小説の言葉尻をとらえてみた (光文社新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 安易な誤用の指摘という無粋にならないように腐心しているのが伝わってくる

  • 読了。敬愛する飯間先生の近著。タイトルだけ見ると言語学者が言葉の使い方の間違っている例を指摘する内容のように思えるが、そうではなく、普通とはちょっと違う使い方を見つけては、それを解説しながら採取していくというスタイル。そもそも著者の飯間先生は言葉について誤用であるということをほとんど言わず、新しい使い方とか珍しい用法であるという言い方をされる。いろんな言語学者の本を何冊か読んでいるけど、そういうスタンスの方が多いように感じる。
    よく新聞やテレビの調査で「半分以上の人が間違った使い方をしていました」というようなことをいうけど、それはもうそっちのほうが正しいんじゃないかという話。
    この本を読んでいても、少なくともちゃんとした作家さんの出版されているような本では、誤用かなと思った言葉の使い方は調べてみたら漱石や芥川がすでに使っていたということが多いようだ。
    個人的に面白かったのは伊坂幸太郎の例で「これはあれだ」をよく使うという話。言われてみれば、読み返さなくてもたしかによく出てきた気がする。そういうところに敏感に気づくのがすごいなあと思った。
    あと、ついでに言うと全体として題材に使った小説の紹介にもなっている。ひとまず小川洋子のチェスの話は読むことに決定してほしいものリストに突っ込んでおいた。

  • 辞書編集者の飯間浩明さんが、小説の中に入り込んで用例採集している、という本。面白かった。

    小説というのは、ストーリーを楽しむもの…のはずなのだけど、そこに入っていった辞書編集者さんが、最近の15の小説の中に出てくる気になった言葉を調べたり解説したりしてくれます。最近使われて始めて辞書に載ってない言葉だったり、誤用と言われている言葉が実際にはむしろ本来の言葉だったり、作者さんに特徴的な言葉だったり、方言から地域を探ってみたり。

    小説を「読んで」解説してくれるのではなくて、小説の中に「入り込んで」解説してくれるという形式を取っているのがツボ。ときには、登場人物たちと直接話をして、用例採集してみたり(笑)。

    「舟を編む」を読んで、辞書編集とはどんなものなのか上澄みだけは知っていたけれど、実際には、言葉に敏感に過ごして、気になった言葉を徹底的に調べて、そしてその言葉の発生や成長(?)や衰退を見守ったり予測したり、なんだか深くて面白いものなのだなと思いながら読みました。


    取り上げられている15の小説のうち、私が読んだことがあるのは数冊だけ。でも、読んだことのない小説についても楽しく読ませてもらいました。言葉を追求するというのが主な目的ではあるものの、「作品紹介」にもなっているのが面白い。宣伝用に書かれたレビューよりも、もうちょっと踏み込んだ内容紹介になっていて、どの作品も「読んでみたい(続きが知りたい!)」と思ってしまいました。

    電子書籍で購入したので、いつでも気が向いた時に読み返せるから、次に読む本に悩んだ時に、もう一度読み返して、次に読む本を決めるヒントにしたいと思います。

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著者プロフィール

飯間浩明(いいま ひろあき)
1967年、香川県出身の日本語学者、辞書編纂者。『三省堂国語辞典』編集委員。早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得。代表作に『辞書を編む』があり、その他著作も国語辞典や日本語にまつわるものが多い。

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