ぼくらは都市を愛していた (朝日文庫) [Kindle]

  • 朝日新聞出版 (2015年1月7日発売)
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  •  ようするに大人たち、つまりヒト社会の常識は、〈人間は独りでは生きていけない〉ものであると子らに諭しているのではなくて、〈独りでは生きるな〉と命令し、強制していた。こうした感性は〈田舎〉、すなわち〈自然〉と結びついたところから発生したものだろう。仲間が少なくなれば群れの存続も危うくなるから、個人は勝手に死ぬことすら許されない。それが、田舎という自然の掟だ。
     だが、都市での暮らしは違う。単独ではひ弱な、毛のない猿にすぎないヒトは、さまざまなものを創り出して劣った能力を補ってきたが、その最高傑作が、〈都市〉だ。それは田舎の延長である〈都会〉という概念とは異なる、ヒトがこの世に生み出してきた無数の人工物のなかの、最大にして、もっとも強力な〈機械〉のことだ。千三百万の人間を、各各〈独り〉で生かすことができる能力を持っている、マシン。都市とは、総合的人工環境システムを実現している、巨大機械(メガマシン)だ。そのような機械が、動物であるヒトの常識=〈独りでは生きられない〉に対抗できる力を〈個人〉に与えたのだ、わたしのような、娘のような、者たちに。

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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