ハーメルンの誘拐魔 刑事犬養隼人 「刑事犬養隼人」シリーズ (角川文庫) [Kindle]

  • KADOKAWA (2017年11月25日発売)
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Amazon.co.jp ・電子書籍 (320ページ)

みんなの感想まとめ

テーマは、少女を狙った前代未聞の連続誘拐事件と、その背後に潜む医療界の闇です。物語は、孤高の刑事が完全犯罪に挑む姿を描きながら、子宮頸がんワクチンにまつわる社会問題を浮き彫りにします。読者は、フィクシ...

感想・レビュー・書評

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  • ’25年4月25日、AmazonAudibleで、聴き終えました。犬養シリーズ、3作目。

    とても面白かったです。一気に聴いてしまいました。

    フィクションとはわかっていますが…とても恐怖を感じました。厚労省、製薬会社、そして産婦人科学会…人の生命そっちのけで、利権、利益にしがみつく様が(⁠。⁠ŏ⁠﹏⁠ŏ⁠)本当に、こんな感じなんだろうな、なんて思えて。

    未読の作品と思って聴き始めましたが…身代金を運ぶシーン以降、記憶にあって…一度読んでいた?それとも、ドラマ等、映像化されていて、それを観た?うーん…覚えてないಥ⁠‿⁠ಥ悲しい。

  • 本作を含む中山七里の「犬養刑事」シリーズは、主に医療関連の社会問題をテーマにして、氏ながらのどんでん返しを描くシリーズである。本作では、子宮頸がんワクチンの副反応(副作用)を巡り、厚労省やワクチン接種を勧奨する推進団体、製薬会社などを相手に「誘拐」したワクチンの副反応による被害者少女たちと引換えに莫大な身代金を奪取する展開の物語である。
    ワクチンといえば、最近では新型コロナ(COVID-19)だろう。ワクチン接種との因果関係は判然としない部分が多いが、SNSなどで高名な医師がワクチン接種による副反応の可能性や発症した場合の重篤さ、さらには最悪死に至る可能性までを示唆している。本来、蔓延するもしくは発症すると身体に重大な影響を引き起こす(本作における「がん」のように)ことへの予防として接種するワクチンが、一方でそれ自体身体に負の作用をもたらすということがわかれば、それは大きな議論になることは容易に推測される。
    解説の中で、三省堂書店の店員と紹介されている新井見枝香氏は、普通小説の内容を掘り下げ、推奨する内容が書かれる解説の中でこう反論する。「本作は、いささか偏りがある」と。ワクチンには、予防と副反応という功罪両面があるはずなのに、本作ではワクチンの副反応という負の面ばかりに言及しているというのだ。解説者が作品への反論を公然と述べていることにも驚いたが、ここには小説のテーマとして、「ワクチン」のような社会的な問題を孕むテーマを扱うにあたり、公平性がなくてはならないという示唆の投げかけがあるように思われる。
    本作を読み、中山作品に期待するどんでん返しと美しいプロットに導かれた物語に快い驚きを得たが、解説を読むことでさらなる驚きを感じることになろうとは! なんとなく、という感じで読み進めてしまう「解説」のこれまで気づかなかったポテンシャルを知った。本作を読む際は、是非とも解説まで読んでほしい。

    さらに解説によれば、例えば本作で扱われている子宮頸がんに幸いにも罹患しなかった者が、それはワクチンのおかげだと感謝することはないと指摘する。たしかに新型コロナウイルスにせよ、「ワクチン接種」のおかげで罹患せずに済んだと考える者は僅少にすぎないと思われる。だから、副反応という負の面ばかりがとりあげられるのだ、と解説ではそのアンフェアな側面を浮き彫りにしている。
    解説での指摘はもっともなことと首肯できる。だが、負の面が強調されるのは、本作でも何度も言及されているように、ワクチン行政を通じて私腹ばかりを肥やす程度の低い行政官僚や金の亡者たる医療従事者、そしてその裏で暗躍する悪徳与党政治家の姿が見え隠れするからとも考えられないか。つまりは、ワクチン接種を勧奨する行政側が、本心から罹患する患者の低減だけを純粋に考えてワクチン接種の義務化などに取り組んでいたのであれば、これほどアンフェアな取り上げられ方はしなかったのではないかと思うのである。
    B型肝炎における非加熱製剤の問題をはじめ、国民を見ることのない政治家とそれに追従するだけの官僚がしでかした問題は枚挙にいとまがない。古くは水俣病をめぐる問題もあった。水俣病問題は、少し前に映画(それも邦作ではなく、外国の作品である)で観たが、当事者がその責任を認めない姿勢が浮き彫りにされていた。普段控えめでおとなしいイメージで語られる日本人の実態を見せつけられた気がした。そして、その実態を目のあたりにしたとき、これが邦作で撮られなかった理由がなんとなく解った気がした。

    「犬養刑事」シリーズを通して言えることだが、本作もそれぞれの立場における「正義」がぶつかり合う物語と言っていい。犬養は刑事として、あくまで法に基づく罪だけを刑事としての己の行動原理として捜査を進めるが、事件の構図が明らかになってくるにつれ、犬養自身も様々な葛藤に悩む。犬養を取り巻く他の関係者も、同じ警察組織に属しながらそれぞれの信条を内面に抱えて捜査に臨む。刑事同士もときにぶつかり合うが、そのぶつかり合いを読むことで、読者もまた「法」が「裁くことができる」ものの限界を考えることになる。
    多くの法が政治家が蝟集する立法機関で、ろくに議論もないまま賛成多数で恣意的に可決される現実を見れば、当然それらの法が効力を及ぼす範囲も恣意的だと考えざるを得ない。法はある意味で絶対であり、それを犯すことはすなわち「罪」として裁かれるのだが、恣意的であるがゆえに倫理的には違法に思えても、実際には法による裁きの圏外に身を置く者たちがいることもたしかだろう。それらの多くは、実際に法を制定する者たちであるがゆえに、いずれ「法」そのものがそれらを遵守すべき我々市民の信頼を喪失するのではないかと危惧する。
    すでに予兆はある。かつては尊敬の対象としての呼称だった「役人」は、今はろくに仕事もしない給料泥棒の代名詞に成り下がった。あまつさえ、演説中に(例えばアメリカならSPに固く警護されているはずの)前首相が、背後からいともたやすく射殺された。私益優先で国民の命を顧みなかったことへのツケは次第に具体的な形を伴ってきているように思える。

    本作はこのような大きな社会問題、ひいては日本人としての在り方へも一石を投じる作品であると思う。例えば、社会学などの専門書でこうした問題を読むことも知識を得るという意味では正しいが、極上のミステリー小説の形で自然に社会問題への思索にも誘われるのであれば、後者の方がはるかに取っ付きがいい。このシリーズも残す作品は少なくなってしまった。著者には、是非ともさらなるシリーズ作品を発表してほしいと祈るのみである。

  • [第3弾] ハーメルンの誘拐魔 刑事犬養隼人
    著者:中山七里
    ナレーター:杉村憲司

    ハーメルンの笛吹き男は誰なのか…
    想像してた人物と合っていて嬉しかった!

    子宮頚がんワクチンは打ったことはないが、子宮頚がんワクチンについて少し怖くなってしまった。ワクチンの裏に潜む医療と政治の結びつき社会問題を垣間見えて、こういう仕組みなのかと…。

    無料だからお得というわけではないのだと実感。
    ワクチンについて考えさせられるものがあった。

    正直、犯人側を応援したくなってしまった…。

    -------------

    サマリー(あらすじ):
    少女を狙った前代未聞の連続誘拐事件。身代金は合計70億円。捜査を進めるうちに、子宮頸がんワクチンにまつわる医療界の闇が次第に明らかになっていき――。孤高の刑事が完全犯罪に挑む!

    -------------

    読了日:2025/03/27

  • 刑事犬養シリーズ3作目。
    子宮頸がんワクチンの副反応で記憶障害を負った娘を誘拐された。身代金の要求もなく、犯人の手がかりがないまま、次の犯行が。今度はワクチンを推進していた産婦人科学会の会長の娘が誘拐された。そしてこの薬害を議員に訴えるために、集まった5人の車椅子の少女達もまとめて誘拐される。犯人 ハーメルンの誘拐魔は学会と製薬会社から一人あたり10億、70億を要求する…

    これは犯人が大体分かったし、身代金の受け取りも予想通りの展開だった。
    今では再度ワクチン接種推奨に転じているが、当時の副反応の騒ぎは今でも覚えている。あれからずいぶんと時間が経ったが、彼女たちはどうなったのだろう。
    相棒の高千穂刑事が感情的すぎるのではないかと思ってしまう。
    結局、この話では高千穂刑事が何故犬養を毛嫌いしているのかは分からなかった。
    この疑問点は次回に期待。

  • 犬養隼人シリーズ3作品目。

    子宮頸癌ワクチンについてがテーマ。
    色々考えさせられる。ワクチンはなんやかや怖い。

  •  ハーメルンの笛吹き男と名乗る人物に、子宮頚がんワクチンの副反応により障害を持った少女6名、ワクチン接種を推進した医師の娘が誘拐されるという事件を追う物語。
     今回犬飼刑事は高千穂という若い女性刑事と組むが、この刑事は犬飼に理由もわからず敵意を表していること、聞き込みの時に私情を挟むこと等、犬飼の足を引っ張り、良い点がないため、出てくる度にイライラさせられた。早く成長して、犬飼の弱点を補強する良い相棒になってほしい。
     事件の真相は、誘拐されたワクチン推進派の娘が計画を立案し、ワクチン反対派の医師やワクチン被害者の親を巻き込んでの詐欺誘拐であった。予想していなかった展開であったため、後半の展開は驚きだった。
     今回はワクチン接種の副反応への問題意識するであったが、これまで「病気予防のために無料でワクチン接種できるなら儲け物」という安易な気持ちていたが、厚労省、医師、薬品業界の利権を知ると複雑な気持ちになった。

  • 楽しみの読書です。社会的な問題も扱ってます。どんでん返しありですが、同じ著者の中では大きくはないという感じ。

  • Audibleで
    子宮頸がんワクチンについて絡んでお話し。
    とても面白かったし、最後の真犯人はなるほどという感じだった。

  • オーディブル視聴。
    なかなか難しいテーマを取り扱っているなと。作中でも言われているけど、絶対安全なワクチンなどないので… けれど誘拐から身代金受け渡しから犯人判明のスピード感がすごく良くてドラマ見ているようだった!

  • 『ハーメルンの誘拐魔』は、中山七里による刑事犬養隼人シリーズの第3作で、子宮頸がんワクチンの副反応問題を背景にした社会派ミステリーである。
    物語は、15歳の少女・月島香苗が母親の目を離した隙に行方不明になるところから始まる。香苗は子宮頸がんワクチンの副反応で記憶障害を患っており、現場には「ハーメルンの笛吹き男」の絵葉書が残されていた。
    警視庁捜査一課の刑事・犬養隼人と相棒の高千穂明日香が捜査に乗り出すが、同様の手口で少女たちが次々と誘拐される事件が発生する。被害者たちは、ワクチンの副反応で障害を負った少女や、ワクチン推進派の医師の娘であることが判明する。
    犯人は少女一人につき10億円、計70億円の身代金を要求し、警察を翻弄する。捜査が進む中、医療業界と行政の癒着、ワクチン被害者の苦しみなど、社会の闇が浮き彫りになっていく。
    最終的に、犯人の正体と動機が明らかになり、事件は解決に向かうが、読者に深い問題提起を投げかける結末となっている。

  • 子宮頸がんワクチン、だいぶ前に話題になって有名人が勧めたりしてた記憶がある。副作用があるなんて考えてもなかった。医療と政治の結びつき、学びがある内容だった。

  • 2020/11/25 AmazonよりKADOKAWA「ドクター・デスの遺産」公開記念 ミステリーフェアにて493円でDL購入。

  • ★3.8 2019.08.15

    犬養刑事の第三弾。
    子宮頸がんワクチン禍を主題にした誘拐事件。
    確かに作者が中立ではなく、どの立場にあるかが簡単に見て取れるが、フィクションを通じて社会に問題を提起していると考えれば 目くじらを立てるほどの事でもない。作者は中立でなければならないと決まっている訳でもないし。
    途中から薄々、事件の黒幕が分かってしまったのが残念だったが、最後まで面白く読み進められた。

    ↓↓↓内容↓↓↓
    記憶障害を患った15歳の少女、月島香苗が街中で忽然と姿を消した。現場には「ハーメルンの笛吹き男」の絵葉書が残されていた。その後少女を狙った誘拐事件が連続して発生、被害者は、子宮頚がんワクチンの副反応による障害を負った者と、ワクチン推進派の医師の娘だった。そんな中「笛吹き男」から、計70億円の身代金の要求が警察に届く。少女の命と警察の威信を懸け、孤高の刑事が辿り着いた真実とは―。人気シリーズ第3弾!

  • 白昼堂々行われた少女誘拐事件。消えた被害者がいた場所には生徒証と、ハーメルンの笛吹きが描かれた葉書が落ちていた。
    犬養たちが手をこまねいている間に、繰り返される犯行。犯人からの連絡はないまま、ついに七人の少女が誘拐された。


    いつもの犬養隼人シリーズといった印象。登場人物がそれほど多くないので読みやすいのだが、同時に犯人も察しがついてしまうという弱点がある。おかげでどんでん返しで盛り上がれなかった。

    そこに輪をかけて盛り下げてくれたのが、解説とレビュー。
    予想はしていたが子宮頸がんワクチン推進派がずらずら並んでいた。
    特に「子宮全摘したらQOLがどん底まで低下」と主張していた方。主語がでかい上に、誰の代弁をしてるんだろうな? 子宮なかったらQOL下がるとか欠片も考えたことないし、全摘した親族もふつーに過ごしてますが。
    なぜ血の繋がった子供を持てないだけで、「生活の質がどん底」なんて評価を受けねばならんのだ。

    しかしこういう人たちは、なぜワクチンを打つ打たないの二択で論争するんだろう?
    ワクチンのリスクを説明した上で、当人に選ばせるんじゃだめなのか。打たなければ癌罹患の確率が上がると当人に意識させることで、子宮検診の受診率向上に繋がるのではないか。
    どうせワクチンを打っても子宮検診は必要らしいので(Wikipedia参照)、企業の健康診断で子宮検診を義務化してもいいのでは。検診でも癌は見つかるだろう。

    ……などとつらつら考えたが、犬養さんほどではないにせよ自分も穿った物の見方をするので、実現はしないと思っている。ワクチン普及はいろんなところに金が入るが、健診追加は企業の負担が増えるだけだもんな。

  • 桃山学院大学附属図書館電子ブックへのリンク↓
    https://web.d-library.jp/momoyama1040/g0102/libcontentsinfo/?cid=JD202209003005

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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