すごいトシヨリBOOK トシをとると楽しみがふえる (毎日新聞出版) [Kindle]

  • 毎日新聞出版 (2017年8月9日発売)
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感想・レビュー・書評

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  • 著者は、70歳からメモをつけ始めたとのことであるが、出版することを前提にしていたのかなと思う。年齢的に下り坂と書きながら、積極的に人生を送った人であると思う。旅について、何とかパッドについて、服装について、が印象に残った。自分もこのように積極的に人生を送りたいと思う。
    〇これは物理的な条件が生み出した長寿であって、本来の精神生活を備えた人間の老いはもっと短い。
    〇自分の老いに関して、自分以上のスペシャリストはいないとしても、自分のスペシャリストになるには、自分でいろいろ工夫を凝らして、自分なりのルールなりシステムを作り上げる必要がある。
    〇個人個人がスペシャリストで、個人個人が自分特有のやり方、方法を持つことに意味がある。
    〇街というのは、古い記憶を持つ建物なり、寺社なり、樹木なりがないと安っぽくなりますね。記憶を持たない街は、思い出を持たない人と同じように、付き合いようがないし、一緒にいても面白くない。
    〇私は、「自分の主治医は自分」と決めている。
    〇男性の場合、会社勤めも含めてずっと組織なり集団でやって来たから、自立した個人という意識が少ない。常に連絡し合って、群れたがる。群れるのをやめて一人ひとりが過去を背負い、一人ひとりが自分の老いを迎えるのが本来であって、群れて、集まって、はしゃいで、というのは老いの尊厳に対する侮蔑ではないか。群れるのをやめて、一人ひとりが自立する。そうすれば、何かしらのプラスが生まれるんじゃないか。
    〇見慣れた自分が、知らない人間になっていく。知らない人間の出現にタジタジとなって、そんな自分と隔たりが出てくる。老いると自分が自分と疎遠になっていく。
    〇カタカナ語を頻繁に使う人間を僕はあまり信用していません。日本語でちゃんと言うことができるわけですから、やたらに使う人は、もうハナから信用しないほうがいいって言っている。
    〇用の終わった人に時間を割くわけにいかない。そこまで言わないだけで、他人は当然、無用の人間として扱うわけですから、過去がどうあれ、肩書きがどうあれ、実態はもう無用のものである。
    〇以前、どこかの講演会で、「老人は過去を捏造しますから」と発言したら、会場が一斉にざわめきました。
    〇カテゴリ3 失名症・横取り症・同一志向症・整理整頓症・せかせか症・ 過去すり替え症
    カテゴリ2 年齢執着症・ベラベラ症・失語症・指図分裂症・過去捏造症・ 記憶脱落症
    〇最後まで話を聴くのは大変なエネルギーが必要です。ついなんか口を挟みたくなる。我慢するのが非常に難しい。
    〇どれだけ少ないもので生きられるかというのが、僕は知恵だと思います。
    〇ご自分の「お金を使わないで暮らす術」を工夫しましょう。「お金を使わないで暮らす術」略称は「OTKJ」。「O」はお金でしょ、使わないで「T」ね、暮らすは「K」でしょ、それから「術」。
    〇OTKJはたんなる節約とはちがいます。ほんのちょっとした出費で非常に贅沢な催しに立ち会えるのも、楽しみの一つです。
    〇今、一番の問題は延命治療です。
    〇「こうすれば治る」ということがはっきりわかっていれば、年齢にかかわらず、こだわりなく治せばいいんです。
    〇自分の町医者を見つけましょう。ある程度、年配の人がいい。ヤブなんて言われる人が案外いいです。熱心に話を聞いてくれます。
    〇テレビの持つあの非常に安っぽい情報、安っぽい娯楽、安っぽい教養、そういうものは一度、拒否してみていいんじゃない。
    〇まずはじめに、一日のスケジュールを作る。それから、一週間のスケジュールと、ひと月のスケジュール。次に春夏秋冬、季節ごとのスケジュール。四通り併用していくのはどうでしょうか。映画なんかは当日や一週間のもの、お祭りは季節のものに書き入れます。
    〇出かけたついでに喫茶店に寄ってみる。そういう時のために、「自分の喫茶店」を持っているといい。同じように、「自分の居酒屋」「自分のそば屋」も自立には必要でしょう。ホテルもそうで、「自分の別荘だ」と思っておけばいい。自分で決めたら、最低半年に1回か、1年に1回は行ってやること。
    〇いずれにしても、これまでの自分を形作ってきた何やかやから手を切ることから始まります。
    〇「年を取ったら赤いものを、なるだけ赤い明るいものを着ましょう」、それから、「本当のおしゃれというのは、郵便局へ行くにも着替えをする人」という一文が参考になる。
    〇どんな近場に行くにしても、着替えをするっていうおしゃれをしたいです。
    〇「1回でも着たらクリーニングに出す」というのは鉄則にしないといけません。
    〇ちょっとした用足しに出る時でも着替えをする。季節が変わればクリーニングをする。  コンビネーションを考える。
    〇年寄りがおしゃれをしていても、誰も何も言いません。本当に、誰の視野にも入っていないのです。誰かにほめてもらおうなんて、それはもう、そんなこと絶対にあり得ない。むしろこれが、一番の楽しさかもしれません。老いてからのおしゃれは、自分だけの楽しみ。  だから、たまに奥さんにケチをつけられると不愉快だっていう人もいます。そういう場合、「見るに見かねて」だと思うので、意見を聞いたほうがいい。
    〇無名でも新しいホテルのほうが快適なんですね。それも、200も300も部屋があるのは敬遠して、部屋数が100室に満たない小ぶりなホテルがいい。80室ぐらいが限度でしょうね。そこにはきっと居酒屋やレストランも入っていて、だいたいそこが朝食の会場になります。その程度の部屋数の、その程度の客に対応するような小さな店ですから悪くないはずで、外へ食べに行かなくてもいい。
    〇まったくの素人、ゼロから始めても、なかなか興味が続かないでしょう。小さい時、若い時にちょっとやってみたことを、今度は本格的にやってみるというのが、あるべきケースのような気がします。
    〇旅の工夫① 1日増やそう。1日余分に日を用意する。旅の工夫の一つ目は、「一日増やそう」
    旅の工夫② 他人任せにしない。
    旅の工夫③ ストックを用意しよう。
    旅の工夫④ 欲張らない。老いた旅は時間の余裕ですよね、お金の余裕はそんなになくても時間の余裕さえあれば、楽しい旅ができるわけです。
    旅の工夫⑤ お土産は買わない。スーパーのほうが土産物店よりも面白い。
    旅の工夫⑥ 記録を残そう。
    〇シモの問題は他の目や歯、手や腰と違って、隠し事みたいにして悩んでる人が多い。でも、その機能が悪くなるのは当然だ。
    〇パッドは常に自分で用心して用意しておいて、すぐに取り替えてきれいにしておく必要があります。電車の中、映画館、ふっと臭いがする時がある。特有の臭い。それはおしめを替えなかった赤ん坊と似た臭いで、男の場合、大人だからもう少し悪臭に近い。でも当人はぜんぜん臭いに気がつかないんですね。脱臭って書いてあるけど臭いなんかそんなに完全に消せるものじゃありません。
    〇手術をして病根を切り取ったり、そういう外科的なものは別です。いわゆる内科的な病気、あるいは擦り傷などを含めて、その大半は自分で自分を治す力が働いて治ったと思います。
    〇僕は、風のように居なくなるといい。

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著者プロフィール

1940年、兵庫県姫路市生まれ。
ドイツ文学者・エッセイスト。
主な著書に
『ゲーテさんこんばんは』(桑原武夫学芸賞)、
『海山のあいだ』(講談社エッセイ賞)、
『恩地孝四郎 一つの伝記』(読売文学賞)など。
訳書に
『カフカ小説全集』(全6巻、日本翻訳文化賞)、
『ファウスト』(毎日出版文化賞)など。

「2019年 『ことば事始め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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