孫子の兵法―――考え抜かれた「人生戦略の書」の読み方 (知的生きかた文庫) [Kindle]

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  • 今から2500年前、春秋時代の兵法家・孫武の著と伝えらる兵法書「孫子」の解説書。

    孔子の理想主義的な教えとは違って、「孫子」には冷徹な現実主義の教えが詰まっている。「孫子の場合は〝負けたら死〟」、なので「勝つためにはあらゆる手を尽くす、そのための理論書」として書かれた(解説)とのこと。

    「兵は詭道なり」、すなわち「実際は強くても敵には弱くみせかけ、勇敢でも敵には臆病にみせかけ、敵が利を求めているときには小利を示して誘い出し、敵が強いときにはそれを避け、敵が慎重に要心しているときにはそれをおごりたかぶらせ、敵が親密にしているときにはそれを分裂させて、敵の無備を攻め、敵の不意をつく」(解説)謀の道こそが「孫子」の真髄である。綺麗事であるはずがない。その分、普遍的で迫力がある。解説者が「孫子」の魅力について「人間理解と組織の論理の理解の両方にまたがっていながら、一切の偽善がない」と指摘しているのも頷けた。

    確かに、内容的に時代遅れの部分があったとしても、その徹底した合理精神からは学ぶべきものは多いな。著者も「『孫子』から学ぶべきは、むしろこういう合理的考え方にこそあるのかもしれない」と書いているし。

    ただ、「ヨク士率ノ耳目ヲ愚ニシテ、コレヲシテ知ルコトナカラシム」(「兵士には作戦計画を知らせる必要はない」)、「帥イテコレト期スルヤ、高キニ登リテソノ梯ヲ去ルガゴトシ」(「いったん任務を授けたら、二階にあげて梯子をはずしてしまうように、退路を断ってしまうことだ」)、「三軍ノ衆ヲ聚メテコレヲ険ニ投ズルハ、コレ軍ニ将タルノ事ト謂ウナリ」(「全軍を絶体絶命の窮地に追いこんで死戦させる――これが将帥の任務である」)、「コレヲ犯スニ利ヲ以ッテシ、告グルニ害ヲ以ッテスルコトナカレ。コレヲ亡地ニ投ジテ然ル後ニ存シ、コレヲ死地ニ陥レテ然ル後ニ生」(「兵士に任務を与えるさいには、説明は不必要である。有利な面だけを告げて、不利な面は伏せておかなければならない。 絶体絶命の窮地に追いこみ、死地に投入してこそ、はじめて活路が開ける」)などの教えはさすがにいただけない。

    どうやら当時、兵は寄せ集めの烏合の衆でとにかく質が悪かったようだ。如何に士気高く兵を動かせるかが勝負の分かれ目だったので、血も涙もない戦略が不可欠だったのだ(勝手な想像だけど)。組織全体がミッションやビジョンを共有し、一人一人が自律的に考えて行動する、現代の(理想的)組織とは前提が真逆なんだよな。まあ、敢えて助言せず窮地に追い込んで活路を開かせる、といった虎の穴方式の人材育成もアリだけど。

  • 【目的】
    ①多くの文献で引用文されているので、これを理解して他の読書の効率を上げるため。
    ②ビジネスで活かすため。

    【概要】
    孫子が書いた「国家間で相手を征服するための方法、戦争での戦術、将軍の人心掌握など」を、著者が解説して現代でどう転用できるかを書いている。

    【感想】
    ・現代でも多々転用できることがある。孫子を一度は読むことを勧めたい。本書のように解説が有ったほうがあった方が最初は良いと思う。

    【要点】
    ・孫子「戦争はやむを得ず行うものだが、やるからには勝たねばならない」
    ・勝算がなければ、戦ってはならない。
    ・兵は拙速を聞く → 戦いは短期で終わらせるべし。
    ・長期戦で国益を得ることはない。
    ・敵を痛めつけずに降伏させるのがベスト。戦争で勝つのは次善にすぎない。
    ・「戦争は手段にすぎず、何らかの政治的意図が目的」戦争論
    ・玉砕は、孫子的にはありえない。
    ・勝利が見えない場合、守るか逃げるかしかない。
    ・ロシアは孫子を重視している。
    ・人の気力は、夜<昼<朝。
    ・賞状、賞金を乱発するのは行き詰まっている証拠。罰を乱発するのも同じ。末期の日本軍もそう。
    ・諸葛孔明は、賞罰のケジメを徹底し、恐れられながらも慕われた。
    ・スパイを重視したことが秦が中国統一した一つの要因。

  • 簡潔でわかりやすかった。もうちょっと孫子を読み込んでみよう。

  • ビジネスでも充分に参考になる内容が多くありました。
    ただ読むんだけならそんなに時間かかりませんが、1つずつ自分の置かれている環境で考えるとどうだろうと想像すると結構時間かかりましたが、とても参考になりました。
    情報を多く入手し戦略をたて、勝てる状況を作ってから戦いを挑む。
    あまり今まで持っていなかった考え方でした。
    戦略や虚を突くのは自分としては得意な方でありませんが、
    今後ビジネスする上で必要なのだと理解し、学んでいこうと思います。
    将、リーダーとしてあり方も参考になることが多くかれており
    現場に任せたら口を出さない。責任感が大きくなれば権限も大きくなるの下りが特に印象的でした。「将士は功績をあげても名誉を求めず、敗北しても責任を回避してはならない。ひたすら人民の安全を願い、君主の利益を図るべき」
    置き換えると、業績があがっても自分の手柄とはせず、失敗や失態があっても人の性にせず、メンバーの成長や教育を考え、会社の利益を考える。
    どんなに業績をあげれたとしても、この心を忘れないように肝に銘じます。

  • 解説だけでなく歴史上の事例を交えて説明されているのが分かりやすい。
    具体的、簡潔に戦で負けないためにはどうするかが書かれている。人間、組織に対する深い洞察も含まれていて、現代にも通じる部分があると感じた。

  • 論語と兵法
    孔子と孫子

    政治経済に争いはつきもの。つまり,どちらも必要な教養か。

  • 上手く自分の人生に応用できる人は、素晴らしいのでしょうが、本書では、その具体的な落とし込みはなく、歴史書として楽しむ本という位置付けかとおもいます。

  • 中国春秋時代の軍事思想家・孫武の作とされる『孫子』。長く読み継がれてきた兵法書の中から、現在のビジネス社会に生きる智恵を中国文学の第一人者が紹介する。

  • 何人かの経営者がおすすめしていたので、手にしてみた本。本の前半は解釈の仕方によっては、確かに経営というか、リーダーというか、物事を進めるうえで役に立ちそうな感じはした。

    ただ、後半はどちらかというと、結構軍隊ものというか、うーん、どうやってこの内容を活かせばいいのかイメージが湧きにくかったかな。同じようなことを違う言葉で言っているような印象。

  • 孫氏のごく簡単な解説。余計なこと書かずにサクッと読めていいと思う。具体例の説明として八路軍を随分評価していてほんとかいなと思うところはある。

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著者プロフィール

著述業、中国文学者

「2022年 『世界のビジネスエリートが身につける教養 論語と孫子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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