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みんなの感想まとめ
物語は、幕末の剣豪たちが蘇り、明治政府を転覆しようとする陰陽師、山田一風斎を中心に展開されます。この作品は、著名な「魔界転生」をオマージュしたもので、読者にとってはその構成が大きな魅力となっています。...
感想・レビュー・書評
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「主人公が誰か」というのが最大のネタバレになるという超珍しい構成の本作。『魔界転生』というネタ元があるからこそ、主人公は序盤から出っ放しの山田一風斎ではなく(無論彼を主役とした物語として見ることもできるけど)、<恐るべき超絶の集団を敵とする者>こそが本作の主役であることが予想出来、その公開をギリギリまで引っ張るのも「勝手知ったる作者と読者の駆け引き」感があって面白かったりします。
そういう「勝手知ったる…」という意味では、本当色々なパロディが仕掛けてあって楽しい本作。河上彦斎活躍のシーンで「ついうっかり出てきてしまう彦斎と関係ない異名」とか、執拗に引用される台詞、戦いそのものが「魔界転生の某勝負のパロディ」だったりとか。悪ノリと言えばそうかもしれないけど、個人的にはよくぞここまでやってくれました!と言いたい。
そういったパロディ要素抜きにしても当然の如く面白い。最初「転送剣士十二人ってちょっと多すぎない?」と思っていたものの、いざ闘いがはじまってみると序盤から生き死にのかかった大勝負が展開され「おお、ここまで豪勢な使い方が出来るのか!」と唸らされる。ゲーム的展開も踏まえながらも、その裏でちゃんと駆け引きが続いているあたりも上手い。
また読み応えあるあとがき。出版の紆余曲折(ファンとしては本当歯がゆい限りの内容)や、本作の発想の経緯(伝奇の神の啓示)とか非常に濃い内容。本作を起点とした構想、是非とも現実のものとなってほしいです。 -
2017/10/28読了。
今生に未練を残して無念の死を遂げた幕末の剣豪たちを蘇らせ、明治政府の転覆を企む謎の陰陽師。その名も山田一風斎――というあらすじから想像がつく通り、これは山田風太郎の傑作「魔界転生」の本歌取りというかオマージュというかリスペクト作品であって、そう名乗るだけの面白さを十二分に備えた作品だった。
本書自身がそうした立ち位置にあることを隠しておらず、むしろ抱腹絶倒のネタとして使いまくるという、人を食ったところのあるメタフィクション作品でもあった。真面目なのか不真面目なのか、リアルなのか荒唐無稽なのか、虚と実の皮膜の境目を力業で引きずり回され、ドキドキハラハラさせられつつ、声を出して笑わされもするという、つまり何というか非常に味の濃い娯楽小説だった。
本書は刊行までに大変な紆余曲折があったらしい。当初はある出版社のために書き下ろされたものの、上下巻のうちの下巻の刊行が中止され、アドレナライズという電子書籍専門の版元が上下合本の本書を刊行することになったという。
本書のあとがきやTwitterのまとめや上巻の版元のホームページで経緯の断片を見ることはできるが、それだけ見て無責任な憶測や感想をここに書くつもりはない。ただただこの作品を電子書籍のみの形とは言え僕の手元に届けてくれたことをアドレナライズという版元に感謝するのみだ。
いや、アドレナライズには一つだけ言いたいことがある。著者によれば本書は五部作の一作目という。二作目以降も御社から刊行されるおつもりならば、次からはもう少しきちんと校正・校閲をしていただけまいか。いや、今からでも遅くないから、本書の校正をやり直してもらえまいか。電子と言えども書籍は書籍、著者の大切な作品を読者に届ける容れ物であることに変わりはないから校正の重要性に違いはないし、校閲が著者と版元の身を守ることにつながるものであることにも違いはない。五部作の途中でまたシリーズ継続中止のやむなきに至るなどということのないよう一読者としてお願いしたい。よろしくお願いします。
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