イスラーム世界史 (角川ソフィア文庫) [Kindle]

  • KADOKAWA (2017年9月25日発売)
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みんなの感想まとめ

イスラームの歴史を多角的に捉え、さまざまな視点から理解を深めることができる一冊です。歴史の流れは時系列を行き来しながら描かれ、広範なテーマを扱っているため、全体像を把握するのは容易ではありませんが、そ...

感想・レビュー・書評

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  • 語り口はソフト。ただ、イスラム世界全般の膨大な歴史を、時間軸を行ったり来たりしながら浅く広く語るものだから、錯綜していて流れが分かりにくかったな。特定の地域に絞って深く解説してくれた方が頭に残ると思うのだが…。

    アラブ諸国の間には、第一次世界対戦の前から、日本をお手本に近代化・経済発展を遂げたい、という思いがあったんだな。親日感情が残っているのは有難い。

    「日露戦争が日本の勝利に終わると、日本が憲法を持つ立憲君主国であることが戦勝をもたらしたのだ、とする見解が中東で広まります。」、「二十世紀初頭の日露戦争で勝利した日本は、ムスリムたちの期待の星でした。」

  • イスラームに関する本2冊目。先月Kindle Unlimitedでダウンロードして読んだのだが、今確認したら対象外になっていた。2001年出版の本が元となっており、イスラーム誕生以前からソ連崩壊までを扱っている(一応後書きで9.11にも言及あり)。

    全100項目に細分化されており、個々の項目は短く読みやすいが、全体では長尺のため読み切るのは大変だった。項目間で年代が前後したり、固有名詞の羅列が多く理解しにくい箇所もあったが、イスラーム史への理解は多少なりとも深まったと思う。以降本書で学んだことを自分なりに書き連ねてみる。

    中東は前四千年紀から世界に先駆けて都市文明を発展させた地域だった。前一千年紀の後半に中国の黄河流域とインド北部でも人口が増大するが、経済力でも文明の成熟度でも世界の最先端は中東地域であった(ちなみに私たちが洋食と認識している食事は、今から数千年前に西アジアの一角で作り出された)。

    6世紀後半に生まれたムハンマドは聖徳太子(厩戸皇子)とほぼ同時代人である。イスラーム創始後のアラブ軍は強大で急速に領土を拡大した。当初の強さの要因は判然としないが、中央アジアの騎馬民族への布教によりその強さは盤石となる。
    4〜5世紀のキリスト教には5つの有力教会が存在したが、エジプトのアレクサンドリア教会、シリアのエルサレム教会とアンティオキア教会はイスラーム世界に吸収された。最終的にコンスタンティノープル教会もオスマン帝国に陥落し、イタリアのローマ教会がキリスト教世界の中心となる。

    中東ではイスラーム以前のササン朝時代からギリシア語の翻訳が盛んだった。アッバース朝のハールーン・アッラシードが「知恵の宝庫」を築き、マームーンが「バイト・アル・ヒクマ(知恵の館)」として大規模に組織化したことで、ギリシア語文献のアラビア語翻訳が進んだ。これによりローマ帝国下で発展した数学、天文学、医学などが継承されたが、マドラサという学院での教育はイスラーム法学中心でこれらの学問が対象外だったため、ある段階で発展は停滞してしまった。

    10世紀頃からは中国江南を中心とする米と発酵食品の文化圏が大発展し、経済力で中東を凌駕するようになる。

    13世紀になるとモンゴル帝国がユーラシア大陸を東西に結び、ムスリム商人が陸海交易路を飛躍的に発展させた。開祖のムハンマドが商人だった影響もあり、ムスリムは商業に熱心だった。元朝でもムスリムの財政官僚が登用され、ムスリム商人が中国に定着することで更にイスラーム世界は拡大する。

    しかし、14世紀のペスト大流行はイスラーム世界に甚大な打撃を与えた。イスラーム社会には元々巡礼による高い流動性があったが、巡礼と発達した交易網はペスト拡散の一因となった。ヨーロッパがペストから回復した後もイスラーム世界は長く流行病に苦しみ、これが中東地域を世界の最先端から転落させる一因となる。

    大航海時代の始まりとされる15世紀の時点では、中国南部が圧倒的な先進国であり、ヨーロッパが世界の交易に占める割合は小さかった。しかし16世紀にスペインがアメリカ大陸で大量の銀を獲得すると、ヨーロッパは徐々に発展していく。18世紀には産業革命も起こり、飛躍的に発展した欧州諸国がイスラーム世界を植民地化し始めた。19世紀から20世紀前半にかけて、イスラーム世界の大部分は植民地化されてしまう。

    第二次大戦後の原油生産の本格化は一部のイスラーム国に莫大な利益をもたらした。植民地化されたイスラームは20世紀後半までには国家として独立していった。独立国家では当初民族主義を旗印としていたが、1980年代になるとイスラーム運動の存在感が増していく。それはイスラーム過激派の出現にも繋がった。

  • わかったこと
    イスラームの王朝の変遷は覚えられない
    イギリスとフランスはクソオブクソ
    シーア派とスンニ派の違い、その変遷

  • 学生の頃には学ばなかった、イスラームに関する歴史を知ることができた。

    本当の意味での世界史を学ぶには偏りなく、さまざまな視点から知識を得る必要がある。

    本書はイスラーム側から中東地域の歴史を説明してくれている。図や写真も多用されており、大変わかりやすい。文章も細かく分かれており、読みやすいと感じた。

    宗教について、イスラームだけでなく、
    キリストも学び、偏らない歴史観を身に付けたいと思う。

  • ニュースで盛んに報じられているので何となく身近で、それでもやっぱり思想的にも距離的にも遠いイスラーム。この宗教観と歴史を学ぶ意義は大きいと感じさせられる一冊。

  • kindle。
    イスラム世界の歴史をイスラムの誕生以前から現在までの概論。扱われている国と時間の幅が多く広く、一度読んだだけではわからないところが多い。
    トルコの作家の小説を読んでいる最中で、小説の背景への疑問が溶けた。

  • 西欧中心主義ではない視点から記述した世界史は意欲的て面白いけど、やはり偏っていると思う。西欧中心主義の世界史を知った上でその補正として読むものに留まっていて、これだけでは一本立ちできない。

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著者プロフィール

後藤 明(ごとう・あきら):1954年宮城県生まれ。東京大学大学院修士課程修了。米ハワイ大学で博士号取得(人類学)。同志社女子大学教授、南山大学教授、同大学人類学研究所長などを経て、現在、喜界島サンゴ礁科学研究所学術顧問。著書に『海を渡ったモンゴロイド』『海から見た日本人』(いずれも講談社選書メチエ)、『世界神話学入門』(講談社現代新書)、『カメハメハ大王』(勉誠出版)、『星の文化史』(編著、丸善出版)などがある。

「2026年 『増補 南島の神話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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