痴人の愛 [Kindle]

  • 2017年9月28日発売
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みんなの感想まとめ

恋愛の盲目さと人間の愚かさを描いたこの小説は、主人公の河合譲治がカフェーの女給ナオミに惚れ込み、彼女を理想の女性に仕立てようと奮闘する様子を描いています。譲治の生真面目さとナオミの派手な生活が交錯し、...

感想・レビュー・書評

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  • 本作品をざっくり説明すると、とあるサラリーマンが美少女を理想の妻に育てていった結果、妻に終始振り回されるという話である。これだけだとあらすじとして少々雑な気がするのでもう少し深く説明しておこうと思う。28歳のサラリーマン譲治が浅草のカフェの給仕であるナオミという15歳の美少女を理想の妻に育て上げようとする。しかしナオミは社交ダンスを習い始め、そこを通じて他の男たちと関係を作っていく。ナオミの不貞を知った譲治は激怒し家から追い出したものの彼女が恋しくなっていく、、、。結末は皆さんの目で確認してほしいのであえて伏せておく。小悪魔的に描かれるナオミとそれに振り回される譲治。読み進めていく中でナオミに対しても譲治に対してもなんともいえない気持ち悪さを感じる作品だがページをめくる手が止まらないのが非常に不思議だ。作者の谷崎潤一郎は耽美派の作家であり、本作も卑猥さがなく谷崎自身が考える美を追及した作品(つまり耽美的作品)といえる。

  • 痴人とは、ばかな人。おろか者。

    ジョージがそれでいいなら、それでいいよ。
    それが他人に笑われる結末でも。
    これだけ、誰かに惚れ込むことができるなんて、むしろ素晴らしい。
    ただ、途中、ナオミを殴ったのは、どうかと思うよ。最低だな。
    うーん、ナオミも最低やけどね。

    結局、ナオミのほうが賢かった。

    下品な話のようで、上品な表現が秀逸。
    面白かった。

    巷に「ナオミズム」という言葉を流行らせたなんて、当時は谷崎潤一郎ブームが起きてたんだろうなぁ。

  • 恋は盲目。この小説の主人公・河合譲治のこと。
    真面目すぎるサラリーマンがカフェーの女給ナオミを妻にし、自分好みのレディに仕立て上げようなんて相手が間違ってますよ。
    譲治さんの身の破滅っぷりは読者の誰もがたやすく想像できる。
    ナオミの派手な異性関係、金遣いのあらさは譲治さんの生真面目さを思うとナオミに対して不快にはなるが、日本人離れした美貌のお蔭なのか、「まぁ譲治さん仕方ないよ。許してあげて。」という気持ちになってしまう不思議さ。
    馬鹿にしたようなからかいがチャーミングに思えてしまうのは、根っからの悪女だからなのでしょうか。
    「私自身はナオミに惚れているのですから、どう思われても仕方がありません。」
    最後にこう締めくくるところをみると幸せ者なのでしょう。

  • ページをめくる手が止まらない。とても面白かった。

    ナオミが本当に魔性の女。逆らえない穣治も穣治。どっちもやばいと思う。
    話自体はいやらしい内容のはずなのに全然文章はいやらしくない。むしろ美しい。耽美派ってこういうことだなぁって思う。

    一番すごいなと思ったのは、ナオミの描写。あれだけのことをやっている悪い女なのに、とても美しく感じる。世間一般から見れば最低な女なのに、許せてしまう。そこが谷崎潤一郎の文章力の為せる技だなぁと思った。

  • 谷崎潤一郎…
    ザ・純文学だと思って避けてました(知識不足)。

    昼ドラみたいな内容でした。

  • 純文学大好きだけど谷崎潤一郎は初の読了。以前何かを読んだけど挫折してた。
    エロくてアブノーマルでイカレてて、でも大変読みやすい。
    このポップさの匙加減が、国民的作家。
    これからほかの作品を読むのがめちゃくちゃ楽しみ。

  • 谷崎潤一郎の長編小説。大正13年(1924年)、新聞で連載開始。
    読んだのが2024年なので、ちょうど100年前。
    面白いよ、面白いけど、なかなかエグい。恋愛小説とも言えるし、偏愛小説とも言える。現代の感覚で言えば「昼ドラやん!」と思わずツッコんでしまうくらい、ドロドロしている。恋愛模様も、主人公の感情も。

    発表当時の衝撃たるや、すごかっただろうな。ヒロイン・ナオミの奔放な行動がやがて「ナオミズム」という言葉を生み出したらしい。

    文章は、近代文学にしてはかなり読みやすい部類だと思う。
    ちなみに痴人とは、ばかな人、おろか者のこと。

    あらすじ。
    主人公・河合譲治(28歳)は、ごく一般的なサラリーマンで電気技師として真面目に働いている。物語は彼の過去5年の記憶として書かれている。
    異性と交際した経験は一度もなかった彼は、社交喫茶でナオミ(15歳)と出会う。ナオミを気に入った譲治は彼女を引き取り、家を借りて2人暮らしを始める。「友達のやうに」暮らそうというのが約束だったが、譲治にはある計画があった。それは自分の嫁にふさわしい人物だと思えるまで、どこへ出ても恥ずかしくないレディーになるまで、ナオミを育ててから結婚するというもの。

    譲治は結婚に対して、変なこじらせ方をしていたのである。財産もあり、醜い顔立ちでもなかった譲治が二十代後半まで結婚しなかったのは、結婚に対する夢があったのだ。それは「まだ世の中を何も知らない年頃の娘を手元に引き取って、妻としてはずかしくないほどの教育と作法を身につけさせ、いい時期に夫婦になる」というもの。

    社交ダンスやピアノを習わせられるようになったナオミには、しだいに男の影が……。

    感想。
    これを新聞連載していたと言うのだからすごい。後半もうハチャメチャ。譲治の思うがままに教育を受けさせられていたナオミに対して、負けるな!と感情移入していたが、最後の方ななぜか譲治に頑張れとエールを送っていたから不思議。
    まあ、どっちもどっちで、どっちもちゃんと気持ち悪い。面白いけど。

    けっこうエグい話であるのに、文章表現が美しくて最後までサラッと読めちゃう。ああ、恋は盲目。

  • 譲二がナオミに逃げられた時の描写がもう痛くて痛くて。こんなに精緻に、人の激情をありありと描ける小説家なんて他にいるのだろうか。
    読後は打ちのめされたような…最高の毒書体験でした。

  • 私は、今回痴人の愛という作品を読んだ。作者は、谷崎潤一郎である。
    ある日、サラリーマンである譲二はカフェで女給の見習いをしている15歳の美少女に出会った。彼は彼女のナオミという名前にハイカラさを感じ、自分の理想の妻にしようと考える。しかし、そんなことは当時の彼女には知る由もなく遊びにつれていってくれるおじさんくらいにしかおもわれていなかった。ある日、ナオミが本が好きだと言い出したため譲二はナオミに習い事をさせることを決める。そこで、ナオミは英語、ピアノ、声楽を習い始める。そして、ナオミと譲二は同居も始まるのだった。だんだんと成長していくナオミに譲二は彼女を女性として意識していくようになり、二人は男女の関係になった。彼にとっては、彼女が自慢の人形になっていった。そして二人はダンス教室に通うようになる。踊っている彼女は、美しいものでありましたが、態度は、男のように下品であった。また、ナオミは譲二が知らない場所で男遊びをするのだった。そんなことがばれて、ナオミはとうとう家を追い出されてしまう。しかし、譲二はナオミが忘れられなくなり、いろんな思いに耽っていると、仕事が手につかなくなり辞職してしまう。そして、残った荷物を取りに来たナオミに依存してしまい、彼女のいうことを聞くという条件で二人はよりを戻した。
    私は、作品を読んで二人の立場が逆転していき、彼の野望が消えていくところがどこか、かわいそうだなともおもいつつ、依存してしまったことへの自業自得だなと思いました。

  • 人間臭さ全開の作品でした。

    譲治とナオミ、男と女、人間と人間。
    色々な目線があると思うけど、どうしてもナオミの心持ちだけは理解ができないと言うか、寄り添えないと言うか…
    きっとナオミにとっても、譲治は大切な人のはずなのに
    なんであそこまでって思っちゃいます。

    ナオミと言う人間の心に優しさがありますように(TT)

  • オトコってなんやかんや言って、こういうナオミみたいなオンナに翻弄されちゃうのよね。
    愛されてるわけでもないのに、跪き、身を粉にして尽くしてしまう。
    最初は、中年男が15才の少女をいいレディに育て上げるつもりが、完全にナオミのペースに持ってかれていく様が、奇妙であり、おかしかった。
    いつの時代もナオミのような女性は存在する。

  • まさに推し活!
    推しには課金しちゃうよねー

    100年前の小説なのに、読みやすい文章でした。

  • 100年前の小説…!!ヤバい女のヤバさも男の愚かさも変わらないんだなと思った。人間の本質。。。

  • 物語を通して、譲治とナオミの立場がグラデーションがかかったように逆転していく様は痛快であり、恐ろしくもあった。

    譲治が養い始めた頃のナオミは可愛らしい生娘といった印象だったが、譲治が望む妻に育て上げようと贅沢を尽くし、「ハイカラ」を追い続けるにつれ、次第に我儘に、傍若無人になっていく。

    ナオミの美貌に取り憑かれた譲治に対し「正気に戻れ、その女はやめておけ」と念じながら読み進めるが、一度ナオミと別れてしまった場面では、また譲治を振り回すナオミ、振り回される譲治が見たくなる不思議な感覚に陥った。

    ナオミがどうしてそこまで男遊びをするのか、本人の動機をもう少し鮮明に知りたかった。わからないのがまた男にとって魅惑的なのかもしれないが。

    高校時代の国語の教師がやたらとそのエロさを強調して評していたため敬遠していた作品だが、直接的で下品な表現はなく、美しい文体だと思った。

  • かなり重い話だった。
    名作なだけあって,昔の作品ながら今にも通ずるような箇所が多くあった。
    特に、登場人物であるナオミが時間経過とともにどんどんと性格が変わっていく様子がとても丁寧にかかれていて、多感な青年期の変化が分かりやすく表現されていて圧巻だった。
    更には、物事の上達には実践することが1番大事であり、自信も大切であることや、男の最初は相手を見くびって接していても結局は気付かぬうちに本当に実力が劣ってしまっている点は今の時代にも通ずる部分があると思う。

    でもやはり、ナオミがあのように大胆不敵になってしまったことは個人的には悲しいし、ジョージも甘受するどころか、喜んで受けれいてしまっている点には時代にそぐわない言い方かもしれないが、女の強さ、強かさがあるなと感じた。

  • ひとりの男が好みの女性を作り上げようとして大失敗した話。自分の言う通りに、思い通りになるような存在なんて作れる訳がない。ナオミもかなりの悪女に育ったけれど、主人公もなかなかのバケモノだと思う。堕ちていくところまで堕ちていってもなお幸せだと言っているのだから、これはひとつのハッピーエンドの形なのかもしれない。胸糞悪すぎるけど。

  • やな本ですわ

  • 思ったより読みやすく、そんなにかからず読めました。読みながらナオミのどこがいいんだ?、と譲治の入れ込みっぷりに疑問を持ちましたが、あんな感じで依存し合う関係は現代でもありそうに思います。

  • 異性経験の乏しい主人公が美人なナオミに振り回され、依存してしまう話。
    ナオミも悪女ではあるが、嫌悪感は感じず、美人だからしょうがないね。っとなるようなことを繰り返し行うため、どこか憎めず、そんなところが主人公に感情移入ができた。
    また、性的な描写も艶かしく、主人公がナオミの身体に惹かれる様が表現されていた。
    NTRやBSS的な描写もあり、好みは分かれそう

  • だいぶ嫌な気分になる本だった。
    文章自体はめちゃめちゃ読みやすい。さらさらーっと数時間で読めた。

    自分で食べようと思って精魂込めて育ててきたモノが、いつの間にか誰かによって目も当てられないほどに食い荒らされているというのは、あまりにも気分が悪い。腹が立つ。

    だが、譲治はナオミのことを「育てて」などいなかったのではないか。ただその欠点の萌芽を助長して、適切な教育や役割を与えず、快楽を貪る習慣を覚えさせただけなのではないか。
    愛とは、その養育される者に、自ら律し、自ら思考し、自らも他人も尊重することができるような者になる機会を与えたい、そうして自分がいなくなってからもこのひとが自らの力で生きていけるようにしたい、そう思わせるという感情なんじゃないか。ただ監護するだけ、ただ耽溺するだけ、それらはどれも愛としては不完全だ。
    そしてそもそも、「食べるためのモノ」は愛の対象にはなり得ない。本当の愛があったら、そのモノが自らの幸福のために生きてくれるのならば、庇護者から離れていくとしても本望だと思うだろう。

    この痴人の「愛」は、コントロールを失った耽溺の一部始終でしかない。だからこそ「痴人」の愛なのだなぁ。

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著者プロフィール

1886年(明治19年)〜1965年(昭和40年)。東京・日本橋生まれ。明治末期から昭和中期まで、戦中・戦後の一時期を除き執筆活動を続け、国内外でその作品の芸術性が高い評価を得た。主な作品に「刺青」「痴人の愛」「春琴抄」「細雪」など、傑作を多く残している。

「2024年 『谷崎潤一郎 大活字本シリーズ 全巻セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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