火喰鳥――羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫) [Kindle]

  • 祥伝社 (2017年3月20日発売)
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みんなの感想まとめ

熱い男たちの絆と成長を描く物語が展開され、読者の心を掴みます。主人公の源吾がかつての火消しとしての誇りを取り戻すために仲間を集める過程は、まるで戦隊もののようなワクワク感があります。彼のトラウマや心情...

感想・レビュー・書評

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  • 〈羽州ぼろ鳶組〉シリーズ第一作再読。再読レビューはタイムラインに上がらないので電子書籍の方に書く。

    改めて読んで思ったことは、これがデビュー作とあってかなり力が入っている。
    何しろ物語の軸がいくつもあるのだ。

    まず一つは主人公・松永源吾の再生。かつて鉄砲組旗本・松平家の定火消として『火喰鳥』の二つ名を持ち火消番付にも載る程の活躍をした彼が、火事にトラウマを抱え火消を辞めてしまう。そんな彼が新庄藩火消立て直しを依頼されたことを機に、トラウマを乗り越え再び『火喰鳥』として火事場で羽ばたくことが出来るのか。
    二つ目はその新庄藩火消の再生。かつて百人ほどいた火消組織は藩財政の悪化や藩内部のゴタゴタや火消頭の殉職などにより僅か二十名ほどに激減。それをわずかな予算で人集めから火消し道具を揃えることや訓練まで行い、城下に認められる火消組織に出来るのか。
    そして三つ目は『狐火』と言われる連続放火事件の解決。「朱土竜(バックドラフト)」を引き起こす残忍な手口で周囲の人はもちろん手練れの火消まで犠牲になる。犯人は誰で何故江戸の町を焼き尽くそうとするのか。

    これらに加え源吾・深雪夫妻の絆、松平藩を辞めた理由、新庄藩火消に加わったメンバーそれぞれの物語、『狐火』事件の実行犯の物語などたくさんの肉付けがされて盛りだくさんだ。

    このシリーズでは老中・田沼意次が頼れるリーダーとして描かれているのが新鮮。何しろ源吾の妻・深雪は田沼に心酔しているのだ。また彼は女性の火消がいても良いというような、ジェンダーフリーや多様性のような提起もしている。
    多様性と言えば新庄藩火消のメンバーも個性的だ。
    気象や天文学の知恵袋・加持星十郎は体力はからきし、走ることすら出来ない。壊し手の寅次郎は元力士だけに力自慢だが高い場所には上れない。逆に纏師の彦弥は身軽で威勢は良いが喧嘩は弱い。口八丁で軽薄な感じすらする頭取並の新之助は剣の達人。そして火消としては優秀な源吾は他には何も出来ない不器用な人間。
    得意不得意があるメンバーたちがそれぞれ助け合い支え合うところが心地好い。

    このシリーズを読んでいくと火消しにも様々な種類があり手順があることを知る。特に幕府の使者から奉書を受け取って初めて出動するなんて、一刻を争う消火作業よりも武士の面子や指揮系統を重要視するのが武家社会らしくて笑える。
    しかし普段は手柄を争う火消軍団同士がいざ大規模火事を前にすれば、武家社会のしきたりを無視し日頃のライバル心を抑えて共に火に立ち向かうのも心地好い。

    火盗改の長谷川平蔵(父)も田沼同様頼れる存在だし、無理難題ばかり押し付ける江戸家老や源吾を新庄藩に引き抜いた折下左門もいざとなれば源吾を守る覚悟を持った人たちだった。何より妻・深雪が頼もしい。

    一方で『狐火』犯の動機には同情するが、それが江戸市中を焼き尽くす理由と繋げるには無理があるように感じたし、田沼を失脚させるために黒幕が行うにしてはあまりにもやり過ぎ感がある。これは初読のときにも感じたが今回も同じ印象。
    しかしこの『狐火』事件と黒幕との因縁は後のシリーズ作品にも出てくるし、田沼や長谷川親子との協力関係も続く。加賀鳶の頭・大音もシリーズの主要メンバーになる。
    シリーズ原点の第一作を振り返ることが出来て良かった。

  • 火事場の熱い男たち、それを支える人たち。何度も目頭が熱くなりました。

  • かつて、NHKラジオの青春アドベンチャーというラジオドラマで放送されていて面白かったのを思い出し読んでみました。
    なんというか戦隊ものに似た感じで、主要なチームメンバーが徐々に集まっていくというチームを作っていく様子を描いたのが本巻。
    実際にあった出来事に取材しつつも、作者の自由な発想で先品を作っているという印象。
    面白いのではあるのがだが、登場人物の心情を結構直接的に表現していて深みにかけるように感じた。
    人気シリーズの初巻なので、もう少し読んでみようと思う。

  • 火喰鳥という通り名で火消として活躍していた
    源吾
    怪我とトラウマで浪人の身になったが
    新庄藩より復帰の機会をもらう
    そこから仲間が集まって行く様子がすごくワクワクした
    妻の深雪との心情の変化や、トラウマの原因憎い奴との5年後の再会
    傷心を乗り越えた源吾の活躍と、仲間達の助け
    中盤で泣きそうになった
    皆んなに立派な衣装着せたいなって思いました
    ヤバイ、ハマりそうwww

  • 面白かった。この作者はいつも後半に掛けての盛り上がりが凄いけど、デビュー初期なのか荒削りでも更に勢いがある感じ。
    魅力的なキャラクターと過去のトラウマを乗り越えて再び火事に向き合う火喰鳥源吾の姿が激熱でした。

  • すっごく面白い!シリーズの始まりとして、最初の仲間集めはワンピースのようなワクワク感!
    中盤からのスピード感はものすごく、寝なきゃいけないのに朝方まで夢中で読んでしまった。
    さらに素晴らしいのは登場人物たち。みんな個性があって、愛すべきところがある。読み終わったあと、もっとこの人たちの活躍を見たい!応援したい!とすっかりファンに。薬と笑えて、ほろりとする場面もある、痛快エンタメ小説。

  • ダメダメ組織の立て直しから始まる逆転劇とイイ塩梅の人情モノを江戸時代の「火消し組」に落とし込んだ傑作。

    やる気をなくした主人公と、数字にめっぽう強い主人公の妻から始まる、登場人物ごとの物語をきっちりと説明してくれて登場人物が全て際立っている。コイツ誰だっけっていうストレス皆無。想像を超えた最高の時代小説。
    主人公が捨てたはずの誇りの象徴といってもいい「あるモノ」を妻が大切に保管していて手渡し、そして現場へ立ち向かうシーンは最高。

    著者の東テレBIZで書店経営のインタビューを観て、直木賞作家であり読書好きで情熱を持った経営者は!?と驚きの余韻が覚めぬままkindleで購入した本作。
    売れっ子作家、しゃべりも上手い、日本の書店経営の危機的状況から脱しさせようとする革命家。
    親愛なる読書好きな同志たちへ、このオッサンに課金すれば衰退しつつある書店業界へ少しは貢献できるかもしれない。
    「塞王の楯」「イクサガミ 天」も購読するのは確定。関大の吹田キャンパスからとんでもないバケモノ作家が誕生するとは想像だにしていなかった。目が離せない。

  • 壊滅した火消組織の再建に奮闘する源吾と、源吾を慕って集まった個性豊かな実力者達。彼らはやがて、江戸の人々から尊敬と親しみを込めてぼろ鳶組と呼ばれるまでに成長する。
    傷つき打ちのめされても、「人は心さえ決めれば何度でもやり直せる」。そんな勇気をもらえる爽やかな時代小説。
    そして何より登場人物がイキイキ人間らしくて魅力的。

  • 主人公の松永源吾はかつて火喰鳥と呼ばれた凄腕の火消しだったが、ある火事の後遺症とトラウマでできなくなった。その源吾がもう一度火喰鳥としてよみがえるまでの巻。個性の強い仲間を募り、その仲間一人ひとりの生い立ちの物語、妻の深雪とのなれそめ、花火師が狐火とか赤馬になって死ぬまでの人生、どれ一つとっても短編として通用しそうな実に内容豊富な一巻だ。

  • 田沼意次時代の江戸を守る「火消」を主人公とする時代小説。同一犯によるものと思われる火付(放火)が起こっていることが大きな背景で、前半は仲間集めというか主要登場人物紹介。後半は火付との対決。火消だから消火活動なんだけど、テンポと迫力が良くて引き込まれる。妻の深雪が芯のあるいいキャラだな。シリーズ読んでみようかなという気になるくらいに面白かった。

  • 火が怖くなった火消しの再生の物語。
    大名火消しだった主人公が、小藩の火消しとして雇われるところから物語は始まる。
    メンバーを集め、主だったメンバーの一人一人の事情と思いが描かれるが、それぞれのエピソードが面白い。
    また、主人公の妻は物凄い倹約家として描かれるが、だんだんと妻の思いが分かってきて面白い。なぜ主人公に嫁そうと思ったのか、そしてそれを後押しする父親の気持ちも泣かせる。
    また、かつての輝きを取り戻していく主人公がいい。
    火付けの事情と黒幕がちょっとなぁと思ったので、星一つマイナスです。
    でも、テンポもあって面白かった。

  • 江戸庶民の暮らしを支える火消。「一人も死なせるな」、ぼろを纏った男たちの物語が熱い。

    今、はまりつつある物語がある。

    これまで楽しんだ時代小説も、捕物一辺倒だったが、
    江戸の火消し、このシリーズは面白い。

    これまでは、捕物帳の中に登場する町火消くらいしか知らなかったが、
    武家火消というものが新鮮で、これほどワクワクする世界に
    これまで触れてこなかったのが、惜しいくらい。

    人の生き方、男の生きざま。
    武骨だが、真っ正直で、真正面からぶつかっていく、
    その熱い心が直で伝わってくる。

    男くさい、男ばかりの物語の中に、
    加賀鳶の娘や、火災に巻き込まれたお七、
    そして、主人公である、「ぼろ鳶組」の頭、
    松永源吾の妻、深雪といった女性が、色を添える。

    特に、深雪のキャラは、実にいい。
    誰もが、惚れ込む、主人公以上の働きだ。

    もちろん、源吾を始めとする、ぼろ鳶組の仲間たちのキャラも秀逸。
    一人ひとり個性が際立ち、もはや誰一人欠けても、作品は成立しない。

    シリーズの作品はかなり出ているので、
    当分、楽しめそうだ。

  • オーディオブックで。
    とても面白かった!
    いつも現代小説ばかり触れていたので時代ものは自分にあうのかなと思っていたけど、あうあわないという次元を吹き飛ばす面白さがあった。
    一人一人がしっかりと自分を生きていて魅力的。
    「謎」の部分が気にならなくなるほどに登場人物達の生き方に聞き入ってしまった。
    個人的に、終盤の子を守る母親の行動が素晴らしかった。主要人物達以外も格好良い。
    火消しの話だから火事が現場となり、どうしても凄惨な描写もあって胸が苦しくなるけれど、その理不尽な暴力に抗う人達の格好良さは清々しくて、聞き終わった後は実に心晴れやかな気持ちになった。

    なによりナレーターさんが最高に素晴らしかった!
    音楽も映像もなしに、これだけ作品の魅力を表現できるなんて。
    いい作品に出会えて、とても幸せな気持ちになった。

  • 羽州ぼろ鳶組。真っ当に王道。貧乏藩・出羽新庄藩の火消組織を再建することになった主人公の源吾。トラウマを抱えた元火消し。立て直すために、組織の現状を知り、スカウトをし、仲間を増やしていく。ただの仲間集めの物語ではない。江戸市中では火事が起き続ける。新庄藩の再建はただ組織の再建だけではなく、名を知らしめろと。無茶な要望もある。それをどうこなしていくのか。組織論もあり、人情話もあり、謎解きも、とにかくてんこ盛りなのに、一気に読ませる。気を衒わずにこんなにも面白い物語があるから本を読むことはやめられない。

  • ふむ

  • 面白いけど、一気に読みすすめるだけの筆力には欠けている気がする。江戸の火消し組の様子が知れて興味深い。

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著者プロフィール

1984年京都府生まれ。2017年『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』でデビュー。’18年『童の神』が第160回直木賞候補に。’20年『八本目の槍』で第41回吉川英治文学新人賞を受賞。同年『じんかん』が第163回直木賞候補に。’21年「羽州ぼろ鳶組」シリーズで第六回吉川英治文庫賞を受賞。22年『塞王の楯』で第166回直木賞を受賞。他の著書に、「イクサガミ」シリーズ、「くらまし屋稼業」シリーズ、『ひゃっか! 全国高校生花いけバトル』『てらこや青義堂 師匠、走る』『幸村を討て』『蹴れ、彦五郎』『湖上の空』『茜唄』(上・下)などがある。

「2023年 『イクサガミ 地』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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