- Amazon.co.jp ・電子書籍 (187ページ)
感想・レビュー・書評
-
タイトルは重めですが、読みやすい対談集です。
キリスト教徒の作家2人が「死」について語るという、教義論的な話になるのかと思いきや、そもそも対談者が佐藤優氏と中村うさぎ氏という取り合わせだったという(笑
神学部卒の元外務官僚と、浪費家のラノベ作家。食い合わせは悪すぎるはずなんですが、お互いちょっと頑張ってる(気を遣ってる?)感じもありつつ、でも通じてるような、それなりの化学反応を生み出しているのが面白いところです。
本著、もともと「男と女」について語るはずが、中村氏が死にかけたことから「死」をテーマにした対談に変わったという顛末。しかも、中村氏の心肺停止の直前には、佐藤氏が編集者に「変な感じがするからみんなでよく見ておかなければ」と言っていたという。。
対談の中では(当時の)トピックスが出てきて、のりピーだったりオボちゃんだったり。なんか時代を感じました。
これで死に対するスタンスが劇的に変わる!ということはないかもしれませんが、少し穏やかに接することができるのではないか、と思いました。
あとは細かなツッコミですが、対談で「ただの実務家で本質において作家じゃない」と佐藤氏が自称していた点。ご本人がどう思われるかは別として、作家というものが実務家と芸術家?に分かれ得るというのはわかるような…。
ちなみに、その実務家の氏が「DMMのアダルトビデオでは60歳以上のジャンルがありますよ」って言うのはどういう対談なんだか(笑
ちなみに、中村氏に百田直樹氏の小説が「褒めるところが一つもなかった」と言及されてましたが、まだ読んだことがないのでなにも言えず。佐藤氏は「ナショナリズムってオナニーに似たところがありますから」といなしてましたが…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
死について考えることは、どうやって生きるかを考えること。臨死体験をした中村さんと、事件によって社会的な臨死を経験した佐藤さんの対談は、死から宗教、政治、文学といろんな方向に飛び放題で面白かったです。
永遠に生きられるなら人間は、生についてすら考えなくなるのかも知れません、逆説的ですが。
-
死から生還した中村うさぎ。佐藤優と死について語る。知識人による肩の力を抜いた雑談。対話形式で綴られる本著は、二人の非俗な感じに、妙な俗っぽさをテイストとして醸すので、リアリティが深まる。例えば、ヤクザ映画や、死後の世界の在り方の矛盾など。中村うさぎが必ずしも、佐藤優に手離しで迎合しないスタンスを自然に取っているのも、また良い。
-
死についての本なのに、私は何故か猫の印象が強く残っちゃいました。
佐藤優は得体の知れない知の巨人なのではなく、普通に猫を愛するただの頭の良い、優秀な人間なのか〜と安心しました(。-_-。)何度も何度もネコちゃんのお話が出てきて、不覚にも佐藤さん萌えしてしまった...あの知の巨人の懐にも潜り込むネコちゃん!侮れない。
あと、天国はつまらないところ。と仰っている箇所がありましたが私も同意。
“笑い”っていうのは大小あれど、悪意や見下すという感情ありきのものなので、天国には笑いが無いと信じています。逆に地獄は笑いで溢れかえってると思う。 -
p.2020/5/19