸に残り続けるものとは何か】
これに尽きると思う
というのも、これは私の個人的なラストシーンの解釈だが、
・15歳になった無名はあの日の少女と再会する
・この時に車椅子に乗っている自分の足の上に何か、柔らかい見えないボールのようなものが乗っている感覚を覚える描写がある
・二人して仰向けになった砂浜で、少女の顔が近づく
・少女の両目が義郎と恩師の顔になって終わる
まず、見えないボールの表現は
この再会を機とした無名の懐妊の比喩だと考える
お相手はもちろん再会した少女
無名が女性になり
少女が男性になり
二人は夫婦になり
人の父と母になり
献灯使になり海を渡る
……いや、思ったのだが、
ひょっとして、無名が妊娠して、その子を産んで
その子を義郎に託して献灯使として旅立つのか?
そしてその子が成長し、また恩師に見出され、また15年後には献灯使に抜擢されて───
終わりなき役目を背負う、しかし決して独りにはならない義郎への愛か
何にせよ、性別すら不変じゃなくなった世界で、無名の核は変わらず義郎なのだと思う
というかこの作品、視点もぬるぬる気づいたら変わる
義郎→鞠子の描写変化のところとかすごいもん!
でも、違和感が全くない
作者の技量の高さがでている証拠
多くを読者に委ねる作品ではあるが、
決して投げやりな作品ではないことだけは確かだと感じる
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気づいたら動物しかいなくなって終わった。細かいところへの気づきや考えが面白かった。作者の思考プロセスをじっくり調べたい。
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2019年2月23日読了
初めての作家さん
全米図書賞(翻訳文学部門)受賞作品
(こんな賞があったのね)
不気味な表紙と、話題になっていたので読んでみました。 ~大災厄に見舞われ、外来語も自動車もインターネットもなくなり鎖国状態の日本。
老人は百歳を過ぎても健康だが子どもは学校に通う体力もない。義郎は身体が弱い曾孫の無名が心配でならない。
無名は「献灯使」として日本から旅立つ運命に~
東日本大震災がバックヤード。
放射能汚染。
あり得ないようであり得なくもない。
こんなんなったらどうしよう。
何度も挫折しそうになりながらも読み終えたけど、正直よくわかんなかった。
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世界観がすごすぎて。
自分には追いつくことが難しく、他の本よりもなかなか読み進めることができなかった。
世の中の在り方を少し批判するような印象も感じられたけど、正直読み解けなかったから自信のない感想です。 -
震災に見舞われ放射能に汚染された未来の日本。不死の老人がいつまでも元気で若者たちは歩くこともままならず老人たちに介護されている。少子高齢化なのでしょう。
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もう少しだけ続きを描いてほしかった気持ちがあった。
無名たちが脆い体を通して世界を見ていく様子も見てみたかった。 -
星新一みたい
著者プロフィール
多和田葉子の作品
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