MISS PEREGRINE'S HOME FOR PECULIAR CHILDREN
2016年 アメリカ 126分
監督:ティム・バートン
原作:ランサム・リグズ『ハヤブサが守る家』
出演:エヴァ・グリーン/エイサ・バターフィールド/エラ・パーネル/テレンス・スタンプ/サミュエル・L・ジャクソン/ルパート・エヴェレット/ジュディ・デンチ
16歳のジェイク(エイサ・バターフィールド)は冴えない普通の男子。ある日ドラッグストアでバイト中に祖父宅での異変を知り駆けつけるが、部屋は荒らされ祖父エイブ(テレンス・スタンプ)が庭に倒れていた。彼は謎めいた言葉を残して息絶え、ジェイクは庭に怪物がいるのを見るが、それは他の人には見えていなかった。祖父から不思議な昔話を聞いて育ったジェイクは、かつて祖父がいたというウェールズの島にあるミス・ペレグリンが営む児童養護施設を訪ねることになるが…。
ティム・バートンらしいファンタジー。原作があるのだけど2011年とわりと最近の作品だからか、主人公は携帯電話を持っているし、タイムリープものの側面もあってややSFちっく。児童文学なのかなと思っていたら、主人公が子供というには結構大きい。演じているエイサ・バターフィールドは『ヒューゴの不思議な発明』で見たきりだったので、まあこんなに大きくなって!と親戚のおばちゃんの気持ちに(笑)
さて父親に付き添われて島に来たジェイクだが、目当ての施設はすでに廃墟。1943年にドイツ軍の爆撃で破壊されたという。父親は、作家なのかカメラマンなのか何をしてる人だかよくわからない。無職というセリフもあったので夢を追ってる系なのか。島の浜辺で写真集を出す為撮影しているという鳥類学者(ルパート・エヴェレット)と会ってから急に卑屈になり引きこもったり、なんだかよくわからないけど面倒くさい。ジェイクの家庭環境についてはもうちょっと説明欲しかった。
まあそれはさておき、再び廃墟となった施設を訪れたジェイクの前に、奇妙な子供たちが現れ、すっかり元通り綺麗な建物に案内され、ジェイクはミス・ペレグリン(エヴァ・グリーン)と会う。彼女は「インブリン」と呼ばれる、鳥に変身できる能力を持った種族で(ペレグリンはハヤブサの意味)、さらに時間を操る能力を持っている。彼女のようなインブリンは他にも大勢いて、みな、奇妙な能力を持った子供たちを保護する場所「ループ」を作っている。ミス・ペレグリンのループは1943年9月3日をループし続けており、そこでは子供たちは年をとらない。
特殊能力を持つ者だけがループに入ることができるので、ジェイクも祖父エイブも実はある能力があるのだけど、それはこの時点では明かされない。かつて祖父エイブはここにいたのだが、あるとき外の世界に戻り、彼は外の世界で「狩り」を続けていた。狩りの相手はバロン(サミュエル・L・ジャクソン)をリーダーとするホロー(怪物)の一味。彼らはかつて不老不死を求めてインブリンを使った人体実験を行い、失敗してホローと呼ばれる怪物になってしまう。もとの人間に戻り不老不死になるには、ループにいる特殊能力のある子供たちの目玉を食べるしかない。祖父を殺したのはバロンであったことをジェイクは知る。
ミス・ペレグリンのループにいる子供たちは、空気より軽くて鉛の靴を履いていないと浮いてしまう空気人間の少女エマ(エラ・パーネル)、ファイヤースターターのオリーヴ、無機物に魂を吹き込めるイーノック(この三人はハイティーン)、透明人間の男の子ミラード、お腹の中で蜂を飼っているヒュー、自分の夢を目から映写できるホレース、植物を成長させられるフィオナ、怪力のブロンウィン、頭の後ろに口があるクレア、仮面で顔を隠している双子(その能力はクライマックスまで秘密)ら。さらにホローに殺されてしまったヴィクターの遺体がある。
やがてミス・アヴォセット(ジュディ・デンチ)のループがバロンとホローらに襲われ、ミス・アヴォセットだけが鳥の姿で逃げてくる。バロンはミス・ペレグリンのループを狙ってジェイクを尾行しており、ついにジェイクは人質に取られ、ミス・ペレグリンも捕われてしまい…。
後半やっと、子供たちがそれぞれの能力を発揮して敵と戦う展開。世間ではX-MENぽいと言われていたようだけど、私はなぜか「猿蟹合戦」と思ってしまった(笑)一人一人の戦闘能力はそれほど高いわけではないというか、戦闘に特化した能力ではないので、使いかたとタイミング次第な感じ。ただ、ファイヤースターターのようなわかりやすい能力が意外と活用されなかったり、双子の最強能力が明かされるくだりでは、いやじゃあ最初からこの二人投入しとけよ、とツッコミどころは満載ではある。でも小さい子供が頑張ってるのでとりあえず応援。
最終決戦の場所が遊園地なのはティムバートンにピッタリで良かった。というか無機物に魂を吹き込めるイーノックの能力が、ティムバートン映像化むき。序盤で変な人形を戦わせる場面もダークで良かったけど、遊園地ではお化け屋敷のガイコツたちが魂を吹き込まれて巨大なホローと戦う。イーノックは名前からしてたぶんユダヤ系だろうから、ゴーレムを操るラビのようなイメージか。イーノックに限らず、命を狙われているマイノリティの子供たちの隠れ家という部分で、ユダヤとナチスのイメージは映画全体に投影されていたのだと思う。祖父エイブが子供の頃施設にいた理由についてジェイクの父親が言葉を濁しつつ言ったセリフからは、ナチスのユダヤ人狩りから逃れるためというニュアンスが感じられたし。屋敷を爆破するのはドイツ軍。
植物成長させる能力は意外と応用利いて素敵でした。頭の後ろに口がある子だけは、特殊能力とはちょっとジャンル違うから謎だった。まあそんなこんなで子供たちは協力しあってホローと戦い、敵に捕らわれたミス・ペレグリンを救出にむかい…。このへんはそれなりに面白い反面、戦い方にもたつきがあって、イマイチ盛り上がりに欠けたような気も。エマとジェイクのラブストーリーの部分は可愛らしかったけど、おじいちゃんがちょっと可哀想。
全体的にそれなりに面白い反面、タイムリープやホローの設定把握に手間取ったり、ダークファンタジーとしては特に目新しい設定も見られず、ありがちなその他の作品にはないこの映画だけの圧倒的な魅力というのは感じられなかった。ホローが子供たちの目玉を食してる場面などはティムバートンらしくて良かったけれど、これで逆に小さい子には見せられなくなっただけで、グロさとしては中途半端。映画全体も、何かがちょっと物足りなかった気がする。