最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか [Kindle]

  • 草思社 (2017年8月8日発売)
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みんなの感想まとめ

事故がどのようにして防がれ、また防がれなかったのかを深く掘り下げた作品で、さまざまな事例を通じて、事故の背景にある見逃しや傲慢、ミスを描写しています。特に、スペースシャトルチャレンジャーの爆発に関する...

感想・レビュー・書評

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  • 未来の惨劇の原因は、今もどこかにひそんでいる。

    古今東西、世界各地で起きた、大勢の人命を奪った大事故について、その原因や事故に至るまでの経緯を解説した本。
     最初に、この本の邦題に対する回答を書いておきます。

     <span style="font-size: 2em;">何もしていません!</span>

     大事故の多くは、「実は後から考えると明白な原因があったにもかかわらず、誰も気がつかなかった」か、「このままでは事故が起きると警告されていたのに、責任者が無視し続けた」か、どちらかなんです。

     前者の例の代表的なものは、1982年、海上油田掘削基地オーシャンレンジャー号の事故です。ここには、強風や大波に備えて、施設を安定させる何百メートルもあるワイヤーロープやアンカーチェーンが装備されていました。普段はそれらを格納しておく巨大な錨鎖庫(チェーンロッカー)があり、ワイヤーの出し入れ用の穴は直径1.5メートルもありました。
     問題は、その大きな穴を普段は閉じておくことを、<b>誰も思いつかなかった</b>ことです。悪天候で海水がチェーンロッカーに侵入してくると、オーシャンレンジャー号は大きく傾きました。
     施設の中にはバラスト制御室があり、そこからリモコンでバラストタンクに注水・排水を行なうことができました。ところが、その部屋は外部に面していました。高波のために窓が割れ、海水が制御室に流れこんできて、スイッチをショートさせました。他にも、現場の作業員が知らされていなかった欠陥がいくつもあり、オーシャンレンジャー号はどんどん制御不能に陥っていきました。
     もちろん救命ボートも用意されていました。でもボートさえあれば安全、と安直に考えられてたんでしょうね。実際には、強風と高波の中、オーシャンレンジャー号全体が15度も傾いた状態では、乗り移ることはきわめて困難でした。84人の乗組員のうち、生き残ったのは8人だけでした。
     常識的に考えれば、そんな大きな欠陥の数々、誰も気がつかなかったのかと不思議でなりません。

     1986年1月28日の有名なスペースシャトル「チャレンジャー号」の爆発事故は、固体ロケットブースターをシールしていたゴム製のOリングが、低い気温のために堅くなり、ガスが漏れて引火したためでした。ロケットを作っていたモートン・シオコール社の技術者は、低い気温では事故が起きる可能性を指摘し、気温が摂氏12度に上がるまででシャトルを打ち上げないよう、NASAに申し入れていました。しかし、NASAはその警告を無視し、冬の低い気温にもかかわらず打ち上げを強行してしまいました。

     他にも本書には、事故の可能性に対する人間の想像力の欠如、危険に対する無関心が、悲劇を引き起こした例がたくさん紹介されています。有名なところでは1963年の原潜スレッシャー号の沈没事故、1967年のアポロ1号の火災、1970年のアポロ13号の事故、1979年のスリーマイルアイランドの原発事故、1986年のチェルノブイリ原発事故、2000年のコンコルド機墜落事故……。
     もちろん中には、事前に危険を見抜いて、事故を回避した人の例もあるのですが。そういうことができる人は少ないようです。

     原著が本国で出版されたのは2001年なので、2011年の福島第一原発の事故は取り上げられていません。あれもひどい話でしたね。事故が起きる前、地震によって高さ10メートルを超える津波が来る可能性があることは指摘されていたのに、5.7メートルまでの津波しか想定されていませんでした。それだけでも驚きましたが、電源停止に備えてバックアップとして用意されていたディーゼル発電機とバッテリーが、同じ建物の中に設置されていたことには唖然となりました。そのため、津波で浸水してどちらも使い物にならなかったのです。
     せっかくバックアップを二つも用意していても、それを同じ建物に設置したら、バックアップとして意味がない――素人でも分かるこんなことを、原発を作った人たちが誰も気づかなかったんです。

     この本を読んで思ったのは、事故の原因はどこにでもあるということ。しかもそれらの多くは、何年も見つからなかったか、危険性を指摘する人がいても無視されてきたということです。
     当然、今この瞬間も、この世界のどこかに、将来の事故の原因になる何かがひそんでいて、まだそれに誰も気づいていないということがあるんでしょう。それが多くの人の命を奪うようなものではないことを祈るしかありません。

  • いろいろな事故がどのようにして防がれ、また防がれなかったか。

  • 様々な事故のその直前までを描く。直前まで何かしら事故に繋がるような見逃し、傲慢、ミスがあるから事故は起きている。もちろん運がそれに加わるから当事者を責めるだけではいられないけれども。個人的にはスペースシャトルチャレンジャーの爆発が事前に防げたはずだったことに衝撃を受けた。全般に記述がやや読みづらい(聞き辛い)ので減点1。

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