大東亜忍法帖【完全版】 [Kindle]

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  • アドレナライズ (2017年9月25日発売)
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みんなの感想まとめ

物語は、幕末の剣豪たちが蘇り、明治政府を転覆しようとする陰陽師、山田一風斎を中心に展開されます。この作品は、著名な「魔界転生」をオマージュしたもので、読者にとってはその構成が大きな魅力となっています。...

感想・レビュー・書評

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  • 21世紀の新しい剣豪小説。主人公は勿論女、主人公の相棒は勿論お釜。明治5年、千葉佐那は巫女装束が似合う美少年の陰陽師を従えて、クトゥルー神の眷属になった悪の陰陽師の秘術『擬界転送(まがいてんそう)』で生き返った、銃弾が通用しない新撰組達と戦う。守るのは21歳の明治天皇。ゲームのルールを都合良く押しつけ、佐那は1vs1で転送衆八人と戦い続ける。敵は新撰組以外にも、伯父の千葉周作、愛した坂本龍馬もいた。後に大東亜侵略戦争を始める悪の大日本帝国の首魁の家系は守る価値はあるのか?正義はどっちだ!?
    上巻では幸徳井友景の子孫の陰陽師が12人の転送衆を集めるところで終わっていたので、主人公サイドのミッションが明治天皇暗殺かと思っていたが、敵でした。
    山田風太郎の『魔界転生』のオマージュだが、山田風太郎の『魔界転生』事件のあった世界から別の並行世界に転送されたのが、転送衆である。
    柳生十兵衛が宮本武蔵を倒したエピソードも語られるので、山田風太郎の『魔界転生』を必ず先に読んでおく事。山田風太郎の『魔界転生』内の文章をそのまま使ってる箇所も多くあります。
    山田風太郎の『魔界転生』のオマージュに終わらず、著者の新シリーズ明治忍法帖の第一巻の扱い。エピローグで本当の主人公が登場します。
    幸徳井伝次郎、後の名は幸徳秋水!
    明治で終らず大正、昭和、平成と、天皇暗殺を企む漢達の物語を描き続けて欲しい。

  • 「主人公が誰か」というのが最大のネタバレになるという超珍しい構成の本作。『魔界転生』というネタ元があるからこそ、主人公は序盤から出っ放しの山田一風斎ではなく(無論彼を主役とした物語として見ることもできるけど)、<恐るべき超絶の集団を敵とする者>こそが本作の主役であることが予想出来、その公開をギリギリまで引っ張るのも「勝手知ったる作者と読者の駆け引き」感があって面白かったりします。

    そういう「勝手知ったる…」という意味では、本当色々なパロディが仕掛けてあって楽しい本作。河上彦斎活躍のシーンで「ついうっかり出てきてしまう彦斎と関係ない異名」とか、執拗に引用される台詞、戦いそのものが「魔界転生の某勝負のパロディ」だったりとか。悪ノリと言えばそうかもしれないけど、個人的にはよくぞここまでやってくれました!と言いたい。

    そういったパロディ要素抜きにしても当然の如く面白い。最初「転送剣士十二人ってちょっと多すぎない?」と思っていたものの、いざ闘いがはじまってみると序盤から生き死にのかかった大勝負が展開され「おお、ここまで豪勢な使い方が出来るのか!」と唸らされる。ゲーム的展開も踏まえながらも、その裏でちゃんと駆け引きが続いているあたりも上手い。

    また読み応えあるあとがき。出版の紆余曲折(ファンとしては本当歯がゆい限りの内容)や、本作の発想の経緯(伝奇の神の啓示)とか非常に濃い内容。本作を起点とした構想、是非とも現実のものとなってほしいです。

  • 2017/10/28読了。
    今生に未練を残して無念の死を遂げた幕末の剣豪たちを蘇らせ、明治政府の転覆を企む謎の陰陽師。その名も山田一風斎――というあらすじから想像がつく通り、これは山田風太郎の傑作「魔界転生」の本歌取りというかオマージュというかリスペクト作品であって、そう名乗るだけの面白さを十二分に備えた作品だった。
    本書自身がそうした立ち位置にあることを隠しておらず、むしろ抱腹絶倒のネタとして使いまくるという、人を食ったところのあるメタフィクション作品でもあった。真面目なのか不真面目なのか、リアルなのか荒唐無稽なのか、虚と実の皮膜の境目を力業で引きずり回され、ドキドキハラハラさせられつつ、声を出して笑わされもするという、つまり何というか非常に味の濃い娯楽小説だった。

    本書は刊行までに大変な紆余曲折があったらしい。当初はある出版社のために書き下ろされたものの、上下巻のうちの下巻の刊行が中止され、アドレナライズという電子書籍専門の版元が上下合本の本書を刊行することになったという。
    本書のあとがきやTwitterのまとめや上巻の版元のホームページで経緯の断片を見ることはできるが、それだけ見て無責任な憶測や感想をここに書くつもりはない。ただただこの作品を電子書籍のみの形とは言え僕の手元に届けてくれたことをアドレナライズという版元に感謝するのみだ。
    いや、アドレナライズには一つだけ言いたいことがある。著者によれば本書は五部作の一作目という。二作目以降も御社から刊行されるおつもりならば、次からはもう少しきちんと校正・校閲をしていただけまいか。いや、今からでも遅くないから、本書の校正をやり直してもらえまいか。電子と言えども書籍は書籍、著者の大切な作品を読者に届ける容れ物であることに変わりはないから校正の重要性に違いはないし、校閲が著者と版元の身を守ることにつながるものであることにも違いはない。五部作の途中でまたシリーズ継続中止のやむなきに至るなどということのないよう一読者としてお願いしたい。よろしくお願いします。

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著者プロフィール

荒山徹

一九六一年富山県高岡市生まれ。上智大学卒業後、新聞社に入社、出版社勤務を経て、九九年『高麗秘帖 朝鮮出兵異聞 李舜臣将軍を暗殺せよ』で作家デビュー。その歴史伝奇小説の作風から「現代の山田風太郎」と評される。『魔岩伝説』『十兵衛両断』『柳生薔薇剣』で第二四、二五、二七回吉川英治文学新人賞候補。第二回舟橋聖一文学賞を『柳生大戦争』で受賞。『白村江』で、第六回歴史時代作家クラブ賞で作品賞を受賞、「二〇一七年 週刊朝日 歴史・時代小説ベスト10」で一位、「第七回本屋が選ぶ時代小説大賞」にノミネートされた。

「2021年 『神を統べる者(三) 上宮聖徳法王誕生篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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