真夜中の犬 (光文社文庫) [Kindle]

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  • 光文社 (1997年6月20日発売)
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  • マキは、一方的な暴力をふるっている少年の横顔に見惚れた。この子なら使える。戦力になる。

    貢はマキを無視して、うずくまっている少年の脇腹をさらに蹴りあげる。

    スピードと呼ばれる覚醒剤。アンパンと呼ばれるシンナー、トルエン。それに睡眠薬。草と呼んでいるマリファナや、コークと呼んでいるコカイン。

    「貢っていうの? あたし静」 「あたしは由美子。よろしくね」 「そしてあたしがいちばんきれいな夏美」

    「そう。スナック神宮寺っていうの」
    「神宮寺……たいそうな名前だな」 「狛犬の本名よ。神宮寺家康っていうの」

    「ルシファーっていうの。ブルースがかかるんだ、ちいさな音で。すごく通好みの、センスのいい店。また、マスターがすてきなのよ」

    「幸子?」 「うん。狛犬の子供」 「あいつに娘がいるのか?」

    「幸子って、鏡なんだよ。幸子に対して貢はどんな態度をとるか……幸子には貢の本当の姿が映るんだ」

    「哲学の本のまとめにこうある。――権力の支配の究極は、暴力である。そして権力とはいかなるものであっても、悪である」  支配の究極は暴力。そして、悪。

    同じ公団住宅に住む女子校生の由香里はセーラー服のまま連込みホテルにはいり、成熟しきった女のように貢をむさぼり、門限に遅れるからとタクシーに飛び乗って家に帰る。

    そして狛犬。  マキ、夏美、静、由美子といった娘たちに少女売春をさせて儲けているという。

    青森県にある酸ヶ湯(すかゆ)温泉の名物「ヒバ千人風呂」にある浴槽の一つです。湯温が約43度とやや熱く、入浴時の温まり具合が「熱湯」に比べて四分〜六分ほど(短め)であることから名付けられました。「四分六分の湯」は、別源泉であるぬるめの「熱の湯」(約41〜42度)と組み合わせて入ることで、より高い温泉効果を得られるとされています。

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    深夜2時、渋谷。少年院から出たばかりの貢は北勢会のチンピラを蹴り上げていた。そこへ止めに入った美少女、マキから、元警察官“狛犬”を紹介される。貢は、社会からはみでた「ドロップ・アウト」たちの共同体に見せられていく。だが、その狛犬を執拗に狙う北勢会・村内がいた……。セックスと暴力を通じて、人間の愛憎劇を描いた、花村ワールドの切ない愛情物語。

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著者プロフィール

1955年東京都生まれ。89年『ゴッド・ブレイス物語』で第2回小説すばる新人賞を受賞してデビュー。98年『皆月』で第19回吉川英治文学新人賞、「ゲルマニウムの夜」で第119回芥川賞、2017年『日蝕えつきる』で第30回柴田錬三郎賞を受賞。その他の著書に『ブルース』『笑う山崎』『二進法の犬』「武蔵」シリーズ、『浄夜』『ワルツ』『裂』『弾正星』『信長私記』『太閤私記』『対になる人』など。

「2021年 『夜半獣』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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